【1日1文献】作業参加が健康関連QOLに及ぼす影響の1年間の変化 ─健康中高年者のコホート研究─#作業参加#QOL#ヘルスプロモーション

参考文献:作業参加が健康関連QOLに及ぼす影響の1年間の変化 ─健康中高年者のコホート研究─
筆者:今井 忠則
発行日:2019年
掲載元:作業療法 38 巻 (2019) 3 号
検索方法:インターネット
キーワード:ヘルスプロモーション, (自記式作業遂行指標:SOPI), 参加, 縦断研究, 作業科学

【抄録】
・意味のある作業への従事(作業参加)は,健康・well-beingにとって重要だが,その疫学的根拠は乏しい.
・本研究では,作業参加が健康関連QOL(SF-36v2で測定)に及ぼす1年間の影響を明らかにすることを目的とし,地域中高年者460名を対象に1年間の追跡調査を実施した.
・各自の作業参加の変化量により「維持・向上群」と「低下群」を設定し,SF-36v2の各尺度の群間差と群ごとの継時的変化を検討した結果,維持・向上群の方がSF-36v2の全尺度で良好であった(p<.05)
・さらに肯定的影響は早期に発現しその後維持される傾向が,否定的影響は半年以上の期間を経て発現する傾向が見出された.
・本結果は,健康増進・予防的作業療法の疫学的根拠の一つとなる.

メモ
・作業療法では,日々の生 活における作業参加(occupational participation: 意味のある作業への従事)の あ り 方 が,健 康・ well-being に大きく影響する
・つまり,作業参加が 健康の決定要因(重要な説明要因)であることを基本 的仮説としている2,3).
・しかし,このことが予防医学 や社会一般で十分に疫学的根拠を伴って認知されているとはいえない.
・作業参加と健康との関連性を,人間 集団における健康状態とそれに関連する要因の分布を明らかにする疫学的研究により示していくことが重要である.

・高次生活機能とは「手段的自立」,「知的能動性」,「社会的役割」からなる概念で,高齢者が 一人の社会人として地域で自立した生活を営む上で必要な活動能力を意味している
・つまり,維持・向上群になった人の方が,元々,地域で自立した生活を営む活動能力が良好な傾向があり,それがその後の作業 参加の状況に影響を及ぼした可能性が考えられる.

・臨床的応用への示唆のまとめ
①全体的に,作業参加の状態が改善することによって,健康関連 QOL(特に心理社会的側面)は向上する可能性 がある.
②また,その肯定的作用は 6ヵ月以内に発現 し,その後 6ヵ月間は維持する可能性が高い.
すなわち作業参加の状態を改善する介入を行えば,比較的早 く効果がでる可能性がある.
③一方で、作業参加の状態が悪化することによって,健康関連 QOL(特に心 理社会的側面)は低下する可能性がある.
④また,そ の否定的作用は中長期的(6ヵ月以降)に発現する可 能性が高い.
すなわち,長期間にわたって作業参加が 満足にできていない状態を放置すると,健康に悪影響を及ぼす可能性が考えられる.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/38/3/38_304/_pdf/-char/ja

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