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やり込みフリゲ制作指南書!気持ちよくやり込ませるまでの道のり

皆さんやり込みゲームお好きでしょうか?

一口にやり込みゲームと言いましても色々と種類はあると思いますが、レアアイテムを集めたり強敵と戦ったり、シナリオを進める以外の要素*がたっぷりあるゲームって面白いですよね。

私もそんなやり込みゲームをいくつか作ってきたのですが、作る側の立場になるとやり込みゲームを作るにあたっていくつか気づいた事というのが存在します。

そんな知見を失敗談を交えて紹介できたらなと思います。

*本稿では以下「シナリオを進める」「ミッションをクリアする」といったゲームクリアための進行に必要な要素以外の要素をやり込み要素と定義します

1.運で入手出来るアイテムは入手までの時間を計算する

やり込み要素といえばレアドロップ!と言えるほど多くのゲームで採用されているレアドロップ要素ですが、レアドロップの確率を何となくで設定していませんか?

感覚で設定していると、もしかしたらとんでもなく長い時間をかけないと入手出来ないかもしれませんよ?

運が絡む要素というのはやり込み要素として広く採用されていますが、結局は運であるためコンプリートするために必要な時間というのは想定しづらいでしょう。しかし運が絡む要素だとしても平均入手時間は計算できます。

○レアアイテム平均入手時間の計算式
アイテムが手に入る確率:x [%]( x = 1で100%入手、x = 0.01で1%入手)
再抽選に要する時間:y [分]
99.9%の確率でアイテムが入る試行回数:(log0.001) ÷ log(1 - x) [回]
とすると
( (log0.001) ÷ log(1-x) ) × y = 平均入手時間[分]

https://dskjal.com/statistics/the-probability-of-gacha.html#how-many
ガチャの確率計算

私は入手確率の設定を失敗して、あるプレイヤーを延々とレアドロップ狙いさせる無間地獄へ突き落としてしまった事がありました。

それは0.005%の確率で入るアイテムで再抽選まで平均2分かかるものでした。上記計算式に当てはめると

log(0.001) ÷ log(0.99995) × 2 ≒ 276303[分]

となり確実に入手するまでに不眠不休で約192日費やす計算です

未だその御方はレアドロップを求め続け、今でも夜な夜な周回をしているとの事……。罪深い事をしてしまいました

2.やり込みの苦労に応じた適切な報酬を与える

これはやり込みゲームを作るにあたっていちばん大切な事かもしれません。

そもそもやり込みユーザーが何故やり込むかというと、「やり込みという苦労に応じた報酬」を求めているからこそやり込むのです。

「やり込みプレイヤーはどんな要素もやり込む」と勘違いされがちですがそうではありません。あくまで面白いと思った要素があるからこそやり込みスイッチが入ってくださるのです。

いくらやりこみ要素を大量に用意しても、そのやり込み要素に楽しさを見つけないとやり込もうという気持ちにはならないのです。そしてその楽しさとは、やり込みの苦悩の先にある報酬であったりご褒美であったりします。そのご褒美が苦労と釣り合いが取れていなければプレイヤーは冷めてしまいます。

しかしまあ製作者に取ってはここが一番難しいところで、やり込みによる報酬って良いものあげすぎるとやり込みしているプレイヤーとそうでないプレイヤーとで強さにとんでもない差が生まれやすいのです。

その結果、やり込んだユーザーとそうでないユーザーではプレイしたときの感触や遊びごたえが大きく異なり、フィードバックには「簡単すぎる」「難しすぎる」といった両極端の意見が飛ぶように……なんて事も起こりえます。

コレに対処するためにやり込みの報酬を抑えざるを得ない。しかしそうするとやり込み報酬が渋くなってやり込みが楽しくなくなる……という天秤にかけられる事になるのもしばしばです。

しかし私の結論としては、それを加味してもやり込みには相応の報酬を与えるべきだと思っております。というのもやり込みって普通にプレイする倍の時間かかっているようなものなんですよね。言い換えればやり込みは2周目プレイと同義と言ってもいいでしょう。

2周目だったら初回プレイと同じような苦労を味あわせなくてもいいんじゃないか……?そういう寛容な心持ちで見守るのが良いのではないかと思います。

余談ですが、やり込みの報酬がない場合でもやり込んで下さる方が存在することはあります。ですがそれって究極的にゲームを愛した時「もっとこのゲームを味わいたい」と思うようになって下さって初めて報酬の無いやり込みに手を出してくださる時の奴です。

例えばドラクエで戦闘回数をカンストの999まで戦うみたいなやり込みは報酬はありませんが、それはやり込みまでに至る過程でドラクエがとても面白くてもっともっと遊びたいと思ってくれたからやっているわけで、ゲーム開始時で何も分からない状態から戦闘回数をカンストまでやり込む方は居ません。居ないのです!(居たらごめんなさい)

いわゆる、プレイヤーをゲームに惚れさせた状態になれば報酬のないやり込みもしてくれるかもしれませんが例外中の例外です。そういうケースは無視して、あくまで苦労に応じた報酬を与えるように徹底しましょう。

天には栄光を 地には平和を やり込みには報酬を!

3.やり込みで得た報酬を取り上げない

やべ!やり込ませすぎたら強すぎた!弱体化します!

これは一番ありがちですが、やり込みゲーマーが一番冷める瞬間です。スンッ……となります

プレイヤーの気持ちに寄り添って考えてあげると分かりますが、普通に嫌と感じる事でしょう。セーブデータ消されるようなものです。できればやり込み報酬は取り上げないよう心がけましょう

とはいえ製作者側としては想定したバランスでゲームを遊んで欲しいもの。やりこみ要素で想定外に強くなってしまったケースに対処するために考えられる事は……

  1. 強すぎるまま進行させる

  2. 強すぎる要素に合わせるように他の物も強化する

  3. やむを得ず弱体化するが配慮する

  4. そもそもやり込み要素が想定より強すぎないように注意する

1のケースはもうそのままやり込みの報酬を思う存分味合わせるものです。
「強すぎるなら仕方ない。ここから先はボーナスステージだ!」と割り切るパターンです。

このケースの最大の欠点としては、強すぎた結果やり込んだ張本人がそのゲームに飽きてしまいがちという問題があるのですのよね。ですのでもっともっと遊ばせたいと考えているならばオススメしかねます。

2のケースが一番妥当でしょう。強すぎる要素があるなら、それに合わせて引き上げる。例えばやり込みによって強化した武器が強すぎるなら、他の武器もそれ相応の強さにする。あるいは今後出現する敵をもっと強化するなどしてバランス合わせるケースです。

こうなってくるとインフレが止まらないのですが、フリゲであるならインフレ上等!の気分で突き進んでも良いと思います。

3のケースは修正するなら最低限の弱体化に留める。もしくは弱体化した分他の要素を強化して釣り合いを取らせるといった考え方です。

例えば武器強化によって攻撃力が異常に高すぎてしまった場合、攻撃力を下げる代わりに他の要素(守備力や素早さなど)を上げて強化によるアイデンティティを他の要因に置き換えてしまいましょうというものです。

このケースがうまく作用すれば、やり込めば通常とは違った戦略が生まれるという事に発展しうるので、適切な設定ができればベストケースになる可能性もあります。

それでもどうしても弱体化する必要があるなら、バグで異常に強かったので直しました、とかで言葉を濁しましょう。よくあること。

4のケースはそもそも作る時点で注意するという視点です。
本稿を見てくださった方の中ででもしこれからやり込みゲームを作るという方がいましたら、意識しておけばこうした被害を防ぐことが出来る事でしょう!

※この項目で話しているのはフリゲの話ですので、もちろんソシャゲや対戦もの、オンライン要素があるものや金銭の絡む場合は話が大きく違います。その場合は今後の利益を最優先と考えて弱体化する必要があったりします。

4.やり込み要素は基本的なシステムが分かった頃合いに出す

これは簡単に言うと、どれが必須目標で、どれが努力目標なのかを分別できないと、プレイヤーが力の入れどころを間違ってしまうからです。

ゲームを開始した時点で様々なチュートリアルが入ります。ミッションやクエスト、強化や合成や錬金やカジノや……色々と要素をいっぺんに出してしまうと、多すぎる要素の中でどれがやり込み要素なのかそうでないのか判別がつかなくなります。

その結果として、ゲームを進行させたい人がやり込み要素に手を出して冗長に感じたり、やり込み要素好きな人がゲーム進行させてしまい結局序盤に戻って取りこぼした要素をやる事になったり……とミスマッチが起きてしまいます。

ではどうすればよいのか?まずはゲームのクリアに必須な要素と、そうでないやり込み要素を切り分けましょう。

そしてゲームの遊ばせ方や進行方法の基本が分かった段階で「こういう要素もあるのですよ」とやり込み要素をそっとお出ししましょう

具体的に言うならば、RPGで言う所の鍛冶屋だったり錬金だったり装備を強化する要素ってストーリーには必須かと言われるとそうでもないですよね?

それなのにゲーム開始時から「鍛冶屋あります」「ストーリーも進められます」と2択を用意されるとどちらを優先していいか迷いが生じてしまいます。

そこでまずはストーリーの進行に要素を絞り、プレイヤーがストーリーを進めていくうちに「敵が強くなってきた。何とか解決したい」と思い始めた頃に強化要素が入るとすんなり受け入れやすいです。

そしてやり込み要素を必要な頃合いに出していけば、やり込みユーザーにとっても自分がいつやり込め要素に力を入れればいいのか把握しやすくなります

やり込みスイッチを入れさせる適切なタイミングを図るためにも、やり込み要素は要所要所で必要な時に提供してあげるといい効果が得られるかもしれません。

5.やり込みの余韻にしっかり浸らせる

「このゲームの最強の敵倒しました!」
「すごい!じゃあもっと強い敵をすぐ追加しますね!」

こう思っちゃいがちですが、本当にそれ正しいですか?

やり込みを達成した後、余韻に浸りたい時間っていうのがあります。強敵を倒した後、最上級のやりこみ要素を達成した後。そうした余韻は長きに渡るやり込みの最上のご褒美といえましょう。

とはいえ、余韻に浸る間もなくすぐさま新要素を追加した時にどう思うのでしょうか?

やり込みを達成したと思う間もなくまた次のやり込みが出てくる。矢継ぎ早に追加されるやり込みは、いつしか目標から課題へと心境の変化が起こります。それはまるでやってもやっても終わらない宿題のように、やりこみ要素がやらなきゃいけないタスクとして積み上がっていくのです

このタスクと向き合うかはプレイヤー次第ですが、やり込みの余韻に浸っているうちはすぐさまやらないと思うのですのよね。下手すればそこで冷めてしまう可能性も大いに存在します。

もちろん敵が弱すぎて余韻に浸る余地も無いという時は、強いボスを追加すればワクワクするでしょう。

そこはゲームの状況によりけりですが、大事なのはしっかり余韻に浸らせられているか?そしてその余韻を奪うことをしていないか?です。
新たなやり込み要素を追加する時には、常々この考えを忘れてはならないのです。

まとめ

というわけでここまで見て頂きありがとうございました!
色々と語りましたが中でも個人的に大切なことをまとめるなら

  • やり込みの苦労に応じた適切な報酬を与える

  • やり込み報酬を取り上げない

  • 現実的な時間で出来るやり込みに抑える

でしょうかね。皆様のやり込みフリゲ制作の参考になって頂ければ幸いです。

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