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量産型音楽を否定したくなった時に読んでみてほしい話

この記事は
最近の量産型な音楽「4361」進行や、その流れを否定する考えについて
自分の意見(妄想)を書き散らす記事です。
若干センシティブな内容になっているかもしれません。閲覧の際はご注意くださいませ。
音楽に詳しくない方も内容が理解できるように、説明が冗長になっている箇所もあります。あらかじめご了承ください。
(最初に自分の立場を書いておきますと、流行っていたら一回は聞くけど好きになるかどうかは、流行っているかどうかではないという感じです。)

近年の日本のポップス量産コード進行4361進行ってどんなの?

4361進行とは「Just The Two Of Us」や「丸の内サディスティック」に使用されているコード進行です。JTOU進行とか、丸サ進行とか、陰キャ進行とか言ったりします。
一曲聞いてみてください。

そもそもポップスにおけるコード進行って何?

ごく簡単にコード進行の構造を説明します。ポップスという文脈で作られる音楽は、長調や短調というスケールを中心とした音で作曲されていることが多いです。
誰もが知っているであろうスケールに「ドレミファソラシド」というスケールがあります。これを長調(メジャースケール)と呼びます。
この長調のスケールの、ドやレなどそれぞれの音を一つ飛ばし(3度といいます)て3音、または4音を選択し同時に鳴らした和音を、3度堆積和音と呼びます。
これは通称コードと呼ばれていて、このコードの並び順のことをコード進行と言います。
長調のそれぞれの音で、上記のような方法で3度堆積和音を作ろうとすると
「ド」から始まるコードや、「レ」から始まるコードというように、ド〜シの7音がそれぞれ代表者になっていきます。
この代表者を、ドから順にナンバリングしてローマ数字で表すと非常に簡単にコードに関するコミュニケーションが取れるのです。
代表的な例として「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ進行」や「Ⅳ-Ⅴ-Ⅲ-Ⅵ進行」といった使い方をします。

今回話題とさせていただいている、4361進行とは具体的には
ⅣM7 - Ⅲ7 - Ⅵm - Ⅰ7」やこの進行を変形させたものを指します。
このM7とか7とかは、さらにコードを詳細に記すためのシンボルです。ひとまずあまり気にしなくても、この先の記事を読むことがでるので割愛いたします。

4361進行ってどんな曲があるの?

最近のヒット曲でいうと
夜に駆ける,第六感,うっせぇわ,春を告げる
という風に、あげ始めるとキリがないくらい、たくさんの曲で使用されています。
TwitterやYouTubeで音楽を作っている、まだ世に広く知られていないバンドでもしばしばお見かけします。
現在のトレンドと言っても過言ではないと思います。

なんで4361進行って流行っているの?

下記の内容は、これまでの経験や見聞と主観が入り混じった意見でので間違えている部分もあるかもしれませんが、そこまで的外れではないと思います。

まずテレビやラジオが主流だったとき40代〜50代の人が青春時代に聞いていた音楽の進化版というか、ネオジャンルが採用されがちみたいな流れがあったんですよ。なので曲の提案をする時は、そういう資料を参考にしている方も多かったみたいです。
で、今はネット産業、ネット広告がとてもブイブイ言わせていますね。でユーザーは低年齢化しています。という背景があります。
音楽の市場の多様性が拡大したことによって、メディアごとの年齢層の棲み分けが起きたと考えています。
そして主流になりつつあるネット分野では、上記のような流行のサイクルが若干、低年齢化しているのかなぁという印象を持っています。それで今の30代、40代の人が中学生〜20代前半に聞いてきた音楽のネオ版である音楽が今流行っているような音楽だと思うんです。
話がブレますが最近のアニメやゲームアイドルソングとかのサウンドも、そういう流れを組んでいると思います。

同じコード進行の曲ばかりが流行っていることって悪いことなの?

知るか!そんなの個人の勝手じゃん

の一言で終わりなのですが、音楽を作ったり演奏したりする側の意見としては
流行っている曲のコード進行がこれだけ偏っていると、制作難易度は低いようで高いということを伝えたいと思います。
音楽の3大要素にメロディ、ハーモニー、リズムというものがありますが
定型のコード進行で楽曲を作るということは、ハーモニーを固定されている状況になります。
これらの3大要素のうち、もっとも選択肢が多いものがハーモニーです。
耳に馴染むメロディでかつ人間が歌いやすいメロディには限りがありますし、リズムパターンにも限りがあります
ハーモニーにもパターンや限りはありますが、リズムやメロディと比較して選択肢が多く、また少し変えるだけで楽曲に影響を大きく与えうるという特徴があるのです。

ハーモニーという大きな選択肢を一つ捨ててアレンジしていくことになります。
これはハーモニーを武器としている人にとっては厳しい戦いになります
なので、リズムやバッキングのフレーズが洗練されていくことになるんです。
実際に流行っている曲のリズムやフレーズが入るタイミング、キレるタイミングはクールだと感じられます(私の主観ですが)。
(特にジャズにはうるさいのでMIDIベタうちっぽい感じのピアノフレーズがジャズ風と評されているのにはかなり抵抗を感じますが…)
リズム感覚は、少しずつ海外のビートとミックスされ始めていように感じます。
日本でトラップビート使われる楽曲が流行するとは10年前には予想できなかったのではないでしょうか?
なので、コード進行が一辺倒なことが、多様性を狭めてしまうということは一概には言えないのかなぁと思います。

近年の4361量産現象に否定的な意見を持ったときに主観を俯瞰するマインドセット

とはいえ、嫌なものは嫌って気持ちは変わらないとおもうので
そういう方も楽しめる4361進行曲の聞き方を紹介したいと思います。

① 好きじゃない音楽を好きじゃないと表現するやり方を考えてみようぜ

近年の4361進行が量産されて、ヒットしている状況について否定的な意見を持っている人。その考え方はあって当然だと思うんです。今、流行っている音楽がいろんな理由から好きになれない方はいらっしゃると思います。
しかし昨今、わざわざネガティブな意見を言う必要はない的な考え方の変化球みたいなので「文句言ってるやつ寒い」みたいな価値観があるように感じませんか。
多分その考え方で音楽を好きでいたら精神を病んでしまうと思うのです。
好きじゃないと思ったら、好きじゃないと言うことを表現していいと思います。
だからと言って、人の楽曲に対するコメントに、また4361進行かよとかコメントするのはなんの意味もないと思います。

好きな曲を書く人を応援しましょう。すきですってコメントしましょう!
高評価、再生、拡散何回でもやりましょう!音源やグッズを書いましょう!
あなたが好きな音楽が流行っていない理由は、あなたが好きな音楽にお金が流れていないからだと思います。
お金がないと広告もできません。作曲者やアーティストが挑戦者になっている状況があるはずです。
それを応援することで一緒に、挑戦者になったかのような気分を味わえます!
実は嫌いな音楽を嫌いだぁという必要はなくて、好きなものを応援するだけでいいのです。

② 今は過渡期だと思う

流行りの音楽が少しずつ姿を変えていくというのはよくあることです!
過去にも、流行と流行に対するアンチテーゼが音楽を進化させてきた例はたくさんあります。私が知っている一つを紹介します。
モダンジャズのシーンで替え歌が大流行してたいたことがあります。
モダンジャズが流行るちょっと前の時代に流行ったスクリーンミュージック、ミュージカル楽曲のコード進行をまるパクリして、新感覚のメロディに乗せてお届けする曲が流行ったんです。
当時は真新しかったこのサウンドも、次第に飽きられていきます。
そうして作られたのが、まるパクリしていたコード進行を、もっとガッチャガチャに複雑な進行に変えてメロディをつけるというものでした。
しかし、これにも限界があって次第にオリジナルのコード進行や、そもそもコードという考え方がないジャンルが生まれて流行はバトンタッチされていきます。

今、まさに流行っている4361進行のサウンド感も同じ道をたどっているように感じるんです。
シンプルな進行とメロディの繰り返しの中、バウンスビートで、歌詞の内容はナンセンス系、否定的なもの、切なげなものといった従来の雰囲気を踏襲しつつも
上物のメロディが複雑に動いていたり、歌のメロディを複雑にしたりして
ちょっとの工夫を見せつける選手権が開催されているように感じるんですよね。

この今の状況、作り手は確実にこのままだと飽きられるかもしれないということを意識しているように感じます。
今はジャンルが分裂していく過渡期にあると思います。
4361進行で名前をあげたアーティストや作り手の方は確実に次の弾を用意していて、自分のカラー、個性を出したいタイミングを伺っているところだと思います。5年後には違う進行に白羽の矢が立っているのではないでしょうか。
なので、わざわざ目クジラを立てて否定する間も無く廃れていくかもしれません。

③ そもそも“いい音楽”など存在しない

そもそも音楽に良い音楽とか悪い音楽という絶対的な価値観は存在していません
私自身も、YouTubeの講座やインスタント音楽講座とかで、バズりたくてしょうがないので、カッコよく弾くとかオシャレに弾くとかしょっちゅう言ってますけど、カッコいい音楽を作る方法って変な表現ですよね。音楽の本質的ではない感じがありますよね。
我ながら人気取りのためにそう言う表現を使っていて恥ずかしいです。

音楽をいい/悪いと評価するなら、音波という物理現象と、音感知覚認識とか脳内の生理現象を根拠とする評価軸の作成をする必要がありますよね。
そして、そういう経緯でいいとされる音楽自分にとって好きな音楽であるかって全く別の話だと思うんですよね。

要するに考えるな感じろ!ってこと伝えたかったんです。

4361進行の未来を妄想してみる

今、4361進行に合うメロディが次々に出ていっています。
たくさんの人が似たような曲を作って世の中に溢れます。
いつしか4361進行に合う全てのメロディが出尽くされ
もうこのハーモニーでは曲が作れませんねという問題に発展します。
そして人々は「あれ?メロディに対する権利の比重大きくね?」と気がつきます。
すると、もっとハーモニーやアレンジを重視しようという流れができます。
世の中に無数のコード進行の楽曲が溢れます。
めでたしめでたし

最後にまとめ

散々適当なことを書き散らしましたが言いたかったことは
自分の音楽をやろう!ってことです。
自分が好きな曲を聞いて、書いて、歌って、弾いて、買って、応援していけば
絶対いい世界になるから、自分が好きな音楽をやっていこうぜ!って話でした。


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