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読み方の問題

例の批評ライフ☆の草稿的なものだが……

私の場合、本や物語を読むとまず脳内に日本語音声で「思考」が発生する。技術文章なんかの場合はその思考を思考のまま抽象的に扱うが、例えば物の構造とか「これこれこんな構造の機器は作成出来ないか?」と言う質問を受けると、脳内の3D CADが動いて形を3D化して構造を検討する。

実際先程見ていた夢では、知り合いのトンチキ気味な現場監督がいわゆる電球を90度直交させる事が出来るホルダーを安く作りたいみたいな話をしていて、私は脳内CADで形を設計し、部品に分解して各パーツをどんな風に製造・組み立てするかを検討しつつ……目覚めて夢だと理解してるのにそのまま製造工程や各部構造を考え始めた。うん、多角的に考えて「安く作るのは」無理ですな(納得の顔)

これと似た事を、小説読んでる時にも行う。

情景描写から書き割りの背景とかジオラマのベースみたいなものを構築し、そこにキャラを配置して文字列が示す動きをさせる。それをコマ撮りのGIFアニメの様に動かしつつ各キャラがセリフを喋る。もち脳内3Dだから視点変更も出来る。

ここでだ。
例えば世に名高い「戦闘シーンがキンキンキンで描写されてる」話などを読むと、いきなり

脳内人形劇の解像度が下がる。


何ぞこれ? 教育テレビのお子様向けの奴かな? 剣を持った人形劇のお人形が剣を振って効果音だけが鳴るみたいな。
一応私の脳内CADはバーチャ3程度までの動きの再現が可能なレンダリングエンジン積んでるんだが(リアルタイムレンダリングしなけりゃもう少し精度が上がる)……なんかハニ丸とヒンベェみたいのに入れ替わっちまったぞ……

他にも、素早くドン! 素早くドン!みたいな描写を見ると、脳内では初代餓狼伝説でアンディが残影拳ハメしてたり、バーチャ1でアキラが→→Pの裡門頂肘で尺取り虫の様に前進してる姿が再現される。なんでぇ。軸ずらしてかわしつつ攻撃でカウンター取るか、ガード後↖︎K+Gで水車蹴り決まるやんけ。修行が足りん!(影丸使いです)

ただ、出の早い攻撃繰り返すだけでは反応されてしまう。そんな裡門頂肘繰り返すだけのアキラじゃ勝てんぞ……

と、このように「文字列からシーンをレンダリングして画像解釈し直す」事が出来たりする。私の読み方だとこんな風な訳だ。

が。

世間を俯瞰していると、私で言う最初期の段階……文字列を音声言語化して終わり……それが脳内のバーチャル右耳から入って左耳から出る……それを読書だと思い込んでる人がいるらしい。古の人が字面を撫でたとか、目を滑らしたと言う奴だ。文字列が知らせる状況が何を意味するかを考えない。

だから

転生七女P.8 17行目
『早くに亡くした母のためにも、友達のいる人生を過ごしたかった。』

上記のような文章を見ても「友達がいる人生」が「早く亡くなった母のため」になるのかを考えない。いや、別にその前提だと早く亡くなったかーちゃんの為にはなってなくね?

例えば、脳や思考が未発達な子供向けに「絵本」と言う媒体があるが……

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幼児は文字のみからイメージを作り出すのが難しいから、絵を添えてイメージ形成の手助けしてる訳だよな。昨今小説が売れずにコミカライズした漫画がなぜ売れるかと言うと、文字からイメージを想起する能力……脳内レンダリングエンジンの性能が著しく低いか、エンジンがそもそも存在していない読者が多いのであろう。だから彼らは外部の漫画家がレンダリングして出力した絵を見るしか無い。これでようやく文字列が示す「絵」を脳内に思い浮かべる事が出来る訳だ。

通常作家はレンダリングの逆、脳内イメージから文字列への変換を行う訳だけど、やはりコンバーターの性能が残念な人は文字列への変換の際に細部のデータが潰れて……

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これが

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こーなってもーたり

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テクスチャ無しのポリゴンゴンになったりする訳さ。裡門頂肘打ち出す時にグッと肘を曲げて上腕二頭筋が隆起するとか、震脚と共に肘を突き上げて、グイと食い込むみたいな描写が抜けて、技モーションと食らいモーションでしか威力が感じられないとかな! 偶に絵を描く人でも、肘伸ばしてるのに上腕二頭筋がモリモリっと盛り上がってる人がいるが……もうちょっと人体観察しようぜ!

で、脳内のコンバータ性能が低い作者の文字列でも、脳内での「解釈」が下手な人には問題とならない。文章が上手かろうと下手だろうと「彼ら」は文字列を左から右に流すことしか出来んのだ。そこから生成されるべき絵の差を理解できない。更にその問題から「小説より漫画やアニメなどの動画を好む」
ところが世の中には文字列から思考を行える層が一定数存在し、彼らは文字列から脳内にイメージや抽象概念を生み出す事が出来る。この辺の人がイメージから文字列への変換が下手くそな作品見ると、(求める解像度や動きのクォリティとかけ離れた絵が出てきてしまい)頭が痛くなってしまうと。こういう寸法だ。この辺の人は自分の脳内イメージと激しく乖離した漫画とか見た時に拒否の感情を表したりする。ワイは実は幼女戦記の漫画版がダメやねん。私の脳内ではあの世界はタミヤの1/35のフィギュアじみた解像度で描かれており、幼女らはもう少しリアルよりの作画になってるんじゃ。しかもドライブラシバリバリよっ!

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このような経緯から、web小説界隈で「無料だから」字面撫でてる人々は有償の物理書籍としての「小説」ではなく、小説の不足分を漫画家の画力や解釈で補った漫画やアニメを買う。だって分かりやすいんだもん。文字列を解釈可能な人々も物理書籍を買わない。出来が悪い(文字列から生成出来るイメージが貧困)んだもん。

で、この「イメージ生成が下手な読者」に分かりやすい物語を作る手段として「皆が共通で持つイメージの援用」……つまり柳生であるとか、ニンジャとか「コモンなイメージの活用」がある訳だ。しかし残念な作者は残念であるが故にコモンを知らぬ。残念じゃのう。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!