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小さな彼12

 彼から連絡があったのは、コロナの高熱が去り、喉が少しヒューヒュー言って、咳が残っていた頃でした。炊いたけど冷蔵庫に入れ忘れた玄米のカリカリのお米に、酸っぱいキムチを混ぜて、どうにか食事を済ませようとしていたところでした。私は彼とのLINEのページを漢字の変換で使っていました。「無垢」とLINEに入れたまま送信してしまったのに気づいた彼が、セントバーナードのイヌのスタンプを送り返してくれましたから、「本当にこのイヌは無垢なの?」と聞き返したら彼からすぐ電話がかかってきました。
 数日間のブランクが嘘のようでした。ということは、いつこのようにお互いに、いなくなってもおかしくないんだろうなとも思いながら、笑いながらおしゃべりしていました。
 ふと、二人でビデオパーティーをしようという話にりましたので、ペンネームは「すこしだけ好き」というのにして、パーティーに入って、彼の趣味のシュワちゃんとスタローンの映画を観ていました。当分してして、彼が叫び声を上げて、「なんだよー!すこしだけ好き?って」と言っていたので「ちょっといまはそんな気分なの」と、返したら軽く怒っていました。
 彼は、数日夜勤のアルバイトと、スタジオで、曲の収録をしていたそうです。やっぱり、病気の時に孤独だったという気持ちは拭えませんでしたから、少しいじわるな気持ちになっていました。日薬で、そのうちまた親しみが戻ってくるでしょうか?自分の気持ち実験中です。

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