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【#パー蔵の読書感想文】《世界》がここを忘れても Written by 清末愛砂

パー蔵です. 実は今日, ブックオフで9冊の本を書いました. 読書をするようになってからというもの, ブックオフに行くと必ず本を買ってしまう癖がついてしまいました. 良いことなのでしょうが, 積読してる本がどんどん増えていってしまい, 少し本の衝動買いを抑えていかないとなと考え始めてもいます. まぁ結局は買うのですから, それほど気にする必要もないですかね.

さて, パー蔵の読書感想文第2回目ですが, 今回ご紹介するのは

《世界》がここを忘れても

ファルザーナというアフガン女性の物語についての絵本です. この物語自体はフィクションなのですが, 清末愛砂さんご本人の, アフガニスタンでの経験や, 友人等のお話をモデルとした, 『ノンフィクションに近いフィクション』です. 

以下に, 簡単な内容をご説明していきます.

主人公のアフガン女性, ファルザーナは, パキスタンの難民キャンプで育ち, アフガニスタンの首都カーブルに帰還. 2020年現在, 女性の暴力や差別から女性を救うために弁護士になることを夢見る, 法学を学ぶ大学2年生. 大学の勉強の他に, 週に1回の女性団体の事務所でボランティア活動をしています. そこでは, "*バアド"に苦しみ, 逃れてきた女性, その他性暴力や虐待から逃れてくる女性の対応にあたっています. 

*バアドとは, 例えば殺人などの深刻な犯罪によって他の家族と対立が生じてしまった際に, その対立している家族の男性と結婚をさせて問題解決を図る習慣のことです. しかし実際は, その女性に憎しみからくる苛酷な暴力を受ける場合が多々あります.

ある日, 朝に弱いファルザーナはいつも通り母親に急かされながらバス停に向かいました. いつもならスピードを落としてバス停に止まるバスが, 通り過ぎ, 急ブレーキした後...

ドーン!

*爆弾テロにバスが巻き込まれてしまいました. そしてそのバスの中には, 難民キャンプ時代からの親友であるナーディヤーがいたのです. 彼女はその爆発で亡くなってしまったのです...

*近年, 爆弾テロが頻繁に起こっており, 多くの人々が犠牲になっています. 現在, 米軍が支援するアフガン政府軍, ターリバーン、そしてイスラーム国の三つ巴状態になっています. 

その事件以来, ファルザーナは外に出なくなり, 大好きだった勉強も, 何もしなくなってしまいました. 

ただ思い出すのはナーディヤーとの思い出の日々.

3ヶ月後, 大学に行き始めることを決意し, バスに乗車する. 

何事もなかったかのようにバスが到着し, 変わらない風景を眺めながらバスに揺られる. 

ただ違うのは, ナーディヤーがいないということ.


一見すると「よくあるような中東を舞台にしたフィクションだなぁ」と思ってしまうかもしれません. しかし, これが現実として起こっているのです. 女性差別の問題や, ここの内容の要約には含まれていませんが, 識字率や就職率など, さまざまな抑制が一般の生活の中でも広がっている, そんな世界を私たちの多くは知る由もないですよね. それだけ日本が豊かであり, 安全だからです. これが"当たり前である"ことの感謝, そして, この"当たり前である"ことが, 世界の別の地域で暮らす人々にとっては"何よりの幸福"であるということ, この二つを心の片隅に置いておくだけでも, 世の中におけるさまざまなことへの見方が少し違ってくるのではないでしょうか. 

その他にも, 教育を受けられること, 命の危険を感じずに外に出歩けること, 好きなことをして友人と何も気にせず笑い合えること, その他全ての出来事に, 不思議と"有り難さ"を, パー蔵はこの絵本を通じて感じました. 

いまだにそんな世界があるのか。。。」「なんか現実味を感じないけど, 知らない土地にいる誰かがそんな世界で暮らしているんだ。。。」など, 衝撃を受ける人もいることでしょう.

その感覚を, せめて読者であるパー蔵とあなただけでも, 無くさないでいることが, 一つの彼女らに対しての貢献に繋がるのではないでしょうか, ということを信じたいものです. 

同時に, 『では, アフガン女性にとっての本当の幸福とはなんだろう?』ということを考えました. 現在, アフガニスタンでは徐々に女性の活動が広がっているそうですが, これがより"当たり前"になっていくことを, 心より応援しています. 

感想文の最後に, 2017年7月24日にカーブルで起きた大規模な爆弾テロに巻き込まれ, 命を落とした清末先生の友人, アジーザさんに, お唱えさせていただきます. 

まこと、我らはアッラーのもの。まこと、我らはアッラーの許へ帰るのだ。...(略) あなたに平安とアッラーの祝福のあらんことを。


この記事を最後まで読んでくれた方と共に, どんな姿になっていようと, いつまでも若々しく, 学び続けられる大人で在りたい.

まだまだ未熟者ですが, どうか温かい目で見守っていただけると幸いです.


パー蔵

引用イラスト入り秋木の葉Facebookカバー (3)

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