【1日1文献】変形性膝関節症患者の足部形態と転倒との関係#変形性膝関節症#足関節機能障害#転倒

参考文献:変形性膝関節症患者の足部形態と転倒との関係
筆者:小林 恵理萩野 浩
発行日:2020年
掲載元:理学療法科学 35 巻 (2020) 1 号
検索方法:インターネット
キーワード:変形性膝関節症足部機能障害

目的〕
・変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:膝OA)患者の足部形態を調査し,転倒発生との関連を検討することである.

〔対象と方法〕
対象:一次性膝OAに対する手術目的で入院した40歳以上の女性患者30名.
方法:手術前日に転倒歴の聴取,自己記入式アンケート調査,足部形態評価,歩行分析,運動機能評価を実施した.

〔結果〕
・手術適応のある膝OA患者において,舟状骨沈降度(navicular dropping test:NDT)が転倒リスク因子として挙げられた.

〔結語〕
・手術適応のある膝OA患者において,足部の機能訓練やテーピング,足底挿板療法などを用いた物理療法など,足部へ介入することは,患者の転倒を予防する可能性があると考える.

メモ
・膝 OA 患者や TKA 術後患者における転倒リスク因子 について,TKA を施行した患者は健常高齢者と比較し, 術後 6 ヵ月間を通して膝関節伸展筋力,膝関節可動域, 6 分間歩行,片脚立位時間が劣っており,さらに,手術前と比較しても術後 1 ヵ月で改善したものは疼痛のみで あった 8).
・よって,TKA 術後の患者においては,下肢の機能を中心とした身体機能の低下がみられ,下肢の脆 弱性により転倒のリスクが高くなると考える.

・膝 OA 患者の 転倒は膝崩れや体重支持の不十分によって起こることが 多いため 30),前足部よりもむしろ後足~中足部の評価 である NDT が,膝 OA の特異的な転倒予測スケールと して有用である可能性がある.

・転倒群と非転倒群を比較した結果,多変量解析で NDT のみが転倒関連因子として抽出され,NDT が大き いほど転倒のリスクが高かった.
・NDT は内側縦アーチを簡便に評価する方法として臨床場面にて使用されている.
・これは一般的に扁平足の度合いを示すものであり, 5 mm 以上を呈した場合を扁平足と定義している先行研 究が多い 26).
・NDT が大きくなるということは,歩行時, 下肢荷重位にて必要な足部の内側縦アーチを維持できな いということである.
・扁平足となることで歩行時の足圧中心軌跡が内側偏位し,通常と比較して短い足圧中心軌跡を描くことから,歩行片足立脚時の安定限界が狭小化する.
・さらに内側縦アーチの低下により後脛骨筋や足底筋の伸張,筋力低下が起こり,足把持力が低下するため 28),歩行,立位時の姿勢制御能力やステップ反応能力が低下し,転倒に至るのではないかと考える

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/35/1/35_23/_pdf/-char/ja


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