「噂始末」(松本清張)

 江戸時代、徳川家の上洛の際に通り道になった藩は宿泊の手配が仕事になります。将軍一行はとても人数が多いので、小さな藩では藩士の家に宿泊させたりすることもあります。掛川藩の藩士、島倉利介も一人の武士を引き受けました。接待は問題なく終わりましたが、直後から黒い噂を流されて将軍が帰りの際には利介だけ役目を外されてしまいました。その後噂を流した本人を斬ることになります。武士にとって面目は重んじられるもので、卑怯な手を使った本人は今の意識よりもより強い悪意がありそうです。気になったのは直接現れることがなかった主君です。噂話を鵜呑みにして事実のように扱った主君はどんな考えを持っていたのでしょうか。あまり良い人物では無い印象です。

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