【1日1文献】主観的な認知機能評価が改善したが,客観的な認知機能評価は 悪化した長期入院統合失調症患者の一事例#認知機能#統合失調症#精神的負荷

参考文献:主観的な認知機能評価が改善したが,客観的な認知機能評価は 悪化した長期入院統合失調症患者の一事例
筆者:増澤 達彦(OT)1)3),竹中 菜摘(OT)2),橋本 健志(MD)4
発行日:2019年
掲載元:第39回近畿作業療法学会
検索方法:インターネット
キーワード:認知機能,評価法,統合失調症

【 序論 】
・統合失調症の治療は精神症状だけでなく,認 知機能障害の対策も講じなければならない(大熊, 2013 ).
デンマーク統合失調症の認知機能障害の評価には神経心 理学的テストバッテリーである統合失調症認知機能簡 易評価尺度日本語版( BACS-J )やインタビューを基 に評価する統合失調症認知評価尺度日本語版
( SCoRS-J )などがある.
・BACS-J と SCoRS-J で評価 する認知機能は相関関係がある(兼田,2010)が, SCoRS-J のみが改善した事例を経験した.

メモ
・3か 月 後 に BACS-J は 悪 化 し,SCoRS-J, PANSS は改善した.
・事例は BACS-J 検査場面での精 神的負荷が大きく,十分なパフォーマンスが発揮でき ていなかった可能性が考えられる.
・インタビューを基 に評価する SCoRS-J では拒否反応はみられず,主観 的評価は改善した.
・SCoRS-J の評価者全般評価は作 業療法士が評価したためバイアスの可能性を否定でき ないが,介護者全般評価や PANSS も改善を示す結果 であった.
・以上から事例のような長期入院かつ服薬量 が多く,GAF25 点と社会機能が低い統合失調症患者 には,認知機能の評価は BACS-J のような検査場面 だけでは不十分であると考えられる.
・なお主観的評価 が改善した背景には生活の場となっている病室へ作業 療法士が出向き一緒に作業を行うことで,身の回りの 困りごとに注意を向けることができるようになり, SCoRS-J で評価できる主観的な認知機能の改善につ ながった可能性が考えられる.

参考URL:
http://kinot39.umin.jp/pdf/abstract/O3-3.pdf

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