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【インタビュー】社員自ら組織風土を変革中。社長の深い気づきが、会社を良い方向へ

ピュア・エッジの組織開発支援は、「 コーチ型組織開発 」です。
組織のTOPリーダーや経営層・中堅・若手層の皆様が、自分自身、そして自組織の中にある答えを探求し、それに形を与えていくプロセスを支援する、「組織に対するコーチ」として関わります。

今回、クライアントである株式会社イシダテクノの瀧川社長に改革のリアルな経過や変化についてお聞きすることができました。

株式会社イシダテクノ
代表取締役社長 瀧川浩司さん

どうして主体的にやってくれないんだ!?

―ピュア・エッジの組織開発支援を受けられたきっかけを教えて下さい。

2012年に社長に就任して以来、お客様に提供できる独自の価値を創出しようと取り組みを続けてきました。商社として、計量器や検査装置などを卸すだけでなく、自社で開発したソフトウエアや機械設計なども併せて、お客様のニーズによりフィットした対応をしていける企業に変化していこうと。ところが、部署をつくって取り組み始めたのはいいのですが、なかなか成果に結びつかなかったのです。

いま振り返れば、箱だけつくって「中身」が伴っていなかったのだと思います。私がトップダウンで決めて、社員の意識がついてきていなかったのでしょう。ただ、当時は「どうしてみんな、主体的にやってくれないんだ」と思うばかりでした。そんな行き詰まった状況を信頼できる友人に相談したところ、ピュア・エッジを紹介されたのです。

会社の存在意義とそれに基づく行動規範を3ヶ月かけて錬成

―どういったところから始められたのでしょうか?

2018年の秋、ピュア・エッジの木村さんがまず取りかかったのは、主だったスタッフへの個別ヒヤリングでした。そして翌年の春には全社員を対象としたウェブ入力式の意識調査を実施しました。組織開発を進めるにあたって、現状を把握するためです。その上で、管理職向けのワークショップを開きました。意識調査の結果を自分ごととして受け止めてもらうのが目的です。

並行して、全社から変革リーダーとなる社員を募りました。自薦、他薦で30、40代の若手と、管理職も含めた計20人弱が集まって、会社の進むべき方向性を考えていったのです。彼らは木村さんのファシリテーションのもとで討論を重ねながら、イシダテクノの存在意義と、それに基づく行動規範を3ヶ月かけて錬成していきました。

―会社の存在意義などを、社員が自ら決めていく。その取り組みについて、当時、瀧川社長ご自身はどういう印象を持たれていたのでしょうか?

正直言うと、「ちょっと違うんだけど」「こういう変化を望んだんじゃない」と思ったときもありました。自分の想いや、形にしたい会社の在り方が明確だったので、少しでも違う方向に進んでいるように感じると、どうしても修正したくなるのです。ただ、私が意見すると気を遣わせてしまい、以前と同じになってしまいます。これではイノベーションにならないと気づいて、一歩引いて社員の意見を尊重し、寄り添いながら見守るように心掛けました。

―完成した存在意義と行動規範を、どのようにして浸透させたのでしょうか?

変革リーダーたちが、現在進行形で広めています。といっても、標語のように言葉を掲げるだけでは、まったく意味がありません。新しい存在意義、それを実現するための行動規範を、各リーダーがそれぞれの職場でまさに行動で示しながら、周囲に少しずつ影響を及ぼしています。そうした日々の積み重ねが礎となって、やがて望ましい組織風土が醸成されていくのだと感じています。

継続していくために

―ただ、そうはいっても組織の中で新しい何かを始めると、必ず抵抗にあったり、無関心な態度を続けられたりして、心が折れかける場合もあるのではないでしょうか? 簡単にはいかないような気もしますが。

もちろん、変革リーダー自身も日々の業務や人間関係で悩み、苦しみ、試行錯誤を繰り返しています。けれど、彼らはピュア・エッジの方々からグループコーチングも受けています。彼らが「自分たちの力で、より良い会社にする」という意志を貫き通せるのは、そのおかげもあると感じています。また、変革リーダーは定期的にメンバーを入れ替えて、現在2期目に入っています。主体的な意識を持った社員が増えるほど、組織風土の刷新も加速していくはずですから。

そうした取り組みをより深く理解し、部署ごとに進化していくために、管理職たちも研修やワークショップ、グループコーチングを受けています。

手応えと自身のリーダーシップへの気づき

―なるほど。では、具体的にはどのような手応えを感じていらっしゃいますか?

社員のなかに、自分たちが会社を運営しているとの想いが強くなっているのは確かですね。会社としてもそうした姿勢を応援しているので、「みんなで話し合って、より良い仕事をしていこう」という空気が濃くなってきているように思います。

そして、なにより私自身も大きく変化しました。

―どのような変化を感じておられるのでしょう?

先日、ある大学から学生向けの講演を頼まれたので、そのための資料づくりをしていました。そこでここ数年を振り返るうちに、「主体性がなかったのは自分だったんだ」と気づいたのです。イシダテクノの価値を創造するため、新しい部署をつくって取り組もうとしていましたが、実際には箱をつくって「あとはやってよ」というスタンスだったんだなと。車にたとえるなら、バックシートに座ってあれこれ文句を言っているようなものです。当時は自分が運転しているつもりだったけど、実は違っていた。リーダーシップというものをはき違えていたんですね。これは私にとって、とても大きな気づきでした。

適切な伴走者とともに、長いスパンで

―トップである瀧川社長ご自身のそうした気づきも、社員の皆さんに少なからぬ影響を与えているのだと思います。こうした組織開発支援を、どのような方に勧めたいとお考えですか?

自分が何かをなし得たいと思っている人にとっては、非常に有効だと思います。ビジョンは、1人だけでは叶えられません。会社の仲間たちと同じ方向に進むためには、自分自身のなかの深い気づきが不可欠です。そのような気づきは、おそらく自分だけでは難しい。気づくべきタイミングに、適切な伴走者のもとで初めて気づけるものなんだと、この3年間で実感しました。

最後にひとつ、付け加えさせて下さい。
私はこれまで、コンサルティングの類いにあまり価値を感じていませんでした。ほとんど成果を生まなかったからです。どんな研修を社員たちに受けさせても、その影響は日常の業務のなかで日々薄らぎ、忘れられていくだけでしたから。

ただ、ピュア・エッジには現時点で3年以上、継続して入ってもらっています。私が手応えを感じ始めたのは、2年目を終える頃でした。それくらい学びと研鑽を続けなければ、組織風土や意識といった「中身」は変わらないのだと、身をもって感じています。逆に言うなら、掛けた時間の分の価値は、確実に育まれるのです。本気で社員の、そして自分自身の意識を変えて、よりよい組織にしたいと願うなら、適切な伴走者とともに、ぜひ長いスパンで取り組んでみられることをお勧めいたします。


日経CNBC「時代のNEW WAVE」で、株式会社イシダテクノの社内改革の取り組みが紹介されました。


インタビュー/執筆:大村 隆



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