【226日目】『作業機能障害』と『信念対立解明アプローチ』と『リーズニング』

こんばんは。

先日、OBP2.0の研修会を受けました。

配布された資料に詳しいことは分かりやすく書いてあるのですが、記憶に定着させるためにも、自分なりに重要だと感じた部分をピックアップして書き残しておこうと思います。

OBP2.0で重要だと感じているキーワードは、『作業機能障害』と『信念対立解明アプローチ』と『リーズニング』です。

『作業機能障害』

作業機能障害は、【作業不均衡】、【作業剥奪】、【作業阻害】、【作業周縁化】の4つに大きく分類することができます。

一つ一つをクライエントに当てはめて考えるのではなく、作業機能障害の分類を使ってクライエントの全体像を捉えることが肝要です。

それぞれ簡単に説明していきます。

【作業不均衡】
日々の作業のバランスが崩れている状態のこと。
時間や種類や意味など、それらのバランスに着目していく。
例えば、仕事ばかりで休めていない、遊びすぎて働けていない、食べてばかりで運動していない、1人でいてばかりで他者との関わりがほとんどない、など。
これらのバランスが崩れてしまうことが、健康や幸福に負の影響を与えることはイメージしやすい。
難しいのは介入の仕方で、ただ健全なバランスに近づけることだけを目指すのではなく、まずはバランスが崩れてしまっている原因やその他の要因を把握することが必要。
その上で、クライエントの価値観に合わせた作業バランスに調整していくことがその人らしさを満たし、本当の意味での健康や幸福に近づくと思う。


【作業剥奪】
環境の影響で作業に関われない、作業ができない状態のこと。
要するに対象者の意思ではどうにもならないことによって起きている作業の制限。
作業が奪われ続けると、社会との繋がりが薄れ、孤立した状態になる。
社会的孤立は、うつや自殺などを引き起こす。
入院、入所、転校、引越しなどは作業剥奪を引き起こしやすいと言われている。
自分の体験談では、中学時代はスクールバス通学を余儀なくされていたことで、部活の朝練や遅くまで残って練習できないことが、まさに作業剥奪の状態だったと言えそう。
あと、転校も多かった。
それもあって、環境をどうにかしたいと思う気持ちが強いのかもしれない。


【作業疎外】
している作業に対して意味を見出せていない状態のこと。
なんのために働いているのか分からず、ただ惰性で働いていてその仕事から得られるものがないと感じている状態。
有効感や統制感の喪失、無意味感、無価値観、 退屈、不安、不満足、失望、孤立、空虚などが体験される。
想像するだけで物悲しい状態。
ロボットのような状態かな。
問答無用で健康とは言えない。


【作業周縁化】
意思決定のプロセスに参加できていないことによって、作業の選択肢が制約され、周囲が意味や価値を認めない状態のこと。
作業に対する認識のギャップだったり、社会的排除などによって生じる。
個性を理解してもらえないこと、価値観の押し付け、男女差別などががそれに当てはまる。
インターネットやグローバル化の影響で多様性を求められている現代において、作業周縁化は社会問題とも大きく関連していると思われる。


以上が、作業機能障害の4つの分類。

こうやってみると、作業剥奪によって作業阻害や作業周縁化に陥ることもあるし、
作業不均衡から作業阻害や作業周縁化に陥ることもあるだろう、ということがよくわかる。

要するに、それぞれが一方通行の関係性ではなく、相互に影響を与え合う関係であることがわかる。

どれか一つの状態になっているわけでも、0か100でもなく、すごく曖昧にグレーな状態でいること。

それが人間として、生物として自然であることを理解しておくこと。

これは大前提。

最初にも書きましたが、そういった視点でクライエントのことを見て、作業機能障害の分類にとらわれない全体像を把握することが肝要。

加えて、作業療法士は医療従事者でもあるので、医学的な疾患や障害が、人や作業や環境に及ぼす影響を考慮し、整理し関わる姿勢が求められているのだと考えられます。

個人的に難しいと感じるのは、そのことを理解されていない人との人間関係。

なんでも白か黒で決めたがったり、教科書に当てはめないと気が済まないようなタイプの人です。

そんなタイプの人とは、信念対立が生じやすかったりする。

ただ、矛盾しているようにも感じるけど、作業療法士として作業機能障害をみていくにあたって、この考えは譲れないものでもあります。

そこで欠かせないのが、2つ目のキーワードである「信念対立解明アプローチ」です。


『信念対立解明アプローチ』

信念対立というのは、わかりやすい言葉にすると価値観の対立です。

価値観というのは、人の数と同じだけ存在するのでなくなることはありません。

しかし、解明することはできます。

つまり、自分の価値観を相手に従わせたり、相手の価値観に不満を抱きながら合わせるのではなく、認め合える状態を目指すのが信念対立解明アプローチです。

まず、なぜ信念対立がよくないかというと、信念対立が生じている相手とは必要以上にコミュニケーションを取ろうとしないし、相手のことを観察して気遣うようなこともしなくなります。

コンビニの店員さんくらいの関係性であれば、そこまで大きな問題になることはないかもしれませんが、医療現場ではそれが医療ミスや医療崩壊につながる危険性があります。

ちなみに、信念対立は他職種との連携で起きるものと考えられがちですが、自分の中で起きる葛藤も信念対立ですし、組織に対する不満なども信念対立です。

そして、忘れてはいけないのが、医療従事者とクライエントの間にも信念対立は存在するということ。

信念対立が生じてる状態で信頼関係など築けませんので、協働関係が必須の作業療法を実施していくのは、ほぼ無理ゲーとなります。

そんなわけで信念対立解明の心得を取得していない状態で作業療法を行うのは、極寒の地に裸で踏み込むくらい危険なことがわかります。

信念対立解明アプローチの実践方法に関しては、本当に多岐にわたる方法が考えられていますが、基本方針は「状況」と「目的」を把握し、逐一共有しておくことです。

加えて、相手の「その人らしさ」の理解に努めること。

「その人らしさ」を理解するのに有効なのは、その人の作業歴を知ること。

つまり、その人が経験してきたこと、それを通して感じたこと、想いなどを知ることです。

ここでも大事なのは情報共有で、憶測で考えるのはなく、話を聞いて自分なりに整理した「その人らしさ」を、本人にそれとなく確認すること。

また、そういった状況を作りやすくするためにも自分の「自分らしさ」を整理し、それをオープンにしていくことも重要なことだと考えます。

他には、作業療法士とクライエントという関係を活かすのであれば、作業療法による介入結果をきちんと示していくこと、共有していくこと、それに対して相手がどのように感じたのか対話を介して確認すること。

そういった戦略が考えられます。

これらを頭の中で道筋立てて、仮説と検証を繰り返しながらクライエントとの関係性を築いていくことが、作業療法士に求められる専門的なスキルの一つであると考えています。

相手との信念対立を解明しながら、協働的に作業療法を実施していくという狙いがないと、ただ雑談が上手で話しやすい良い人になってしまうので、作業療法士としては、その辺は肝に銘じておきたいと思うところです。

しかし、作業療法士も人間なので思考には偏りが生じてしまいます。

思考の偏りは、相手を理解することよりも、自分の都合に合わせることを無意識で行ってしまいます。

それは、クライエントの全体像を捉えることの阻害要因となり得ますし、信念対立の解明からは離れた場所に向かってしまいます。

そこで、次に大事な視点が「リーズニング」です。

『リーズニング』

リーズニングとは、思考の道筋のこと。

リーズニングの種類も特徴によって、いくつかに分類することができます。

作業療法で押さえておきたいのは、科学的リーズニング、物語的リーズニング、相互交流的リーズニング、実際的リーズニング、倫理的リーズニングの5です。

リーズニングはあくまでも思考の過程なので、どれが優れているということはありませんが、状況と目的に適したリーズニングというものはあります。

例えば、お医者さんに対しては、物語的リーズニングよりもエビデンスに基づく科学的リーズニングを用いて説明した方が友好関係を築きやすかったりします。

リーズニングを意識的に使い分けられるメリットとしては、作業機能障害の全体像を捉えやすくなったり、信念対立の洞察を深められることにもあります。

自分がどのリーズニングで相手のことを見ているのか、相手にはどのようなリーズニングの癖があるのか。

それらを考えられるだけでも作業機能障害の把握や、信念対立の解明に役立ちます。

つまり、自分のリーズニングの癖を把握しておきつつ、状況と目的に応じて意識的にリーズニングを変えられるようにしておくことは、多職種連携やクライエントの理解に役立つので、作業療法を円滑に進めていく上でも重要なこととなります。

型に当てはめない実践ができるようになると、クライエント個人のことをよりよく理解できる。

つまるところ、柔軟な対応ができるようになる。

そういうことだと思います。

それこそが実践場面において、一番大切なことだと思います。

まとめ

とりあえず、研修会の内容から『作業機能障害』、『信念対立解明アプローチ』、『リーズニング』に焦点を当てて、要点をまとめつつ、自分の考えも整理してみました。

OBP2.0は筋が通っていて、応用も効かせやすい実践向きの理論なので、本当に好きな理論の一つです。

また、『作業機能障害』、『信念対立解明アプローチ』、『リーズニング』のどれもが、誰でも日常的に身近にあるものを取り扱っている点も好きな理由の一つです。

特別な必殺技ではなく、空気や呼吸のように当たり前にあるけど、普段意識できていないものに意識を向けて、生活を豊かにするためにそれらを活用する理論なんですね。

とてもエコで素敵な理論だと思います。

意識できていないものを意識できるようにすることから始まるわけなので、訓練方法としては、無意識で行っている行動やそのときの感情を、言語化、文字化、図式化などして、それらを明確にしていくことが有効だと思われます。

そんなことを思ったので、今回は習慣化できているnoteを利用して文章化してみました。

個人的には、頭の中が整理された感があって、つらつらと書いてみて良かったと思います。

今後も、当たり前のことを明確化していく訓練は、意識的に行っていければと思います。


本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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