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A whale of a time


あとがき

最近、強い焦燥感や不安に押し流されそうになる時がある。
この国はもうダメだとか、泥舟から早く脱出しなきゃいけないとか、アレは得でコレは損だとか、誰が悪くて誰が正しいとか。僕も皆も右往左往しているように感じる時がある。

先日、長男の中学校の合唱コンクールを鑑賞した。仕事が忙しい時期で、面倒だなと思いながら会場に向かった。が、一生懸命に歌う彼、彼女らの姿を見て思わず落涙しそうになった。
この子たちみんなが幸せでありますように…と思わずにはいられなかった。
自分の子と同等に「この子たち」を主語として考えてしまったのは、歌の素晴らしさによるものなのか、自分の成長なのか、はたまた単に歳のせいなのか…。

そして心は祖父母の家に飛んでいた。

父の生家は水道もガスも来ていない山の中にあった。数年に一度、夏休みにだけ過ごす、圧倒的な自然の中での時間。僕にとって、日に透かしたサイダーの泡のように輝きはじける記憶だ。

そこが祖父母にとってどんな場所か、大人になって知った。どれだけの苦労をしてここで生きてきたか。朝から晩まで働いて、こんな山奥の土地を少しずつ買い、田畑を拓き、子供四人を育ててきた場所だった。
祖父が亡くなり、祖母は山を下りた。そして、あの家も畑も森に還ってしまった。

「a whale of a time」とは「満たされた素晴らしい時間」という意味があるらしい。
子供たちには今、世界はどう映っているのだろうか。
不安や焦りを抱えながらも、この世界を楽しんで生きていこう、その姿を子どもたちが見てくれたらいいなと思いました。

多分、これが2023年の描き納めになるような気がします。
今年もご覧頂き、温かいスキ、コメントを下さりありがとうございました。
よいクリスマスと新年をお迎えください!

ぷにょ

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