「ケーベル先生」(夏目漱石)

 ケーベル先生は、東京帝国大学(今の東京大学)で哲学と西洋古典学を教えた人物です。美学、美術史や音楽にも明るく、こちらの講義も一時期教えていました。
 大学卒業後、時間が経ってからケーベル先生に会いに来た漱石は書斎に案内されます。漱石にはその姿があまり変わっていなかったり、容貌や所作に目が行って書斎の本には意識が行かなかったことを少し気にしています。確かに専門家が持っているものは気になります。
 ケーベル先生には確固たる判断基準があって、感性や心に正直な人物のようです。カラスに餌をやってみたり、コウモリの悪魔のような翼が好きだったりと、自分の意見がスッと出てきているエピソードが面白いです。

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