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おぺ看が病棟に異動したら

新卒で手術室に配属されたら、普通の看護師の仕事できなくなるけど大丈夫かな、と不安に思う手術室看護師さんおられると思います。わたしもそうでした。でも年数が上がるにつれて畑違いの病棟への異動のハードルは高くなり、怖くなってきます。わたしはこれからの働き方を考えて夜勤がない仕事がいいな、と思って訪問看護を視野に入れ始めていました。
怖いけれど、病棟で看護ケアを経験しておいた方がいいと思って、8年手術室で勤務して9年目で病棟に異動しました。
異動してどうだったか、思い出しながら書いてみました。手術室の看護師さんや、手術室に興味がある学生さんにも参考になるかな?なるといいな。

手術室→病棟で変化したこと

1人受け持ちから14人受け持ちへ

異動して慣れるまで大変だったのが、受け持ち人数の変化です。
今まで1人の患者さんの手術に対して2人の看護師で対応していたので、病棟に来て2人の看護師で14人ほどの患者さんを看るのが大変でした。
まず誰がだれなのかわからない状態でした。PHSに名前が表示されてもまず自分の受け持ちの人なのかも瞬時にわかりませんでした。受け持つ患者さんも毎日変わるので、昨日受け持っていた人を今日の受け持ちの方と勘違いすることも多かったです。また、患者さんによって安静度も違うので、この人は廊下を歩いていいんだっけ?!とかなってました。

1日のスケジュール管理も変わりました。
手術室では1日だいたい1~2件の手術についていたので、スケジュール管理は主にリーダー看護師がしていました。けれども病棟では1日に14人ほどの患者さんの対応をするので、検査出しや手術の入退室時間を考えて看護ケアを行っていかないといけなかったため、1日のスケジュールを把握・計画をする必要がありました。合間に点滴の作成や更新をしたり、ナースコール対応をしたりと計画を立てても思い通りにいかないものでした。任された仕事を自分で管理してこなしていく、という主体的に動ける楽しさがありました。
看護ケアは久しぶりに看護技術の本を開いて勉強したり、ペアの子に教えてもらったり、やっているところを見て真似したりで、日々の業務で慣れていきました。採血は、局所麻酔の手術で静脈留置針を使う機会があったので、採血スピッツの採取する順番や真空採血管の使い方さえ分かれば抵抗なく行えました。

情報収集の量が増えた

受け持ち人数が増えたことによって情報収集の量も増えました。
収集する内容としては、今までの経過や日勤帯で投与する分の点滴、検査や手術の時間などです。カルテのどこをみればほしい情報が収集できるのか、処方された点滴は一体どれを投与するのかなど慣れるまで時間がかかり大変でした。あとは自分がしっかり情報を拾えているか不安で仕方なかったです。時間がかかるので朝早く出勤して前残業が増えました。
もともと心配性なので「明日ちゃんと情報を拾えなかったらどうしよう」と不安になって、疲れているはずなのに眠れなくなったときはつらかったです。1か月くらいで情報収集に慣れてきたので、そのあとは不眠は改善されました。1時間半前に来ていたのを50分前には短縮できました。

記録が多い!

覚悟はしていましたが、想像以上に記録が多かったです。カルテに看護記録を入力すればいいだけと思っていましたが、入院処理とか退院処理とか、細かい作業が多かったです。手術室から来た身からすると、看護師じゃなくてもいいのではと思ってしまってあまり頑張れなかったです。
記録ができるのも、定時を過ぎてから、という日が多かったので残業が増えました。

夜勤の変化

夜勤はだいたい3回/月から5回/月に増えました。病棟は土日祝日も変わらず入院生活を患者さんが送られているので、休日出勤も増えました。
手術室の夜勤や休日は、緊急手術の連絡が来たら一気に忙しくなるというものでした。けれども病棟の夜勤は手術室と違い、一定の忙しさという感じです。決まった時間にラウンドして、ナースコール対応をして、というのを交代でやっていました。

患者さんとの関わる割合が急激に増えた

病棟では、その日の担当の患者さんにあいさつをして回りながら血圧を測ったりします。仕事柄、看護師との会話が多いので、違う仕事をしている方のお話は新鮮で楽しかったです。ここは手術室とは大きな違いの一つだと思いました。そしてプライマリー制度だったので、自分の担当の患者さんを入院から退院まで経過をみれるのもよかったです。はじめて担当した方に「あなたの顔だけは覚えてるのよ」と言ってもらえた時はうれしかったです。あとは顔をみせると話しかけてもらえたり、そういう関わりを持てたことで辛い時期を乗り越えられました。
反対に医師と関わることは急激に減りました。手術のときは4時間、もしくは丸一日一緒の時があるので意外と先生は覚えてくれます。異動すると指示の確認で話すくらいになりました。

手術室を経験してからの異動でよかった

落ち着いて対処できる

病棟は時間が足りないと思うくらいに(というより本当に足りていなかったのですが)忙しかったです。けれども慌てずに落ち着いて優先順位を考えながら動くことができました。それはきっと緊急手術で優先順位の高いものから準備したり、医師に確認していかないと間に合わない状況にたくさんあってきたからだと思います。忙しさの種類は違いますが、手術室での経験が活きているなと感じました。

麻酔科の近くで働いていたので、手術後の患者さんの呼吸状態を観察する必要性が意識できるようになっていました。そのおかげで、手術室でちゃんと頑張ってきてよかったと思えた出来事がありました。1年目の子に、手術後の患者さんの酸素化が悪いと相談を受けて部屋に見に行ってみると、息を吐くのが辛そうでした。聴診器で狭窄音を聴取して、医師に報告するとすぐに対応してもらえました。一時的に呼吸器を使用することになりましたが、その後回復されました。患者さんの様子を気にしながら、変化や異変に気付き、医師と連携して素早く対応ができる。ここに看護の魅力がある様な気がしてうれしくなりました。

医師と関係ができている

長く手術室にいると、普段名前は呼ばれなくても医師はちゃんと覚えてくれています。(普段名前呼ばないのに突然呼ばれて覚えてたんだってびっくりする)目の前の仕事をこなしてきたおかげで医師からも信頼されているようにも感じました。そのおかげで外科病棟に異動になりましたが、医師に怖じ気づくこともなかったです。また、「異動したんだ」って気軽に声をかけてもらえ、慣れた手術室から病棟に異動したわたしはとても心細かったので、その声掛けにとても救われました。

清潔・不潔が理解できているのは大きい

手術室に配属されて大変なことは、清潔不潔の違いを見分けることだと思います。見分けると言っても不潔になったからといって色がつくわけではないので、1年目の頃はこれに苦労したと思います。
でもでも、病棟だけの経験だとこれを鍛える場がない!なので病棟の方と膀胱留置カテーテルを入れる時は、清潔不潔が気になって仕方がなかったです。
処置介助に入るときも、清潔不潔が分かっていると医師からも信頼してもらえますし、処置介助は手術室でやっていることと近いところがあるので、次にいりそうなものを準備できたりして楽しかったです。

まとめ

手術室を経験してからの異動、正直きつかったです!その時の環境にもよると思うのですが、他の病棟に異動した手術室看護師は、病棟の人手が足りており、十分に教えてもらえたためしんどくなかったそうです。
やっている業務は、転職したかと思うほど違いましたが、どこかしらで手術室の経験は活かせました。病棟も経験できたことで採血や日常生活介助、患者さん対応をやっていけるのか、という不安は消えました。
コロナ禍で激務をこなすことにはなりましたが、病棟を経験しておいてよかったなと思っています。
入職が手術室だったからだと思いますが、私的には手術室が働きやすかったです。手術室は閉鎖空間だからか、業務改善とかを手術室内で行いやすかったからかな、と思います。どうすれば記録の時間を減らせるかを手術室内で考えたり、前残業をどうすれば減らせるか考えたり。
一方、病棟業務はだいたいの看護師が経験していることなので、トップダウンになりやすく、業務改善するにはハードルが高いのかな、と思いました。入院・退院に関する記録の種類が多すぎるし、あれもやった方がいい、これもやった方がいいで様々な仕事が増えていったのかな、という印象です。そういう意味で手術室は働きやすかったです。
手術室から病棟への異動するときの参考にしてもらえれば幸いです。





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