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クリエイター気取ってみた

昼休みはたいてい、会社に売りに来てるお弁当屋さんのお弁当を食べる。

事前に印刷したメニュー表を見ながら、16階のにするか、26階のにするかを上司と一緒に悩むのが毎日の小さな楽しみだ。

どのお弁当にするかを決めた後、上司の分も私が買いに行くのだが、どのお弁当屋さんのお弁当にも「お味噌汁」が付いているのが嬉しいところ。

ただ「お味噌汁」と言っても、汁は付いておらず、「具入りのお味噌」がもらえるだけなので、自分で容器を準備してお湯を入れなければならない。

家からコップを持ってきたりする人が多いのだが、私は毎日洗うのがめんどくさくて、ピクニックなどで使うような紙コップを会社に持参している。

ある日の昼休み、紙コップに何の気もなしにお絵描きしていたら、それを見た上司が、「おらちゃんさんめっちゃ絵上手いですね!イラストレーターになれますよ!」とコメントしてくれた。

お世辞半分なのは分かりつつも、つい頬がゆるみ「そ、そそそんなにですかぁぁ?ありがとうございます。照」と返事。

その日から、紙コップお絵かきが私の日課になった。
毎日上司が
「すごい上手!おらちゃんさんセンスありますねえ」
「この会社辞めてイラストレーターになったら?」
「お味噌汁飲んだら、毎日捨てちゃうのもったいないねえ」
なんて言ってくれるもんだから、私はだんだんその気になって、自分のことをクリエイターだと錯覚し始めた。

蜂なのか蝶なのかなんて聞くのは野暮です

毎日紙コップに絵を描いている時間は、自分が公務員だということは忘れている。

正解なんてない。根拠なんてない。
自分だけのキャンパス。無限の可能性。

ただの現実逃避だと言われたって構わない。
私は今日もクリエイトに忙しい。

#やってみた大賞
#昼休みの過ごし方

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