【1日1事例】地域スポーツに関わる母親のネガティブな体験 #地域スポーツ #子ども #ネガティブ体験

参考文献:地域スポーツに関わる母親のネガティブな体験
筆者:藤後 悦子, 三好 真人, 井梅 由美子, 大橋 恵, 川田 裕次郎
発行日:2018年
掲載元:心理学研究 89 巻 (2018) 3 号
検索方法:インターネット
キーワード:: M-GTA, children’s community sports, negative experiences, human relationships, parenting.

【抄録】
Children’s community sports require assistance of parents, such as in overseeing practices and in transportation to and from game venues; this means that parents are deeply involved with the teams. Parents have both positive and negative experiences with respect to their children’s sports activities. As a qualitative survey, this study aimed to clarify the kind of negative experiences that mothers have regarding their children’s community sports activities and to explore the conditions necessary for building a better team environment. Eight mothers with children who belonged to the community sports team until “retirement” were interviewed. Through analysis using M-GTA, the six categories were extracted: Problems concerning children’s competitive activities, problems with coaches, difficulties in balancing their own lives and the children’s activities, problems concerning the interference from and expectations of fathers, problems related to roles and duties, and relationship problems between mothers. Based on these results, educational intervention for parents was shown to be necessary, and recommendations for the future sports environment are presented.
メモ
・2015 年 10 月にスポーツ庁が新設された。スポーツへの関心 が高まる中,政府は「地域スポーツ等も含めた我が国 のスポーツ全体を更に発展させるための施策を総合的 に進めていく」(文部科学省, 2015)ことを明言した。
・地域スポーツは,競技能力 の向上,友人の増加,忍耐力・積極性・自信の形成, 体力向上,家族の会話の増加などの教育的効果が挙げられている(Conroy & Coatsworth, 2006; Donaldson & Ronan, 2006)
・学校での部活動がない小学生にとっての運動機会にとどまらず,子ども達の発達や人格形成を保障 する重要な役割を担う。
・アメリカの地域スポーツは,試合中心で選抜に合格 した選手のみが参加できる競技スポーツと,希望すれ ば参加できるシーズン制レクリエーションスポーツと に分けられる
・日本の地域スポーツは,アメリカのレ クリエーションスポーツと類似する総合型地域スポー ツと,年間を通して行われるボランティア主体の地域 スポーツと,習い事としての民間経営の地域スポーツに分類できる。
・その中でもチームスポーツを代表する 野球,サッカー,バスケットボール,バレーボールは, ボランティア主体の地域スポーツが主に担う
・子どもの地域スポーツを通した母親の経験は,ストレス発散や子育てネットワークの拡大などポジティブ な報告がある(石原,2010)。
・一方,ネガティブな経験に関しては,状態不安の悪化(石原,2010)や対人 関係のトラブルが報告されている(井梅・藤後, 2014)。
・しかし,対人トラブルが起こる条件や,どのような状況で母親の不安が高まるのか,その具体的な 文脈は明らかになっていない。
・母親同士のトラブルが,子ども への否定的な声かけや自分の子どもよりも上手な子ど もに対する嫉妬など,子どもを媒介とした母親同士の 複雑な関係の中で起こることが示された。
・子どもの競技力に対 するコーチの声かけや対応も母親の感情に影響する。
・スポーツの場における「子どもの競 技活動に関する問題」と「コーチに関する問題」が常 にセットとなり存在する。
・スポーツの競技の場以外に,子ども のスポーツの場を支えるためには,物理的に自分の時 間を犠牲にしなければならなくなり,母親は,「自身 の生活と子どもの活動の両立困難」さを感じていた。
・また仕事と家庭のバランスも難しく,これはアメリカ でも同じことが生じており重要な課題になっている
・スポーツの場とスポーツの場以外の家庭や仕 事との間にあるものが,「母親同士の関係の問題」や「役 割や当番関係の問題」である
・本来コート 内のみでなくコート外のチーム運営も,最終的な責任 はコーチら指導者に帰するはずである。しかし,実態 はコーチの関与は少なく,かつ母親達もコーチの責任 範囲について認識していないようであった


参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/89/3/89_89.17302/_pdf/-char/ja

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