【1日1文献】変形性膝関節症の治療としてのリハビリテーション ―運動療法ホームエクササイズの効果―#変形性膝関節症#ホームエクササイズ#運動療法

参考文献:変形性膝関節症の治療としてのリハビリテーション ―運動療法ホームエクササイズの効果―
筆者:黒 澤 尚
発行日:2005年
掲載元:リハビリテーション医学 42 巻 (2005) 2 号
検索方法:インターネット

【はじめに】
・わが国の急速な高齢化に伴い,運動器の加齢性 疾患も急増している.・関節疾患,中でも変形性膝 関節症(以下,膝 OA)は現在患者数が 700万人 ともいわれ,今後ますます増加していく運動器の 生活習慣病である.
・従来,整形外科領域では初 期~中期の膝 OAに対しては,非ステロイド抗 炎症鎮痛剤(NSAID)やヒアルロン酸製剤の関 節注射,超短波や温熱等の物理療法等を外来で行 い,高度進行例については高位脛骨骨切り術,人 工関節置換術等を行ってきた
・膝 OAで病院を 受診する患者の大部分は進行度が初期や中期の患 者であり,それらに対しては保存療法が適応とな る.
・しかし,膝 OAに対する保存療法に関して は現在まで整形外科医,リウマチ医共に充分に取 り組んできたとは言いがたい.
_今後更なる高齢化 社会を考えると,新たな系統的,効率的,効果的 かつ経済的な保存療法の手段が望まれている.
・筆 者らは従来から膝 OAに対する運動療法につい て幾つかの研究を行ってきたのでそれらを概説 し,膝 OAに対する治療としてのリハビリテー ション(以下,リハ)である運動療法の有効性と 有用性について述べる.

メモ
・運動療法は従来 NSAID の内服薬,関節内ヒア ルロン酸製剤の注射,通院による物理療法などが 通常よく行われる保存療法で,運動療法もその1 つの補助療法として行われてきた.
・しかし,前述 したいくつかの前向き,無作為の研究によって SLR 訓練をはじめとする運動療法はそれ単独で 膝 OAの疼痛と ADL障害の軽快に有効であり, その効果は NSAID に優るとも劣らないことがわ かった.

・SLR 訓練,等張性膝伸展筋訓練,歩行等の運動 強度はせいぜい 3METs程度であり,心臓疾患 をはじめとして合併症を伴いがちな中高年者にと ってほとんど副作用もないきわめて安全な治療法 である.
・また,初診時以後は各自家庭でのホーム エクササイズで運動療法は行うことはでき,定期 的なチェックのために 2~3カ月間に 1回程度の 通院をするだけで充分である.従来のような頻繁 な通院による再診料や注射料,理学療法料等の負 担がない廉価な治療法は現在の医療費高騰の時代 にはうってつけの治療法といえる.

・しかし,このように数々の利点を有するホーム エクササイズとしての運動療法も患者に継続する 意志がなければならない.
・患者が自宅で毎日運動 療法を実行するにはまず各自が充分に運動療法の 意義を理解し納得することが必要であり,そのた めには医師が膝 OAの病態と治療の意義を充分 に時間を使って患者に説明することがまず前提と なる.
・充分な病態と治療法の理解の上で病状改善 のために患者自らが何らかの治療に取り組むこと は心理学上のセルフマネージメントにあたり、心理学上も有効な方法である.
・慢性の疼痛疾患で ある膝 OA患者は程度の差はあっても何らかの 不安やうつ状態を有しており,その不安がまた 疼痛の程度を高めるという悪循環を来たす.運動 療法は各自が自ら治療に主体的に参加する方法で あり,これが患者の不安やうつ状態の軽減に役立 ち,意欲向上にも有効である.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1963/42/2/42_2_124/_pdf/-char/ja 

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