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大噓物語#1 口に入れて幸せなもの

僕は昔からやめられない癖があります。それは何でも口に入れちゃうという癖です。赤ちゃんみたいなことを言いますが、僕の年齢は20を優に超えています。例えば、落ちたお菓子はほとんど拾って食べるし、暇だったらティッシュだって口に突っ込むし、リモコンを探してたら口の中にあったなんてこともありました。そんな色々なものを口にしてきた私が最も口に入れるべきだと思うものについて話させてください。

それは、、麻雀牌のイーソーです。これがとてつもなく気持ちいいんです。麻雀をやってる方だと分かると思うのですが、イーソーとは索子と呼ばれるグループの「1」を担当している牌で鳥の絵柄が書かれています。可愛い絵柄で僕は「トリッピィ」と呼んでいます。麻雀牌の表面は細かく彫られているのですが、この牌は絵柄ということで他の牌よりも複雑に彫られています。気づきましたか、、?このイーソーを口に入れてベロで表面を楽しんだ時ったらこの上ないんです。指で何の牌かを当てる「盲牌」をベロでやっているというわけです。初めて夜更かししてみたあの子供のころと同じ興奮がありました。そのトリッピィとの出会いは偶然なものでした。

先輩に麻雀に誘われて、渋谷で麻雀を打っていると途中から1つトリッピィがなくなっていると気づき、皆で探すことになりました。ま、僕の口の中にトリッピィはいるわけですが。知らぬ間に口の中に入れてしまっていたようです。その時は僕自身気づいていなかったのでみんなで一生懸命探しながら、夜から始めた麻雀は朝を迎えて帰る時間になりました。

先輩1:「イーソー、見つからんかったなぁ」
後輩1:「そうですね、どこに行っちゃったんでしょうね」
僕:”バサバサバサ~”

僕の口の中から1羽の鳥が渋谷の空に消えていきました。

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