【1日1文献】Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)を用いた脳卒中に伴う運動失調重症度評価の有用性について#運動失調#脳卒中#SARA

参考文献:Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)を用いた脳卒中に伴う運動失調重症度評価の有用性について
筆者:山内 康太小柳 靖裕岩松 希美熊谷 謙一藤本 茂鈴木 聡
発行日:2013年
掲載元:脳卒中 35 巻 (2013) 6 号
検索方法:インターネット
キーワード:ataxiaposterior circulation strokescale for the assessment and rating of ataxia

要旨:
【背景・目的】
・Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)は脊髄小脳変性症における運動失調の評価を目的として作成された.
・脳卒中による運動失調をSARA にて評価した研究は少ない.
・本研究では急性期脳卒中におけるSARA の有用性について検討した.
【方法】
・2011 年6 月から2012 月7 月までに椎骨脳底動脈領域の脳卒中による運動失調に対しリハビリテーションを施行した18 例を対象とした.
・発症1 週目におけるSARA,National Institute of the Health Stroke Scale(NIHSS),Functional Ambulation Category(FAC),Barthel Index(BI)および入院期間を調査し,SARA の有用性を検討した.
【結果】
・発症1 週目におけるNIHSS とBIは相関を認めなかった(p=0.557,r=−0.148).
・しかしSARA とBI は有意な負の相関を認めた(p=0.001,r=−0.725).
・FAC に関しては,NIHSS との相関は認められず(p=0.582,r=−0.139),SARA とは負の相関を認めた(p<0.001,r=−0.800).
・NIHSS と入院期間に相関は認めなかった(p=0.550,r=0.151).
・SARA と入院期間は正の相関を認めた(p<0.001,r=0.874)
【結論】
・脳卒中に伴う運動失調の重症度評価において,SARA はNIHSS に比べてFAC,BI,入院期間と相関が高く,有用であることが示唆された.

メモ
・椎骨脳底動脈領域の脳梗塞は全体の約 30%とさ れ1) ,小脳梗塞の発症率は 2.3%であったと報告され ている2) .
・小脳梗塞症例では発症 3 カ月後における日 常生活動作(active daily living; ADL)が自立する症例は 全体の 69%であり,21%の症例は機能障害により何 らかの介助を必要とし,10%の症例は寝たきり・死亡 すると報告されている2) .
・また運動失調は ADL に深 く関連することが知られている3) .運動失調の重症度 評価は脊髄小脳変性症を対象に開発された.International Cooperative Ataxia Rating Scal(e ICARS)が 国 際 基 準として用いられている4)

・め運動失調を呈した症例と対象者を限局し た本研究では NIHSS は歩行障害能力と相関を認め ず,SARA では歩行障害や日常生活動作と高い相関を 認めたと考えられる.
・つまり,SARA は NIHSS では 検出できない神経症状の評価を補填し,予後予測とし て有用であることが示唆された.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/35/6/35_418/_pdf/-char/ja 


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