見出し画像

絶対に捨てられない女/番外編 〜桃音のノート〜


あらすじ
浅香桃音という女に出会って
人生が変わる男の話。
彼女は一体何者なのか。
悪女なのか、それとも!?
現代を生きる人たちにきっと
刺さる桃音の言葉たち。

番外編では
桃音側の気持ちが分かる
桃音のノートを公開。
桃音の過去や感情、全てを綴る。

12月25日
渡辺桃音。
今日10歳になった。
クリスマスは小さい頃から
楽しみな行事の1つだった。
もうサンタさんがパパだって事は
気づいてる。

去年のクリスマスプレゼントは
いちごの柄をしたノートだった。
可愛くてお気に入りだけど
使うのもったいなくて、
タンスの奥に閉まったままだった。
今日は気持ちがザワザワして眠れないから
今年から日記を書こう。

今年のプレゼントは
パパと前にお菓子作り一緒にしようねって
言ってて、その時に色んなお菓子グッズも
集めたいなって桃音が言ったから
色んお菓子が作れるグッズだった。

でも少しも嬉しくなかった。
クリスマスケーキとバースデーケーキ
いつも2つの味が食べれて嬉しいのに
今日は最悪の気分だった。

2つのケーキを食べてる時に
「今年で3人で過ごすクリスマスは
最後になるんだ、ごめんね。
でも桃音の誕生日はずっと祝いたいから
毎年お祝いさせてね、会いに来るから」と
パパが言った。
意味がわからなかった。

「なんで?」と聞くと
「パパとママはお別れすることになって
桃音はママとここで暮らしなさい。
パパは静岡の実家でお仕事をするんだ」

「じゃあ静岡にみんなで行こうよ
ねえママそうしよう」
「ママと桃音は行かないの
ママとパパが話し合って
そう決めたの。」とママが言った。

なんで家族は3人なのに2人で
決めちゃったんだろう。
勝手に決まるくらいなら話し合いに
入れて欲しかった。

何度も理由を聞いたけど
2人とも隠してばっかで
何で別々に暮らすのかよく
わからなかった。

でも桃音は悲しかった。
パパとお菓子作りなんてもう出来ないのに
こんなプレゼントいらない。

1月8日
今日から学校。
先生に浅香さんって呼ばれて
一瞬誰のことか
分からなかったけど桃音の事だった。

慣れないなー
パパは年末にバイバイしてから
またすぐ電話するねって言ってたのに
1週間たってもかけてこないな。
うそつきだ。

4月10日
今日から5年生。
なんかいじわるな子がいた。
名前も覚えてないけど。
なんで桃音ちゃん苗字が変わったの?とか
桃音ちゃんのママは水商売なの?とか
いやらしいお仕事とか色々言ってた。

バカみたい。あの子は苦手だな。
話したいと思える人もいなかったな
友達できるかな。

今日はパパに教えてもらった
肉じゃがを作ろう。

8月25日
パパから電話が来た。
パパのすぐは8ヶ月も先の事だったんだ
元気でやってるらしい
ママの事も聞かれたけど
ママの様子が気になるなら
離れなければよかったのに。

肉じゃががあんまり上手に出来ないって
話したら隠し味を教えてくれた。

12月25日
11歳になった。
ママがお祝いしてくれた。
ママがプレゼントしてくれたのは
真っ赤な口紅だった。

全然欲しくないのに。
「こんなのまだ早いよ、いらない」と
言うと
ママは「なんでー?口紅くらいいいじゃない
桃音はママに似てべっぴんさんだから
似合うと思うよ、ほら塗ってみて」

言われるがまま口紅を塗った。変な顔。
するとママは「まだ似合わないね
桃音にはまだ女の魅力が足りないって事だ。
早く大人になってたくさん恋をしなよ
あ、でもママみたいに捨てられないように
いい女になりなさい」と言った。

ママはパパに捨てられたんだ。
捨てられる女にはなりたくない。
こんな口紅一生しない。
女の魅力なんていらない。
大人の女になりたくない。

パパはお祝いするから
会いに来るって去年言ってなかったけ。

やっぱうそつきだな。

5月17日
6年生になったけど
毎日楽しくない。
勉強きらいだし友達もいない
もう欲しくもないけど

梅雨だしうっとおしい。
テレビをつけると
おしどり夫婦と言われていた
人気俳優と人気女優の
男の方が若手のモデルと
不倫していたと騒いでいる。
馬鹿らしい。

昨日肉じゃがが前より美味しかった
あと少しでパパの味に近づけそう。

10月9日
生理がきた。
お腹が痛かったしトイレに行くと
血が出てた。
ママに言うと
「おめでとう。これで桃音も
大人の女性の仲間入りだ。お祝いしよう」と
赤飯をスーパーで買ってきた。

美味しくなかった。
大人の女性になりたくないのに
何もお祝いじゃないのに。

あー憂鬱だ。

12月25日
12歳になった。
来年から中学生か。
どうせ友達もできないだろうし
行きたくないな。

ママのプレゼントは
なんか派手な下着のセットだった。
もう何とも思わない。
これからも大人の女シリーズで
来るつもりだろう。

タンスの奥に閉まっておこう。

パパは去年の8月から音沙汰なしだし
2年会ってない。
もうどんな顔か忘れたな。
嘘つきな顔してたっけ。
捨てる男の顔ってどんなだっけな。

4月7日
中学校の入学式
隣の小学校の子が増えただけで
何にも変わらないな。

あ、パパがなぜか入学式に来た。
謎の登場で驚いた。
久しぶりにママと一緒にいるのをみた。
なぜか学校の前の桜の木の下で
3人で写真を撮った。

全然いらないのに。
なんの記念写真なんだろう。
写真のパパとママを見て思う。
これが捨てる男と捨てられる女か。

7月30日
パパが家にきた。
入学式以来、ちょくちょく電話も来るし
会いに来るなんてびっくりした。
夜ご飯を久しぶりに一緒に
作ろうと言われたので
肉じゃがを作った。

パパの作り方を研究していると
ジャガイモを思ったより小さく切っていた。
だからパパのは味が染みてたんだ。

次からは1人でもうまく作れそう。

ママが夜仕事に行ったので
パパと2人っきりになった。
なんか気まずかったけど話していると
昔みたいに気が合った。

ママは考え方が女すぎて
気が合わないのでパパとのが
話が合う。
パパとは似たもの同士だなって思った。

この際だからママと別れた理由を聞いた。
驚かないから隠さずに全部教えてって言った。

「ママはいつまでも綺麗で
いつまでも女の子扱いして欲しい人でしょ
それがパパはできなかったんだ。
家族の一員として愛はあったんだけど
ママは物足りなかったみたい」

「だからママを捨てたの?」って聞いた。

「パパからもう別れようとは言ったけど
捨てたって言い方は語弊がある。
きっかけを作ったのはママで
許せなかったのがパパなんだよ。」

「違うよ、ママ捨てられたって言ってたもん」

「うーん。パパがママを家族としてしか
見れなくてママは寂しかったんだよ。
僕が寂しい思いをさせたから
悪かったんだけどね、
ママは寂しさを埋めるために
他の男の人と過ごしたりして
紛らわしてたんだよ。
それがどうしてもパパ許せなくてね。
だから結果的にはパパが
捨てたって事になるのかな」

「他の男の人と過ごすって
セックスしてたってこと?」

パパは驚いていて黙ってた。

「隠さなくていいよ、
責めたりしないから。
ただ知りたいだけ。
それにもう桃音中学生だし
周りにセックスしてる子もいるし
浮気とか不倫とか世の中にいっぱい
溢れてるから驚かないよ」と言うと

「そうだね。桃音もどんどん
大人になって色んなことを
知って成長してる。
桃音が聞きたいなら隠さずに話すね、
ママはパパじゃない人と
男女の関係だった。
パパは自分がママを女として
見れなかったくせに
ママが他の男の前で女になるのが
許せなかったんだ。
パパがママをずっと苦しめていたんだよ。
ママも世間体では悪いことをしたのかも
しれない。
でも原因を作ったのはパパで
それなのにパパはそんなママを
どうしても許せなくて捨てたんだ。
パパが全て悪いよ」
と言った。

そんな風に言えるパパはかっこいいと
思った。
寂しいからって違う人とセックスするなんて
誰だって許せないと思う。
それなのにパパは自分を責めている。

パパの話を聞いてもっとパパとママの事が
知りたいと思った。
もうパパが誰かを捨てないで欲しいとも
思ったし
もうママが誰にも捨てられないで欲しいとも
思った。
「質問していい?最初はパパはママの
何を好きになったの?」
「うーん。女性らしい所かな。
最終的に女性として見れなくなったのに
何を言ってるんだって話だけど」

女性らしい所か。
そこを好きになったのに
そこが原因で別れるのか。
やっぱり私は女性らしくなりたくないな。
捨てられる女になっちゃう。
メイクもしないし、女性らしい格好を
するのはやめよう。

そうだママにも全部話を聞こう。
ママの意見も聞いたら
もっと理解できるかもしれない。
2人がやり直して欲しいとは思わないけど
とにかく知りたい。

そして絶対に捨てられない女に
桃音はなりたい。

12月25日
13歳になった。
毎年クリスマスはママは仕事休んで
お祝いしてくれてる。
今年のプレゼントは
ドレッサーだった。

「ねぇこれ絶対ママ
自分が欲しかったやつでしょ」と笑った。
ママもバレたかって笑ってた。
「桃音に使って欲しいの、ママも借りるけど」
「いいよ、ママが使いなよ、
桃音化粧しないもん。これからも一生
しないと思う。」
「それはダメよ。メイクは大人の嗜みだよ、
ママみたいに濃くなくてもいいの。
恋をすればきっと可愛くなりたいって
桃音も思うよ。
ちょっとは、おめかししたくなるから」
「大人になりたくないんだってば」
「なにー?ピーターパン症候群てやつ?」
ピーターパン症候群ってなんだろう。
パパに今度聞いてみよう。

ママと2人でゆっくり話せる機会は
あんまりないから
パパと別れた理由をママ側からも
聞いてみた。

「え、何で今更そんな事が気になるの?
知りたいなら話すけど楽しい話じゃないよ」
と言った。
話し出すとママはまるで誰かに
聞いて欲しかったんじゃないかってくらい
赤裸々に話してきた。
ママは友達に話すかのように
私に話してきた。
そういやママも友達いなかったっけ。

「パパとはね、桃音が6歳になる頃
くらいかな?
セックスレスになってて。
ひどくないー?ママまだその時26歳だよ
ピチピチだし旬な女だよ!
何度も誘ったし何度も話したの。
ママはずっと女でいたいって言ったら
パパ何て言ったと思う?
ママは桃音の母親なんだからって言ったの
母親は女じゃないのー?
じゃ、性別何?て話でしょ。

そんな話し合いも虚しく
それから4年パパはママに
触れることはなかった。
ママは30歳になった。桃音が10歳。
その頃に離婚したの。
ママは桃音が4年生になった頃に
夜の仕事を再開したでしょ。
パパはもともと時間に
融通が聞いたからいつ再開しても
良かったんだけど桃音もまだ
小さかったし。
でもなんで復活したかっていうと
ママは女に戻りたかったの。
性別が何かわからない母親ではなくて
ちゃんと女で居たかった。

夜の仕事は男の人にお酒を注ぐでしょ。
お客様はみんなママの事を女性として
ちゃんと見てくれる。
そんな時にねママを凄く素敵だって
口説いてくる人がいたの。

もちろん旦那もいるし子供もいるって
何度も断ったよ。
でも女として見てほしいって
本能が止められなくなったの。

そんな事をしてたら
パパにバレてね。
パパ物凄く冷たい目でママを見たの。
捨てる目をしてた。

ママもしかしたらね、どっかで
許してもらえるって思ってたの。
悪い事だけどパパがママをまた女として
見てくれるきっかけになるかもって。

でも全然ダメだった。
そりゃそうだよね、裏切りだもん。
パパを深く傷つけた。
別れようって言われても
引き止めることもできなかったよ
あんな目で見られたら。

あっけなく捨てられちゃったよ。」

ママの話を聞いて
結局ママはパパと心では
繋がってなかったんだと思った。
ママはパパのことを男として好きで
女として見て欲しかった。
パパはママの事家族として好きで
女としては見れなかった。
その二つの線が交わる事はない。
重なってない。

「質問していい?
ママはパパと出会った時
何を好きになったの?」

「んー、最初はパパが
ママにぞっこんだったの、
ママの事を好きなところを好きになったの。」

だからママは好きを感じれなくなって
他の好きって言ってくれる人に
走ったのか。
やっぱりパパとママは
交わってない。
ママは私から見てもとても女性らしいけど
パパからずっと女性として見てもらえる
力はなかった。

女性らしいって入れ物に入ったママ。
私を産んで生活していく内に
女性なんだけど母親の入れ物に
変わってしまったママを
パパは受け入れられなくて捨てた。

ママはきっとパパを引き寄せる力が
なかったんだ。
ママが浮気しようと何しようと
ママを失いたくないから
離れたくないって思わせれなかったんだ。

4月15日
中学2年生になった。
最近携帯を買ってもらった。
パパに頻繁に電話して
パパの話を聞いている。
ママも時間がある時に
よく話してる。

2人の話はおもしろい。
2人の関係を知っていくたび
新たな発見があり勉強になる。

中学生になるまでは
パパはうそつきだし嫌いだったし
ママは女らしくて苦手だったけど
2人を知れば知るほど好きになった。

その人をちゃんと知る事で
ちゃんと愛せる事を知った。

学校の勉強よりも
捨てられない女になるための勉強が楽しい。
友達なんていらない。
私は絶対私を捨てないたった1人を
見つけたい。

12月25日
14歳になった。
今年はママにリクエスト制で
プレゼントをもらう事にした。
デニムとスニーカーをリクエストした。

ママは何でこんな色気のない服なのー?
「桃音スタイルもいいから
スカート履きなよ、
ヒールもママのたくさんあるから
履いていいのに」
と言っていたけど
きっと一生履くことはない。

色々研究していく中で
外的要因で好きになられると困ると思った。
例えば女性らしくしていて
女性らしくて素敵だなと思わせると
女性らしくない一面が見えた時
いつか母親になった時
ママみたいに捨てられる。

それならカジュアルで女らしくない
ファッションをしようと思った。
その他にも外的要因で始まる恋は
信用できないと思った。

私は心で選んでもらいたいし
選びたい。

6月30日
パパが久しぶりに遊びにきた。
ママも休みをとったので
久しぶりに3人揃った。

せっかくだから料理を振る舞った。
献立は悩んだけど肉じゃがにした。
5度目の挑戦で
隠し味、ジャガイモの大きさも完璧なはず
するとパパが近づいてきて
火加減だなと少しだけ火を弱くした。

完成すると
めちゃくちゃ味が染みていて
ホクホクのジャガイモで
やっと思っていた肉じゃがに
たどり着いたと嬉しかった。

いつか好きな人ができたら
絶対この肉じゃがを食べて欲しいと
思った。

12月25日
15歳になった。
来年から高校生なのでもう今年で
プレゼントは最後でいいよと
ママに言っておいた。

最後だから特別な物にしなよと
言われた。
リクエストしたのは
デニムのオーバーオールだ。

ママはもっといい物にしなよと
言っていたけど
本当に欲しかったし
他に欲しい物がなかった。

来年からは高校生か。
あれから研究は続けているけど
まだまだ勉強は足りないし
捨てられない女が何かって
答えも見つからない。

でも素直であること。
ちゃんとその人を見ること。
感情に蓋をしないこと。
大人の言動に惑わされないこと。
子供のような純粋な心のままでいること。
他にも、もっとあるけど
いつか絶対私を捨てない人に
出会えた時に
ありのままの自分でいようと思っている。

そしてその人のありのままの姿を
ちゃんと見るのが
今の目標。

2月27日
受験の日。勉強なんか全くしてなかったから
行ける高校は1つしか選べなかった。
おバカ高校と言われている私立高校だった。

正直高校なんて行きたくなかったし
ママも嫌なら行かずに働いちゃえって
笑ってたけどパパが
「パパは桃音の考え方とか
言葉が好きだから
学校で勉強してるといつか役立つ日が
来ると思うぞ。
国語だけは学んでおいて損はないぞ。
もしかしたらいつか桃音は
その言葉で人を魅了する仕事に
着くかもしれない。」と言ったので
その私立高校に受験し
高校で国語だけは真面目に授業を
受けようと思った。

白紙でも受かるとか言われてる高校なので
こんな私でも受かった。
落ちるかもなって思ってたけど。

4月6日
高校の入学式だった。
教室に向かい席を探すとラッキーだった。
窓際の1番後ろだった。

担任の先生が入ってきて何やら
自己紹介している。
国語の先生らしいのでこの人の授業は
しっかり聞こう。

「彼女はいるの?」って誰かが質問したから
ちょっと興味湧いたし見てみると
奥さんがいるって言ってた。
でもその目を見て
なんか見覚えのある目だなって思った。

しばらくしてあの時のパパの目と
一緒だって気付いた。
先生は奥さんとそんなにうまく
いってないんだろうな。と思ったけど
対して興味ない。
再び窓の外に目を向けた。

5月20日
なんか先生が友達を作らない事を
気にかけてるっぽい。
なんで1人でいると勝手におかしな子と
認識されるんだろう。

世の中はその人をちゃんと見てないのに
勝手に決めつける事が多いな。

6月15日
先生がテストボロボロだって言ってきた。
国語はちゃんと聞いてたんだけどなー
今まで勉強してこなかったツケだな。

次から頑張るって伝えて帰ろうとしたら
腕を掴まれた。
その瞬間体に電流が走った気がして
振り返った。
男の人に初めて触れられてドキっとした。
いや先生だからドキっと
したのかもしれない。
先生の目を見たら相変わらず
捨てる目をしていた。

なんか先生が眩しく感じた。
直感でこの人を知りたいって
思ってしまった。
どうしよう。パパと同じ捨てる目を
してる人だ。
先生もきっと捨てる男だ。

7月1日
来週から家庭訪問があるらしい。
先生が家に来る。
話せる機会あるかな。
あれからも先生の事が気になって
仕方ない。

7月7日
家庭訪問の日がやってきた。
お気に入りの服を着よう。
去年の誕生日にママにもらった
デニムのオーバーオールを着た。
女らしさもないし、ばっちりだ。

ママが恋をすればきっと
おめかししたくなるってそういや
昔言ってたな。
これがそういう事なのかな。
ママに言わせるとオーバーオールが
おめかしなんてありえないと
言うだろう。

先生がやってきた。
先生と2人っきりになれるチャンスなんて
ないと思っていたのに
ママが仕事に急足で向かってくれた。
ママ、ナイスって心底思った。

先生は桃音の料理を見て褒めてくれた。
トマトのマリネを美味しそうって
言ってくれた気がする。
とっても嬉しい。食べてほしかったけど
それは断られちゃった。
いつか絶対食べてほしいな。
その時は今日のマリネと
肉じゃがを作ろう。
なんか食べ合わせ悪そうだけど
まあいっか。

先生が勉強の事言ってきたから
捨てられない女になりたいって
言っちゃった。
変な女だなって思ったかな?
でも話してわかった。
先生が桃音を絶対捨てない人な気がする。
先生は捨てる目をしてるけど
桃音を見る目は違う。

先生見送った後、このまま
夏休み入ったら先生に会えなくなるなって
思ったら寂しくなったから
追いかけて携帯番号渡した。

かかってくるといいな。

7月8日
あのあとすぐパパに報告したくなって
新幹線で静岡に来た。

パパに先生を好きになった
きっと桃音を捨てない人だと思うって
報告したら喜んでくれたけど、
奥さんがいるというと
パパは冷たい目をした。

パパが「桃音。家庭がある人に
ちょっかいかけるのはやめなさい。
パパはママがした事で傷ついた。
ママだって桃音だって、傷ついた。
誰1人幸せになれないんだよ」と言った。

でもせっかく見つけたのに。
絶対心から惹かれ合う自信があるのに。
でもパパとママの事を思い出して
先生にはどっちの気持ちも
味わせたくないなって思った。

奥さんときっとうまくいってない。
それでも奥さんを傷つけることは
桃音はしたくない。
でも先生には素直に生きてほしい。

7月9日
学校を2日も休んでる。
明日帰ろう。
パパとあれからも話していて
「そんなに好きなら奥さんと
別れてから関係を持ちなさい。
でも別れさせるような事はしない事。
先生の意思でちゃんと選ばせる事。
それができるなら好きでいればいい」と
パパに言われた。

先生の意思で選ばせる。
できるかなそんなこと。

7月10日
パパとバイバイして家に帰ってきた。
パパと3日話して結論がでて
家庭を壊さないけど
先生には近づきたいので
本能のまま動くってこと。
でも絶対に男女の関係にはならない。

すると携帯が鳴った。
知らない番号。先生だ。
先生が心配して電話をかけてきてくれた。
とっても嬉しい。
すぐ切られそうになったから
引き止めてちょっと話した。

先生を見つけたってパパに報告した事。
先生に腕を掴まれた日に好きになった事。
先生が奥さんを捨てる事。
桃音を捨てないこと。
先生は桃音の事が知りたいって
思ってるはずだよって聞いてみた。

先生は動揺してたけど
最後は素直になって
「君をもっと知りたい」と言ってくれた。
死ぬほど嬉しい瞬間だった。
これ以上話すと
家庭を壊すほど踏み込んじゃいそう
だったから10分も経たずに電話を切った。

危ない。桃音から電話するのは
絶対にやめよう。

7月11日
朝からずっと先生を見つめた。
こんなに愛おしい人と出会ったのは
初めて。
ずっと目に焼き付けていたい。

夕方先生から電話がきた。
視線が眩しすぎたみたい。
でも噂がどうのとか世間体がとか
言ってたから嫌だなって思った。
そんなのじゃなくて素直になってほしい。
と言うと
会いたいって言ってくれた。

公園で会った。
なんか先生が男の人って顔になってて
本能が桃音を求めてるのがわかった。
パパもしかしたらもう
手遅れかもしれないって思った。

やっぱり先生は桃音に触れようとしてきた。
ここからは絶対だめだ。
奥さんを傷つけたい訳じゃない。
先生は弄ばれてるって思ったかもしれない。

でもパパと約束したから。
奥さんと別れるまでは指一本も
触れさせない。
別れさせてもダメなんだ。
先生の意思を尊重する。
難しいな。

チュッパチャップスがあってよかった。
うまくはぐらかせた気がする。

でも先生の顔が近付いてきて
ドキドキが止まらなかった。
バレないようにすぐ帰ったけど
ニヤニヤしてなかったかな。

7月27日
終業式だった。
あれから毎日先生を見つめてたけど
もう電話こなくなったな。
先生の意思でこの恋を運んで欲しいから
桃音からかけることはできない。

明日から夏休みか。
何をして過ごそう。

7月28日
散歩がてら公園にいる時
先生から電話がきてとっても嬉しかった。
先生が暇そうだったから
家に誘ったら来てくれるって。

得意の料理を先生に振る舞えると思ったら
浮き足だった。
肉じゃがの材料とマリネの材料と
それ以外も色んな食材を
かごに詰め込んだら袋2枚分ぐらい
買い出ししちゃった。
ちょっと買いすぎたな。

帰って超特急で準備してると
先生が来た。
全然間に合ってなくて焦った。

肉じゃがは隠し味と野菜のサイズも
バッチリだし最後火をちゃんと弱めて
完璧にできた。

並んだ料理を見てとても嬉しそうにしていて
すごく愛おしくなった。
美味しいって言ってくれた。
初めて好きな人に料理を振る舞ったけど
食べている人の顔を見るのって
こんなに幸せな気持ちになるんだ。

初めての気持ちを教えてくれて
ありがとう。
そこからいっぱい話した。
朝まで先生と一緒にいれた。
先生は指一本触れてこなかったし
私も触れなかった。
パパこれならセーフだよね。

桃音も先生も心で惹かれあってるって
証明された。
でも先生は当たり前とか
一般論とか世間体とか
私がなりたくない大人な一面を
たくさん持っている。

先生の奥さんの事も少し聞いた。
賢い女性だって言ってた。
先生はもしかしたら傷を負っているかも
しれない。
そしてこれからもっと大きい傷を
作るかもしれない。
先生は捨てる男だけど
先生の奥さんも捨てる女かもしれない。

何があっても先生を受け入れるし
その時が来たら
抱きしめてあげよう。

8月10日
公園でいつものようにひと休み。
あれから先生からの連絡はない
もしかしたらあの外泊が
奥さんにバレて喧嘩になった?

もしそうなら教え子の家に
泊まったなんて世間体を気にする先生は
もしかしたらもう連絡してこないかも
しれない。

やっぱり泊まってなんて言うべきじゃ
なかった。
パパごめんなさい。
家庭を壊すきっかけを作ったかもしれない。

そんな風に思ってたら見覚えのある人が
歩いてる気がした。
公園の脇道を見たら先生だった。
約束もしないでも会えたってちょっと
喜んだけど横を見て時が止まった。

あれは奥さんだ。
視線を逸らせなくて困った。
バレてしまうかもしれない。
でも目を逸らせない。
先生が気まずそうに奥さんと話してる。

でも2人揃って歩いている姿を見て
ちょっと安心した。
よかった。まだ家庭は壊れてない。
あの外泊もバレてない。

でもなんかひっかかった。
やっぱり2人とも捨てる目をしていた。

8月20日
あれからも先生から連絡はない
もし先生が奥さんを捨てたら。
奥さんが先生を捨てたら。
正直今後の事なんて考えてなかった。
ただ先生と心で惹かれあって
一緒に居るだけで、それだけでよかった。
そんな日が来たら
ただ抱きしめるしか私にはできない。

8月31日
夏休み最後の日
先生から電話がきた。
話すのは1ヶ月ぶりくらいかもしれない。

嫌な予感しかしなかった。
電話の先生の声はいつもと違っていた。

その日が来たのかも知れない。

公園で会うことになった。
今日はブランコには乗らない。
ベンチに座る。
何かあったときすぐに先生を
抱きしめられるように。

先生が現れて顔をみてすぐわかった。
もう捨てる目をしてなかった。
でもとても不安そうな顔だった。

先生は話し出そうとしたけど
もう抑えられなくて
抱きしめた。
こんな顔見たくなかった。
こんな顔にさせたのは私だ。
これが罪悪感かと思った。

あまりに強く抱きしめたから
先生は驚いていた。

先生に感情に蓋をしないで
泣いていいし、無理に話さなくても
いいって言ったら
先生は子供の様に泣いた。

小さい子供をあやすように
ただただ抱きしめて背中をさすった。
こんな結果になってごめんなさい。
傷つけてしまってごめんなさいって
ずっと思ってた。

先生は落ち着いて話始めた。
公園で目を逸らしたことを
あやまっていたけど
私はそんな事気にしてなかった。
逆に目を逸らせなくてごめんって
思ってた。

あの場では目を逸らすのが正解だったよ。
あんな風に見てしまうと
誰だって変に思う、
きっと奥さんも変な子だと
思っただろう。
先生が目を逸らさなかったら
奥さんは私たちの事を
気付いていたかもしれない。

浮気じゃないとどれだけ言っても
私たちの目を見ればきっと
バレてしまう。
惹かれあってること。
確かにキスもしてないしセックスも
してない。
でもそれ以上に心が繋がっていることほど
無敵な事はない。

そんな事がバレてしまうと
きっと奥さんを傷つけていたし、
離婚の原因は旦那の浮気に
なってしまっていただろう。

先生はそこにも罪悪感を
覚えているのかもしれない。
私に惹かれている事は
奥さんには言ってない。
離婚の理由は2人の心が
通ってないことって伝えてあると
言っていた。
2人の心が通っていない事を
気付かせてしまったのは
私だ。

でも遅かれ早かれ終わっていたんだろうけど。
スピードを加速させたのは
間違いなく私が原因だ。

先生は今後の話はしなかった。
私ももちろんしなかった。
先生は離婚したから心おきなく
桃音と恋愛をはじめられるなんて
安易に考えない人だ。

たから好きになったんだ。

先生はきっとそうなると
罪悪感に押しつぶされ、
世間体に惑わされ
苦しくなってしまう。

私たちはきっと大丈夫だ。
今はベストなタイミングじゃない。
一旦離れる時だ。

お互い何のマイナスの感情もなく
心のままに素直にありのままで
会える日が来る

その時まで今は離れよう。


先生と離れてからは
毎日国語の勉強をした。
小学生の漢字ドリルも買って
今まで勉強してこなかった分を
国語だけだけど取り返した。

国語の授業も今まで以上にちゃんと聞いたし
理解できない所は
パパに電話して教えてもらった。
国語のテストだけが唯一先生に
秘密のサインを送れるチャンスだった。
100点をとる事を目標に
頑張った。

初めて100点を取った時は先生
驚いただろうな。
そこからずっと100点だったのも
先生はすごいな、桃音よくやったって
思ってくれてるだろう。

国語で100点をとることに
集中しすぎていると
2年の頃、担任の先生に
浅香さん、国語だけじゃなくて
他の教科も勉強しないと
留年だよと言われかなり焦った。

留年しちゃったら
国語の授業の1時間が
先生との唯一の時間なのにそれまで
奪われてしまう。

すぐに他の教科も勉強しだしたが
国語のように興味は湧かなかったし
難しかった。

ママは勉強を教えれないから
パパにテスト前だけでいいから
家に来てもらう事にして
1週間くらいみっちり勉強した。
それでも
留年しない最低ラインの
点数しか取れなかったけど
協力してくれたパパに感謝した。

パパは「テスト前の勉強に付き合って欲しい
っていうからとうとう桃音も
勉強に目覚めたかって思ったけど
動機が不純で桃音らしくて安心したよ」
と笑っていた。

「どこが不純なの。先生と今は
会えるのほんとその1時間だけなんだから
貴重なの。その貴重な時間を
自分のやらなかった後悔で
失うなんて絶対いや」

「その1時間のためにこれだけ頑張れる
桃音はすごいよ。」と
感心してくれた。

3月18日
卒業式

とうとうこの日がやってきた。
先生とのベストなタイミングな日。

先生は気持ちを整理するまで
結構時間かかってたな。
最初は桃音のことを
変な目で見てた気がする。

私は先生をあれからちゃんと見てないから
感じてただけだけど
桃音に捨てられたってきっと思ってる。

ずっと違うよ。って伝えてたのに
全然心に届かなくって
もしかしたらもう先生は
諦めてしまったのかなって
思った時もあった。

でも2学期のテストで100点を
取った時あたりから
先生の視線が変わった気がする。
少し桃音の気持ちが伝わった気がした。

2年になった頃には
先生は切り替えて前向きに
なっているのを感じた。
桃音はちゃんと待ってるって
伝わったのかもしれない。

3年になる頃には
早く卒業が来ないかなって
お互い思ってたのがわかった。
心でちゃんと繋がってるって確信があった。

校長先生に名前を
呼ばれて顔を上げた時2年半ぶりに
先生の目をまっすぐ見た。
先生もまっすぐ私を見てた。

ほんとは今すぐ壇上をおりて
駆け寄って抱きしめたかったけど
我慢した。

あと少し。

卒業式が終わって
公園に向かう。
この3年間色々あったな。
正確に言うと先生と心が近付いて
過ごした期間は1ヶ月くらいだったと思う。
3年の中のたった1ヶ月。
実際に会って話したりしたのは
家庭訪問の日。
公園でチュッパチャップスで
一線を超えなかった日。
夏休みに私が料理を振る舞って
過ごした日。
夏休み最後に公園で先生が泣いた日。
4日間だけだった。

それなのにこんなに
思い合えた事が嬉しい。

先生もういるかなって公園を
覗いたらブランコに座って
ニヤニヤ笑っているのが見えた。
バレないように後ろに回って
声をかけた。

久しぶりに顔を見て話せた。

先生は指輪を出して
プロポーズしてきたので
さすがに笑った。
そんなもの全然いらないのに。

先生が話し出して驚いたことは
先生が意外にも私のことを
お見通しだったこと。

さすがだよ。

私は絶対に捨てられない女になったのかな。

この3年考えてたけど絶対に捨てられない女が
どんな女かの答えだけはでていなかった。

すると先生が
絶対捨てられない女は
絶対捨てない女って事だと思うって言った。

そうか。
パパはママを捨てたけど
結果的にママもパパを捨てた。

先生も奥さんを捨てたけど
奥さんも先生をあっさり捨てた。

私は先生を絶対に捨てない。
だから捨てられないのか。

先生も私を絶対に捨てない。
だから捨てられない男になったんだ。

私が目指していたのは
こんな簡単な物だったのか。
人をちゃんと愛せば捨てられないのか

その人だけをちゃんと見て
その人のありのままを愛せば
捨てられない。
全部受け入れる。
何があっても大丈夫。

私たちはきっと大丈夫だ。
私の初恋は実った。

初めてのキスをした。
先生はチュッパチャップスの味がするって
言った。

先生ももしかしたらこれが
初恋なのかもしれない。



あれから5年経ち、
先生は30歳になり私は23歳になった。
今も結婚もしてないし
ただただ一緒に日々を過ごしている。

あれから1年間は変わらず先生は
あの高校で教師をしていた。
私は特にやりたいことが
見つからなかったので
特に就職もせず、たまにパパの会社を
手伝ったりしていた。

先生とはたまに公園で
ピクニックしたり
家でゴロゴロして過ごしていた。
公園に先生が本を持ってきていて
先生が読書好きな事を初めて知った。
「桃音も読んでみたら?」
と貸してくれた物語に
すっかり引き込まれ、
本を読むことが好きになった。

あの頃必死で漢字を勉強したし
国語の授業で文字を読む事も
嫌いじゃなかった。

そのうち私は
近所の本屋さんでバイトを始めた。

12月25日
私の19才の誕生日
先生が「4月から島の学校に
赴任したいんだけど一緒に行く?」と
聞いてきた。

「島?おもしろそうだね、
行こっかな。本屋ある?」

「本屋はきっとあるよ。」と言った。
3月には島に引っ越した。

ママと離れるのは初めてで寂しかったけど
ママは
「やっとこれで母親って入れ物から
解放された気がする、女に戻れる」と
喜んでいた。
「いやママは一生、桃音の母親だよ。
残念だけど。でも心おきなく女で過ごしてね
今日からずっと」って言った。

パパは引っ越しを手伝ってくれた時に
初めて先生と会った。
パパは「桃音を絶対に捨てられない女に
してくれてありがとう」と
言ってなぜか泣いていたので
笑っちゃった。

パパはもしかしたら桃音の事も
捨ててしまったって実はずっと
傷を負ってたのかもしれないな。

4月から2人で島でただただゆっくり
過ごしている。
先生が島で教師をすることを選んだのは
いつか桃音が言った
「先生は色んな人を
相手にできる能力のある人
でも一人一人と向き合えてるかっていうと
別問題だけどね」と言った言葉が
引っかかってたらしい。

先生は人数がもう少し減ると
もっと1人1人と向き合えるかも
しれないって考えたらしい。
都内だとクラスに30人は生徒がいるが
島はクラスに10人もいれば
多いらしい。

なので今は1人1人に向き合って
色んな事を教えれて、生徒から学ぶ事も
あって、こっちのが合ってるらしい。

私はというと島の本屋が
車で1時間の距離な事に絶望していて
車の免許をとるか悩んでいた。

すると先生が
「桃音は自分で物語を書いたらどうだ」と
言ってきた。
「そんなの無理だよ、先生も知ってるでしょ
私バカだよ?」と言うと
「桃音はバカじゃないよ。
桃音の言葉は人の心に刺さるんだよ。
別に小説家になれって言ってるんじゃないよ。
思うがままに言葉を綴ってみなよ。
パソコン使っていいから。

あと仕事は無理に探さなくていいし
車の免許も無理に取らなくていいよ
桃音1人くらい養っていけるから
好きなことをしなよ。

こんな何もない所に連れてきちゃったしな」と
笑って言った。

その言葉に甘えて
今は思うがままに文字を綴っている。

そういや昔高校に行くか
悩んだ時パパが桃音の言葉が好きだから
国語だけでも学んでおけって
言ってた気がする。

そのおかげで高校に行ったし
国語だけはちゃんと勉強しようって
思ったら
国語の先生を好きになったし。
今があるのはパパのおかげだな。

パパはその時将来桃音は言葉で人を
魅了する仕事に就くかもしれないとも
言ってた気がする。

今はまだ誰のことも魅了してないけど
これがいつか仕事になるかもしれない。

昔はパパからもらったいちごのノートに
自分の気持ちを綴っていたけど
今はパソコンになった。


あれから先生は1度も結婚しようとは
言ってこない。
私も相変わらず結婚したいとは
思わない。

でも先生は島の子たちに
「先生結婚しないの?」とか
「一緒に住んでる人は奥さんなの?」とか
やっぱり聞かれるらしい。
「毎回なんて説明するか悩む」って
言ってたので

「説明するのめんどくさかったら
籍入れちゃってもいいよ。
どうせこのまま一緒に一生いるだろうし」
って先生に言ったら

「いやいい。結婚が全てじゃないし
結婚という形をとらなくても
愛し合って一緒に過ごす人も
居るんだよ、
世の中には色んな価値観の人が居て
1人して同じ人間はいない。
当たり前とか世間程とか一般論に
縛られないこと。
ちゃんとその人を見ることってのを
教えるいいきっかけだよ」と言った。

「それってほとんど私が先生に
言った言葉じゃない?」と言うと

先生は「バレた?」と笑っていた。

#創作大賞2023

本編はこちら↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?