春のファッション
(初出:2020/4/16 0:43:25)
花びらが朽ちていく。
無機質なアスファルトの上にひらひらとピンク色が舞う。
風に乗って、ふわり、ふわり。
春は好きだ。
長くなりつつある日照時間が、心にうまく作用するのが、温かなカフェインを摂取した時のように、流れていくように分かる。
空の色、花びらの色、葉っぱの色、海の色、誰もが鮮やかに視界を彩る。
何かを綺麗だと思う事はまるでファッションだ。
人々が綺麗だと口々につぶやくものを真似るように、綺麗だと繰り返しつぶやくと、まっとうな人間になった気になれる。
錯覚だとわかっていても。
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