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うどんとそば

「そば食ってねぇなぁ。」
年末に聞いた父のそんな言葉から、タイミングのあった時にいつ行く?と聞いていた。
聞けば聞くほど、「また来週な」と言うからこれは行く気がないだろうな、と判断した。
というのも、父が住んでいる家(私の実家でもあるボロ家)のすぐ目の前に、私もよく食べていたお蕎麦屋さんがあって、そこの「おばさん」(もう80は超えているであろう)の具合が良くないであろう、お店を開かなくなってしまってからの父の一言だった。
父の中ではきっと、いつもの味が身体に滲みすぎて、いくら地元のお蕎麦屋さんだとしても、それは父の中では馴染まないという事なのだろう。
思い出のお蕎麦屋さん、父と母と兄と私の共通(全員で行ったということではないが)のお店は1件あるのだが、父は決して「また行きたい」、とは言わない。


家族ぐるみで付き合いのあったお蕎麦屋さんでは、私はそばもうどんも満遍なく食べていた。
兄は大盛りでざるそばを食べていた。
父は普通のざるそば、母はざるそばからたぬきやきつねうどん、いろいろなものを食べていたように思う。
私はお出汁に染み込んだうどんが好きで決まって、ねぎなんうどんをよく食べた。長ネギに程よく火が通ってクタクタになった感じが好きだった。
(ねぎなんとは、かけうどん、かけそばに、煮たねぎと油揚げをのせたもの。)
母が作る煮込みうどんも、それに似たようなかんじがあった。具だくさんの醤油味にしっかりと味を染み込ませたうどんは私もたまに作って食べることがある。
母の影響でなんでも食べていたということがわかる。
そのおかげか、今まで好き嫌いがあまりなく何でも食べる人として大人になることができた。
その点においては産んで育ててくれた母親に感謝したい。

ちなみに、写真のうどんもまたうどんにコシが少しあって、肉とだしのうま味があいまってなかなか美味しかった。最近できたところなので、また行ってみて食べてみようと思う。


いつものお蕎麦屋さんが事実上無くなってしまって、どうしようと考えた。
市内にある、気にかけていた昔からの蕎麦屋さんがあることを思い出した。

意を決して私はいつものように1人で、行ってみたかった蕎麦屋さんに足を運んだ。

店内に入ると、大きな木造の柱が目に付いた。

机なども木造のつくりで心を和ませる。
テーブル席が大きく2つあり、奥の方にはこたつがあるのを見つけた。私はここぞとばかりにこたつに向かった。目の前にテレビがあった。
しばらくこたつにあたるということがなかったのでくつろぐことを選択した。

私がこたつに足を入れ、上着を脱いだりしていると、そば茶を出してくれた。強くしますね、といってホットカーペットのつまみを動かしてくれた心配りも私は嬉しかった。気づける人は優しい。
そば茶はほんのり甘みがあって、本当に美味しかった。またこれだけでもゆっくりと楽しみたいという気持ちになった。店内にも販売用として置いてあった。
次に、そばの「端切れ」をサービスといってだしてくれた。
お塩をつけて食べてというのでやってみた。
これまた、不思議なことに甘みがあって初めての味だった。
それこそ、お酒と一緒に食べたら美味しいのかな、と想像できた。
店内をジロジロと見ると、お酒が置いてあるのが見えた。
メニューにも、たくさんのお酒のメニューがあった。

私が頼んだのはメニュー表の一番最初にあった、デザートのそばだんごがついているセットだった。
天ぷらがついていて、エビとさつまいもなどの野菜が、もちろん衣がサクッとしていて、そのまま食べても、そばつゆに付けても美味しかった。
私は天ぷらも大好きで、いつも行っていたご近所のお蕎麦屋さんでもたまに天ぷらをつけて食べていた。
肝心のお蕎麦は10割蕎麦で、そばの味が凝縮されていてとっても美味しかった。
実は初めて10割そばを食べた。量をそんなに食べなくてもかなりお腹に溜まった。一緒についていたお惣菜も一つ一つしっかり味付けされていてすごく満足のいくものだった。
もちろん蕎麦湯までしっかりといただいてきた。
そばの時はそば湯を飲むと決めている。

場所的にも、知る人ぞ知る、みたいな所にあって、ここまで一つ一つ丁寧に作っているところがあるとは知らなかった。

うどんもそばも同じように好きな私。

みなさんはどっちが好きですか?

何かいいものを食べます。生きます。