「薤露行」(夏目漱石)

 マロリーのアーサー王の死を元にランスロットを中心とした物語になっています。夏目漱石には珍しく文語体で書かれています。時代背景を考えて雰囲気を重視したのでしょうか。
 ランスロットは理想的な騎士で、武術も騎士としてのふるまいもとても優秀でした。物語の中で唯一の欠点と言えるのはアーサー王の妃ギネヴィアとの恋でしょう。よりにもよって主君の妻との恋です。感情のところなのでコントロールは難しいところです。忠義と恋に悩み、アーサー王物語より人間的で、身近な存在に感じられるランスロットだと思います。

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