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ミスド右折

東京は経堂駅。
最近、知らぬ土地に降りることが多い。
昼下がり、曇天、寒い気温。茶色い地面も悲しそうなそんな気候の公園で人を待っていた。
都内の公園はどこも小さい。ビジネスの大きさを示したいがために小さくしたのかと思うくらい公園が小さい。すぐ隣に車が走り、公園の作られた砂の地面を隣のアスファルトが腹黒い様子でこっちを見ている。
そんな公園でも子供たちは幸せを体から放つ。2つの家族が一緒になって遊んでいた。その様子を僕がぼんやり見ている。遠くから見たら絶対職務質問すべき男に見えただろう。

子供たちがここが東京であるということを意識せずに健気に走り回る。使い方が明示されない遊具を独創性で自分のものにしている。その感じで人生も是非自分のものにして欲しいものだ。

そんな様子を見ているとCMのように目の前を自転車が横切った。
目で追うとその自転車に乗るおっちゃんはハンドルを持つ右手に共にミスタードーナツを持っていた。紙袋じゃない大きい紙BOXのやつだ。それを持ちにくそうに大切そうに持っていた。ご家族へのお土産なんだろうか。

おっちゃんは仕事帰りに先週末遊んでやれなかった子供たちに詫びのミスタードーナツでも持って帰るのだろうか。それか、昨日の夜にでも子供がミスタードーナツのCMを見て食べたそうにしている姿を見て買って行ってあげることにしたのか。それとも、今日から奥様がパートの仕事を始めたのでその労いとしてミスタードーナツを買ったのか。いずれにせよ幸せを生むための行動であるに違いない。
油と砂糖を纏ったスイーツで家庭が幸せを纏うならそれで良い。

いや。ミスドはおっちゃんの自分1人用なのかもしれない。
幸せの総量は変わらないから。それはそれで良い。

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