【1日1事例】ポピュレーションアプローチの類型化:健康無関心層と健康格差の視点から #ポピュレーションアプローチ #健康格差 #健康リスク

参考文献:ポピュレーションアプローチの類型化:健康無関心層と健康格差の視点から
筆者:杉本 九実, 福田 吉治
発行日:2022年
掲載元:日本公衆衛生雑誌 69 巻 (2022) 8 号
検索方法:インターネット
キーワード:ポピュレーションアプローチ, 健康無関心層, 健康格差, 健康関心度, ナッジ, インセンティブ

【抄録】
・公衆衛生,とくに,健康増進において,健康格差の視点から健康無関心層に対するアプローチが課題となっている。そこで,本稿では,健康への関心もしくは脆弱性による介入効果の違いと健康格差を考慮したポピュレーションアプローチの類型化を提示する。
・まず,集団全体を「高関心層」,「中関心層」,「低関心層」に層別化した。
・それぞれのリスク低下の程度により,ポピュレーションアプローチを,(1)格差拡大を伴う(全層のリスク低下,高関心層ほど低下大),(2)格差不変(全層のリスクは一様に低下),(3-1)格差縮小を伴う(全層のリスク低下,低関心層ほど低下大),および(3-2)格差縮小を伴う(低関心層のみリスク低下)の4つに類型化した。
・さらに,それぞれの類型の具体的な取組例の整理を行った。
・今回提示した類型化は,健康格差を縮小させながらポピュレーションアプローチを推進することに寄与するであろう。

メモ:
・ポピュレーションアプローチは集団全体の健康リスクを低下させることが出来る。一方で、リスクが低下しにくい集団があるため、集団全体の平均的なリスクは低下する(健康水準が向上する)が、リスク(健康水準)の分布は広がる。すなわち、健康格差が拡大することになる。
・インセンティブも健康無関心層には効果的な方法として期待されている

・第一の「格差拡大を伴うポピュレーションアプローチ」の具体例は、対象を絞らない各種キャンペーンや健康イベントが挙がる
・第二の「格差不変のポピュレーションアプローチ」の具体例は、集団全体に対する制度(皆保険など)や環境改善が挙がる
・第三の「格差縮小を伴うポピュレーションアプローチ(1)」の具体例としては、ヘルス・アクション・ゾーン(包括的に健康づくり等に取り組む地域)を優先したユニバーサルな禁煙プログラムや保育所の数を全体的に増やし、その多くを不利な状況にある区に集中させるなどがある。
・最後に低関心層のみに働きかける「格差縮小を伴うポピュレーションアプローチ(2)」の具体例としては、地域に根ざした取り組み(貧困地域の再生、幼児教育の地域プログラム)、リスクの高い社会集団を対象とした幼児期の健康と発達に関する家庭訪問プログラム、最低年金額の引き上げ、健康的な生活のための最低所得の取組などがある。

調べた単語:「ポピュレーションアプローチ」
・様々な疾患や問題行動に関して、高いリスクを持った人へ、リスクを減らすように支援していくことをハイリスクアプローチというが、高いリスクを持った人と限定せずに、ある団体などのリスクを全体的に下げるために行なっていく支援をポピュレーションアプローチという。
・例えば、自治体が行なうウォーキング大会などは、対象を地域の人々とし、全体的な生活習慣を改善することで糖尿病のリスクが下がるという観点に基づけば、十分にポピュレーションアプローチとして機能している。
・一般的に参加対象が多岐にわたるため、どのような人でも参加しやすい枠組み作りや、経済的な負担などを考えなければいけないが、近年最も注目されている支援の一つである。

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/69/8/69_22-005/_pdf/-char/ja 


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