【1日1文献】修正版 Functional Ambulation Categoryの有用性の検討#歩行能力#FAC#理学療法

参考文献:修正版 Functional Ambulation Categoryの有用性の検討
筆者:伊東 有紀子臼田 滋町田 泉長谷川 信中澤 理恵芹澤 志保白倉 賢二
発行日:2004年
掲載元:理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2
検索方法:インターネット
キーワード:歩行能力評価尺度有用性

【目的】
・日常生活での歩行 能力の簡便な評価尺度としてFunctional Ambulation Category(FAC)がある。
・当院では入院患者用に歩行場面を修正した修正版FAC(Modified FAC以下MFAC)を使用している。
・本研究の目的は,MFACの有用性を転帰,基本動作能力,ADLとの関連性から検討することである。

【対象および方法】
・対象は,当院入院中に理学療法を施行し,平成15年6月から10月に退院した患者206名であり,男性109名,女性97名,平均年齢62.8±14.6歳であった。
・診療科別内訳は,整形外科79名,脳神経外科26名,神経内科13名,外科47名,内科24名,その他17名であった。転帰は自宅退院128名,転院78名であった。
・FACの得点基準は,5点-不整地,階段,斜面でも自立,4点-平地にて自立,3点-口頭指示または監視,2点-常にまたは時々介助,1点-常に1人の介助,0点-歩行不能か二人以上の介助の6段階で構成されている。
・今回使用したMFACでは歩行場面を病院内に修正し,5点-院内自立,4点-限定された場所で自立とした。
・退院時にMFAC,基本動作能力(Functional Movement Scale以下FMS),ADL(ADL-20)を測定した。
・MFACの自宅退院群と転院群の差をMann-Whitney検定にて検討した。
・診療科別にて2群間の差を同様に検討した。
・MFACとFMS,ADL-20との相関をSpearmanの順位相関を用い検討した。

【結果】
・当院退院患者のMFACの得点分布は自宅退院5点-89名,4点-17名,3点-10名,2点-4名,1点-1名,0点-7名,転院5点-12名,4点-12名,3点-12名,2点-10名,1点-8名,0点-24名であった。
・自宅退院群では有意に得点が高かった(p<0.01)。
・診療科別でも同様に,整形外科と外科,脳神経外科において自宅退院群では有意に得点が高かった(p<0.01)。
・神経内科,内科,その他において群間の差は認められなかった。
・FMSとの相関係数は0.84,ADL-20とは0.86と強い相関が認められた(p<0.01)。
・診療科別では,全ての診療科でFMSとの相関係数は0.74から0.95,ADL-20とは0.80から0.92と強い相関が認められた(p<0.01)。

【考察】
・MFACは転帰との関連が認められたが,診療科別の分布には違いがみられたことより,疾患により傾向がみられると考えられる。
・また,基本動作能力,ADLとの関連が強く認められたことより,MFACは臨床場面で簡便に使用可能な有用な評価尺度であることが示唆された。

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2003/0/2003_0_A0210/_pdf/-char/ja


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