改造が出来ぬ人々
十余年ぐらいガンプラ作りから離れていたアラフィフおじさんが、ガンプラ復帰して魂消たのが「改造の仕方が判らない」という人々である。これは煽りではなくガチでビビった。私はナチュラルに改造とか始めるおじさんだからだ。
例えばパチパチとパチ組みをする。
何やこれ……と組み組み立て立てしてると足首の曲がり位置がおかしくて違和感作ってる事に気付く。わぁ、このモデル作った人は足首がクルブシよりゲンコツ一個分上で曲がる愉快な人なのかな?と。
急いで病院に行け。
整形外科だ。
で、何でこんなトンチキな事になっとんじゃい……と足首バラして機構を確認。あ、これ謎のスリッパ関節使って関節位置下げられますね、と。要はここをノコで切断してここにランナー切ったの刺せば……ここ干渉するから0.5mm上げて、ここをこー……
と、気付いたら切った貼ったしているのである。わぁびっくりびっくり。これガチだかんね。ガンプラ買って堪えきれなくなり車の中で素組するじゃん? 腹の長さ足りねーなーとか思うじゃん? プラ板は流石に車に積んでねーしなー……と悩みつつランナータグをやすりがけして平らにし、気が付いたらカサ増しして腹延長してますからね。改造前の写真撮影忘れたーって悩んでパワードジムもう一個買ったぜよ(ガンプラ枯渇前はそんな事もよゆーだった)
私にとって改造とは、インスタントラーメンに胡椒掛けたりソース焼きそばにソース足す程度の話でしかない。改造できないという嘆きは「ラーメンに胡椒かけるべきかどうか分からない。胡椒のふりかけ方が判らない」みたいな話に似る。
は?(難聴)
としか言えんでしょ。
いやいや、胡椒ぐらいは……と言うのであろうが、野菜炒め作る際に玉ねぎ多いから薄めに切って存在感を弱めようとか、ニンジンあるから彩りで加えて、華やかさを増す様に薄くデカ目に切ろう。減塩のために胡椒増やしてニンジンのカロチンは油に溶けるんよねー(サラダ油ドバー)火力が旨さだ!(火力最大!)とやるとスクラッチビルドの野菜炒めの完成だ。
野菜炒めの概念掴んで冷蔵庫の野菜室見たら、まぁ普通は野菜炒めぐるいは作れる。牡蠣油使うもよし、胡麻油香らせるも良し。レシピ無くともアレンジは出来るだべ。最近私はナンプラーを足しがち。
お子様居たらニンジンさんを花形に飾り切りしたろとか、気合い入れてもやしのヒゲ根を全除去とかもやりますわ。レシピ見なきゃ炒め物も出来ないとか言われたら困惑するし、炒め物用のカット野菜買って来たが味付けが分からないから炒められんとか言ってる人みたらドン引きですわ。お前ら普段何考えて野菜炒め食ってんだと。
基本工作が出来るなら……本当に基本でいい。平らになる様やすりがけとか、真っ直ぐ切り離すとかその程度の事だ……改造なんて技法・工作としては容易い。(そして、基本工作の重要性を理解した上でより高精度の工作目指すと、これがメタクソ大変だという事が判る)
究極的には、改造なんて「どうすると格好良いか」を見抜く事が出来、プラスチックの加工の基礎を理解して「後先考えずにとりあえず切り刻むアホさ」があれば誰にも出来る。サッポロ一番の味噌ラーメンに野菜炒め乗せる程度の話ですわ。
しかし改造できない人は多い。宛ら「一輪車には乗れない」と思い込むが如しである。何回かコケるし最初は苦労するだろうが、やりゃ出来る。幸いにして私はガンプラがまだダッサいプラモだった時期からガンプラに触れ、そこかしこに「カッコ良く改造できる」ポイント満載のガンプラ前にして躊躇なくガンプラ切り刻んできた。
格好悪いものを格好良く改造「し続けてきた」から改造を「してしまう」身体になったのだ。「北風がヴァイキングを育てた様に、な」(後方腕組み師匠ツラ)
逆に言えば「プラモの出来が良い」とされる今の時代は「改造すべきポイント」を見抜く力を涵養する機会が少ないし、加工経験が少ないから「これぐらいの改造なら30分ってトコやろな」みたいな見当も付かないのであろう。だから改造が出来ないのだ。
さて、ここからが本題だ。
どうしたら改造できる様になるだろう?
騙されたと思って
デッサンをやれ
目を鍛えねば改造ポイントを見出せないからだ。
先にも書いたが「何処をどうしたら格好良くなるか」というポイントを掴む事が改造する為に一番重要な所であり、モチーフと画用紙に描かれた絵の差異を丹念に見て修正するべきポイントを把握する能力は間違いなく向上する。漫画絵の模写でもいい。なんなら漫画をトレーシングペーパーでトレスする所から始めても良い。
デッサンというのは立体物の「形を捕まえる」訓練だ。どういう形でどう光が作用してるか「良く見て」キャンバスなり画用紙の上に「みえたもの」を描く。人間は外界把握手段として80%程度を視覚に頼っているというが、実際は薄らぼんやりと眺めているだけで凝視もしなければ仔細に構造や面や力の流れに注目して観ては居ない。ここに気付きどうやって物体を「見る」かを学ぶのがデッサンやクロッキーである。
アニメキャラやロボのプラモ作りはこの逆やるんだわ。写生絵が描ける様になれば逆コンバートであるアニメキャラ立体化は容易い。
で、ここで問題だ。HGガンダムエアリアルの改造事例でパッケージアートを参考に、股関節接続部を左右逆に付けて脚を長くするって手法が流行って?いる。
まず最初に、
パッケージアートは参考にするな。あれは絵描き特有の意図的な歪みが存在する。
対象となるデザインの美点や目指したものを理解した上でアレンジしたなら良いのだが、エアリアルのパッケージアート腰回りは「バリさん式」にアレンジしてエアリアルらしさを消している(つうか塗りテイスト変えてるだけで、線画は大張さん描いてたりしねぇかこれ?)
エアリアルは、基本形状に小さな装甲板や小札を重ねたデザインなんよ。これが微妙な追従度で重なるのがデザイン上の特徴ね。
そのデザインの要請上、大腿上部に乗っている腰サイドアーマーは腿パーツに密着している。
アニメのキャプチャ見ても大腿と腰サイドアーマーで腰のライン作ってるのが確認できる。
この骨盤相当部位のボリュームと幅広さがエアリアルの女性的なライン作ってる「要素の一つ」なんだけど……
股関節パーツ入れ替えで脚延長すると、骨盤がスカるし幅が狭まって見える。ラインが男性的になっちゃうんだよね。
バリさん式の悪癖が出ている様に見える。
あくまでバリさん式にしたいのなら肩の大型化や正面から見た時の脹脛の左右非対称化などもやればいいんじゃないかなーと思わんでもないが、脚の長さという全体バランスの一部に固執して「らしさ」を削るのは如何なものか。
諸岡クン
これでえーんか?
この様にして絵と立体物見比べて仔細に違いを考察して行く。一見近年のガンプラは「良く出来ている様に見えるが」、デッサンは相変わらず下手だし構造解釈やデザイン意図の掴み方が甘い。アマチュアの私でも指摘できるぐらい甘い。
この前noteでガンプラは立体感に乏しいとの評を見かけたが、比較対象であるコトブキヤとかが凄いだけだ。
コトブキヤやボークスはあの鬼才、永野護の監修でモーターヘッドとか立体化してんだもん。そりゃ地力が段違いよ。
で、こんな感じで微細に仔細を見て行くと……
大体だが、HGサイズのガンプラは0.5〜1mm程度の変更で印象がかなり変わる。この仔細に見ないと判らない程度の「印象の差」を各所に配置しまくると失敗し難くかなり印象の変わったガンプラになる。
改造する時は可能な限り小さな変更を積み重ねて大きな差異を作る。ドライブラシや汚しもそうだが、大きな変更は自己満足に陥り易く「必要以上に加工してしまう」パターンがひンじょーに多い。そして沢山変えた、沢山作業したという達成感が完成度とすり替わってしまうのだ。皆が筋彫りしまくったりミョーに間伸びしたガンプラこさえる原因だ。
積極的に「改造箇所を見抜かれない様に」加工せよ
見る力を養い、言われずとも違和感の原因見出せる様になれば自ずと「見るべき箇所」を見る事が出来る様になる。これがガンプラ粘流のポイントの一つである。
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!