「石段登りの街」(萩原朔太郎)

 伊香保はどんな所ですか、と問われてはっきりと答えるのは難しい。東京から近い山の温泉で、鳥の鳴き声がよく聞こえる自然豊かな場所です。田舎っぽさが少なく、全体的に女性的で中庸な温泉街です。友人からの評価は可もなく不可もなくでした。
 私には伊香保温泉は馴染のない温泉街です。パッと出てくるのは城崎や有馬、地元に近い場所を思い浮かべます。知らない場所を紹介されている感じで、読んでいて新鮮な印象があります。作者が多くの温泉へ行っており、好まない雰囲気やこんな人は居てほしくないという例がとても具体的です。今でいうとオーバーツーリズムに気分を悪くするのと同じかなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?