【1日1文献】運動療法と患者教育が変形性股・膝関節症患者の身体 活動量におよぼす影響―メタアナリシスによる検討―#運動療法#変形性関節症#メタアナリシス

参考文献:運動療法と患者教育が変形性股・膝関節症患者の身体 活動量におよぼす影響―メタアナリシスによる検討―
筆者:佐々木 遼 、本田 祐一郎、大賀 智史 、田中 なつみ 、梶原 康宏 、中川 晃一 、坂本 有希倫 、盛田 日菜子 、近藤 祐太朗、沖田 星馬 、後藤 響 、近藤 康隆 、片岡 英樹、坂本 淳哉 、沖田 実
発行日:2022年
掲載元:運動器理学療法学 2 巻 (2022) Supplement 号
検索方法:インターネット
キーワード:股/膝 OA,身体活動量,メタアナリシス

【はじめに,目的】
・変形性股・膝関節症(股・膝 OA)患者における身体活動量の低下は 主症状である痛みの増悪を招くとともに,身体機能や ADL,QOL を低 下させる.
・そのため,各国における股・膝 OA ガイドラインでは身体活 動量の向上を図るマネジメントが推奨されており,運動療法と患者教 育は中核的治療に位置付けられている.
・これまでに股・膝 OA 患者の 身体活動量の維持・向上に対する運動療法や患者教育の効果を検証した無作為化比較試験(RCT)が展開されており,これらを統合したメタ アナリシスも実施されている.
・しかし,一定の見解が得られておらず, その原因として対照群や効果判定のタイムポイントの設定が統一され ていないといった問題点が認められた.
・そこで,本研究では保存療法が 適用となる股・膝 OA 患者に対する運動療法と患者教育の単独あるいは併用介入が身体活動量におよぼす効果について,対照群と効果判定 のポイントを統一し,メタアナリシスを実施した.

【方法】
・医学文献データベース(MEDLINE,ProQuest,Scopus,PEDro)に 収載されている股・膝 OA 患者に対する運動療法および患者教育の介 入効果ならびにこれらの併用介入の効果を検証した RCT を収集した.
・論文の包含基準は,英語で記載されているもの,アウトカムとして身体 活動量ならびに痛みの評価が実施されているもの,対照群が無治療等 であるものとし,研究開始時ならびに終了時のデータを抽出した.
・メタ アナリシスはコクランハンドブックに準拠し,risk of bias を用いた採 用論文の質的評価を実施した後に Review Manager software を使用し て変量効果モデルによる解析を実施した.
・なお,解析には標準化平均値 差(SMD)を用い,有意水準 5% 未満をもって効果を検証した.

【結果】
・抽出された 14,723 編の論文のうち,包含基準のすべてを満たした論 文は 13 編であり,運動療法による単独介入については 5 編,患者教育 による単独介入については 4 編,運動療法と患者教育の併用について は 4 編が抽出された.
・これらの論文の質的評価を行ったところ全体の 56% が low risk of bias であった.
・そして,メタアナリシスの結果,身 体活動量について,運動単独と教育単独はいずれも対照と比べて有意 な介入効果を示さなかったが,運動療法と患者教育の併用は対照群と 比べて有意な介入効果を認めた(SMD 0.19[0.01,0.36]).
・痛みについ ては,運動療法による単独介入のみ対照群と比べて有意な介入効果を 示した(SMD 0.21[0.04,0.38]).

【結論】
・今回の結果,運動療法と患者教育の併用は無治療等と比べて股・膝 OA 患者の身体活動量の向上に対する有効な介入戦略であることが示された.
・したがって,保存療法が適用となる股・膝 OA 患者に対する理 学療法介入として,従来通りの運動療法単独の介入では不十分であり, 患者教育を併用することが不可欠といえる.
・ただし,今回の結果では痛 みに対する運動療法と患者教育の併用効果は認められていない.
・この点に関して,採用された RCT を精査すると,運動が短時間かつ高負荷であることや教育の頻度が少ないといった点が影響している可能性が 推察される.
・今後は,これらの点を踏まえた RCT の実施や,それらを 用いた再検討が望まれる.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jofmpt/2/Supplement/2_O-104/_pdf/-char/ja

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