「日日平安」(山本周五郎)

 井坂十郎太は江戸に向かう途中、切腹しようとしている菅田平野と出会います。菅田は同情を誘って借りようとしたのですが、介錯してやると返されて狼狽します。そんなコントをしているような出会いから始まります。
 井坂十郎太の国許では政争が起こっています。百性や町人が苦しんでいるのに、十郎太の伯父である陸田は城代なのに何もしてくれません。悪政の原因である者達は十郎太が江戸に向かったのを知って、伯父を拉致します。どうやら悪事を報告しに行くと勘違いして暴走したようです。十郎太と菅田は同士と共に陸田を救出します。そのために菅田は陸田が囚われている屋敷に忍び込んだり、対策を講じて成功させます。最後は菅田が藩に任官できるところで終わります。菅田は救出に成功したあと気づかれずに立ち去ります。十郎太を騙していたことに良心を痛めたようです。呼び止めに来た十郎太は藩のためにとうまく言ってくれました。最初は菅田のほうが丸め込もうとしていたのが、最後は逆になっているのもおもしろいです。

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