見出し画像

中世ヨーロッパの食事

やぁやぁ、我こそは中世ヨーロッパ警察である。しかしワイはジャガイモ警察とは異なり皆が中世ヨーロッパと勘違いして近世とか近代のヨーロッパ風の世界を自作ファンタジー小説に用いていても大して怒らない。そもそも中世ヨーロッパを知らんのだから仕方ないよねー、的な。それどころか日本の江戸時代だって詳しくねーべ。江戸中期には江戸市中に水道(上水道)が敷設されてたとか知らんもんな。

だから故に、ワイの仕事は啓蒙だと思ってる。知らないから語れない、ならば知れば良いのである。幸い麦粥に関しては僅かであるが浸透の気配が見えてきた。

良いぞ良いぞ(水鏡先生)
みんなで出そう麦粥の輪!

で、だよ。
皆が中世ヨーロッパっつーとフランス料理じみたものを描いてしまうのは、大体こいつが悪い。

カトリーヌ・ド・メディシス

イタリアからフランスの王に嫁いだ王妃なんだが、此奴が蛮族極まるフランスにイタリア風の食文化を混ぜ込んだ。シェフとか連れて嫁入りしたらしいんだわ。

それ以前はまず「食器が無い」陶器の皿とか無くて硬くなった平たいパンとか皿代わりにしてた。フォークもない、スープは下手したらテーブルのくぼみに配膳された。食う時は基本手掴み。だから手を綺麗にする為にフィンガーボールとかあるの。かなり早くから箸を使ってた日本から見たら信じられないだろうが、中世ヨーロッパまじバルバロイっスよ。宮廷でこれだから農村は推して知るべきだし、そんなばっちい生活してたから黒死病で壊滅的ダメージ受けるんだわ。

しかし、この辺の時代の話ってのは滅多にお話として書かれる事はなく、我々はついうっかり三銃士を中世ヨーロッパと勘違いしたり、下手するとベルサイユのばらを中世ヨーロッパと勘違いしてしまう。ベルばらはフランス革命直前から革命中の話で、時代的には18世紀だ。

で、ですね。

料理の前に調理法から見てみよう。
基本は煮るか焼くか。薪で火を起こしてそいつで炙ったり、熾火にして煮たり。まぁ日本で言う囲炉裏で調理みたいな感じですわ。

鮎の炉端焼きー

日本の昔話の農村思い浮かべたらいい。中世ヨーロッパにガスコンロはないのである。鉄が希少品だから鉄板焼きやフライパンも高級品ですぞ。安定した火力もなく、金属製の鍋釜も高級品。さぁ、今日は何を炙って/煮て食べようか?(涙)
料理する人なら分かるだろう。火力調整難しいと調理の難易度は格段に上がる。せめて……せめて炭が使えれば……!

まぁ、毎日がキャンプ料理ですよ。はっきり言って鉄製の調理器具を駆使してシーズニングバリバリ使えるBBQ Pit Boysの方が美味いもん食うてるぜ。

と、この様に。
中世ヨーロッパを生真面目に再現・考察すると流行りのナーロッパ物語は軒並みマズメシだらけになり異世界転生者は目から光が消えるであろう。毎日焼肉食いたい? 肉はあるが焼肉のタレは無いんだよなぁ……多分エバラ焼肉のタレのレシピや無限生成出来るチート持ってたら覇権取れる(確信)

まぁ、焼肉のタレのレシピ覚えて行っても原材料が様々な革新により高レベル化してるから同じ味にはならんだろうがな!

例えば、問うてみよう。
今では簡単に濃縮されたそばつゆの原液をスーパーで買えるけど、蕎麦つゆの作り方をご存知の方は居るだろか? グーグルで検索したらレシピは見つかるだろうが、鰹節や醤油の作り方は分かりますか? なお、中世ヨーロッパに大豆は無いぞ。
各種調味料が入手できず、自作するしか無い。しかも野菜や穀物は現代の様に品種改良が為されておらず、取れ高低いわエグみや苦味が強く野趣溢れる奴ばっかや。最近の子は知らんだろうが、私が生まれた後の50年でキュウリもトマトもほうれん草もかなり美味くなってんで? イチゴなんかはマジで同一作物か疑わしいレベルで美味くなった!
なんか世の中には最近の野菜が栄養少ないだの味が薄いとゆー人もいるわけだが、是非とも彼らに原種に近い野生種の野菜を食って欲しいものである。農家の皆様や農協、さかたの種などの苦心に対して敬意がたんねーよ。おっそろしく取れ高少なくて病害虫に弱く、アクや苦味が強い野菜を無農薬で育ててみーや。

我々は無数の先人の苦労の果てに今の生活を維持している。より豊かに、より快適に、より美味く……その苦労を知れば知るほど間抜けな発言はできない筈なんだが……なんかこー、残念な人は多い。

しかし、その先人の苦労に想いを馳せてナーロッパ世界をマズメシの宝庫にしたら読者はゲンナリしてしまうので、ワイは中世ヨーロッパ警察でありながら、ナーロッパ飯は中世ヨーロッパに激似にする必要は無いと思っている。ただ覚えておいて欲しい。マジもんの中世ヨーロッパ食生活はお辛いぞ。つか昔の料理全体がお辛いのである。私は常々異世界転生するなら「日本の江戸時代以降」か、19世紀の先進国にして欲しいと願い続けている。

でだ。
ナーロッパをある程度美食の地にしてかつ「リアリティラインを崩さない様に」するのであれば、以下のテクノロジーや事物を導入するべきでは無いかと愚考する。

1.炭
安定火力は大切だって話やねん。炭焼きと木酢酸。また炭焼き釜があるのなら陶器生産されててもおかしく無い。実際には薪ばっか使って煙突は煤だらけ。

2.大豆
実際にはグリーンピースとか食ってたらしいが、シルクロード経由で伝わってても良いのでは感。(流行らなかったのはヨーロッパの土壌が大豆に適さなかったから、らしい)
大豆があれば醤油も味噌も作れるし、ビールのアテに枝豆もイケる。うっせぇ俺のナーロッパでは枝豆食えるんだよ!

3.トマト
ジャガイモと同じで南米原産。そして実は毒がある(重要) ジャガイモも芽や緑色になったとこにソラニンという毒性があり、トマトも緑色の部分にトマチンという毒がある。トマトのヘタ食わないのはそれが理由だ。南米原産だから大航海時代以降にヨーロッパに入って来るんだけど、トマトは1個当たり味の素数振り分のグルタミン酸塩を含むのだ。イエス! グルタミン! イノシン酸との合わせ技で旨み倍増これで勝て。

4.生野菜(サラダ)
えー。生野菜食うのはイタ公だけです。アルプス以北の蛮族地帯では野菜も加熱調理するのが普通でした。が、生で食わねばビタミンがアレなので健やかな生活の為には生野菜食うべき。そしてその為にはドレッシングが必要になるかと思うので普通にドレッシング出していこう。というか、ドレッシングが爆誕したせいで爆発的に野菜の生食が流行ったってんで良くね?

5.日光浴
ダンジョン潜りっぱなしとかだとビタミンDが合成できなくなるねん。ある程度は陽のあるうちに街中や郊外散歩して日光浴びた方が良い。これはガチな話なんだが、高緯度地方であるロシアなどではガキンチョに紫外線ライト当ててビタミンD合成させる事もあるらしいやで。

6.蒸留酒
基本、中世ヨーロッパでは醸造酒を飲む。ワインやビール(エール)なんかだね。古代ローマの技術がオリエントで保存されて修道院経由で「錬金術と共に」ヨーロッパに戻るまで、実は蒸留酒と言うものは殆ど出回ってない。
が、蒸留による高濃度アルコールがあると皆もお馴染みのアレが出来るんだ。「アルコール消毒」である。その効果の程は新コロで散々味わっただろう?
実際のヨーロッパでも当初は薬用目的で生産されてたのだが、今も昔も酒飲みはアレなので、ついついクイッとネ。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!