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ぶらり美術散歩 〜動物たちへの優しいまなざし フランソワ・ポンポン展〜

訪問日:2021.09.18

ポンポン。

そう聞いて人の名前と思わなかった。
つるんとした滑らかな白くまの彫刻を見て、その作家の名前が「フランソワ・ポンポン」と知ったときは「なんてかわいい名前なんだろう。この作品にぴったり」と思った。

実際にはひげもじゃのおじさんなんですが(笑)。

今回は、日本初の回顧展ということで、初日に行ってきました。
夕方に行ったためなのか、こんなご時世だからなのか、館内は空ていてゆっくり鑑賞できました。
入り口に置いてあった白熊の彫刻。ここだけは撮影できます。

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かわいい。
実際に白熊に出会ったら、かわいいだけではないだろうけど、ただただかわいい。

なぜこんなにかわいいのか。
シンプルなライン、つるんとしたフォルム。
まるでピクトグラムのようにシンプル極まりないのに、動物たちが今まさに動こうとしているかのような躍動感を感じます。

今回の展覧会では、初期の人物彫刻から晩年の動物彫刻まで展示されていて、ポンポンがロダンの工房で働いていたことを知り、そのため人物の躍動感を非常にうまく表現できるのかと納得。

50歳を過ぎてから作成したシロクマによって、彼は動物彫刻家として知られていくのですが、その姿勢はとても謙虚。
「人間も動物も同じ」と、暖かい眼差しで動物たちに向き合っています。

同時代の彫刻家 ブランクーシもロダンの工房で働いた経験があるそうで、ブランクーシはポンポンの影響を受けているのでは、という解説文を読みました。
ブランクーシは、対象を極限まで省略して抽象的な表現になりましたが、彼の「空間の鳥」なども、空へ飛び立つ鳥の躍動感を感じます。
表現方法は違うけれど、対象の本質を捉えているところはポンポンと共通しているのではないでしょうか。

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参照:横浜美術館HP 電子所蔵目録 “ブランクーシ「空間の鳥」“より

白熊以外にも、実物大のペリカン、今にも走り出しそうな黒豹など、ポンポンが毎日通って観察し続けた動物たちに出会える本展。
見終わるころには、幸せな気持ちになっていました。

最後に展示されていたこの白熊は撮影可能でした。

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最近何かと閉塞感を感じることも多いと思います。
可愛らしい動物たちに会いに行ってみてはいかがでしょうか。

​ 名古屋市美術館:

http://www.art-museum.city.nagoya.jp/pompon


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