【1日1文献】早期変形性膝関節症患者における大腿四頭筋の筋変性と膝関節機能との関連#変形性膝関節症#大腿四頭筋#脂肪変性

参考文献:早期変形性膝関節症患者における大腿四頭筋の筋変性と膝関節機能との関連
筆者:岡田 笙吾, 谷口 匡史, 八木 優英, 福元 喜啓, 廣野 哲也, 山縣 桃子, 中井 隆介, 市橋 則明
発行日:2022年
掲載元:運動器理学療法学 2 巻 (2022) Supplement 号
検索方法:インターネット
キーワード:早期変形性膝関節症,大腿四頭筋,脂肪変性

【はじめに】
・変形性膝関節症(膝 OA)患者における大腿四頭筋の機能低下に は、筋量低下と筋質低下が影響する。
・筋質低下とは主に筋内脂肪増加 による非収縮組織量の増加であり、その定量的評価には MRI-Dixon 法が有用である。
・先行研究において、膝 OA 患者では大腿四頭筋の筋 内脂肪率の増加が、膝関節の機能障害に関連すると報告されている が、早期膝 OA 患者でも同様の傾向が見られるかを調べた報告は見 当たらない。
・本研究の目的は、早期膝 OA 患者の大腿四頭筋の筋量・ 筋内脂肪率の特徴、およびその特徴と機能障害との関連を明らかに することである。

【方法】
・60 歳以上の高齢者 85 名が本研究に参加した。
・まず、3.0T の MRI 装置とボディコイルを用いて安静背臥位・膝伸展位にて右膝関節の プロトン密度強調画像(PD 画像)を取得した。PD 画像から OA 診断および Whole Organ Magnetic Resonance Score にて軟骨変性 を評価した。
・また、膝関節の歩行時痛の有無を評価し、軟骨変性およ び膝痛を有する者を早期 OA 群と定義した。
・膝 OA 患者を除外した 50 名のうち、早期膝 OA 群 15 名(71.9±6.6 歳、男性 7 名、女性 8 名)と歩行時痛のない対照群 35 名(74.2±6.4 歳、男性 20 名、女性 15 名)に分類した。
・筋量・筋質評価には、右大腿四頭筋の T1 強調画 像と 2 point Dixon 法を用いた。
・大腿四頭筋の筋量は T1 画像上でス ライス毎に各筋の筋横断面積を算出し、その断面積とスライス厚(0.4cm)の積の総和として求めた。
・また、Dixon 法で計測した MRI から水と脂肪の比率画像を作成し、各筋の筋内脂肪率(%)を算出した。
・骨格筋は水分を多量に含む組織であり、筋内に占める筋内脂肪率 の増加は筋質低下の指標となる。
・さらに、Knee society score(KSS) の機能スコアを評価した。
・KSS 機能スコアは 100 点満点、低値ほど 機能障害があることを示す指標である。
・統計解析は、早期膝 OA の有 無を従属変数、大腿四頭筋の筋量と筋内脂肪率を独立変数としたロ ジスティック回帰分析を行った。
・また、機能スコアを従属変数、大腿 四頭筋の筋量・筋内脂肪率を独立変数、年齢、性別、BMI、歩行時痛 の有無を調整変数とした重回帰分析を行った。有意水準は 5% とし た。

【結果】
・ロジスティック回帰分析の結果、大腿四頭筋の筋内脂肪率が早期膝 OA と関連し、早期膝 OA 群では高値を示した(オッズ[95% 信 頼区間;CI]:2.10[95%CI;1.22, 3.61])。
・また、重回帰分析では、 大腿四頭筋の高い筋内脂肪率は KSS の機能スコアの減少に有意に 関連することが示された。(β=-3.21[95%CI;-5.09, -1.34])

【結論】
・早期膝 OA 患者では、大腿四頭筋の筋内脂肪率が増加し、その筋内 脂肪率の増加は機能障害と関連していた。
・先行研究において膝 OA 患者の筋質低下と機能障害の関連が報告されていたが、本研究は早期膝 OA 患者においても筋質低下が生じ、機能障害と関連すること を示した初めての研究である

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jofmpt/2/Supplement/2_O-29/_pdf/-char/ja


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?