年収や月収、売上げなどの嘘をついてnote、商材を売ったり有料サロン開いたりしたら詐欺罪になる?
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「ネットで売られているnoteや有料サロンって、詐欺にならないのかな?」
そんな疑問を持たれたこと、ありませんか?
ツイッターをみていると、ライター、アフィリエイター、ブロガーなどの「フリーランス」の人々が「月収100万」「月収7ケタ」「月収8ケタ達成!「年収2000万円、億達成!」などと「さも自分が稼いでいるかのように」主張して、「このようになりたいあなたはnoteを買いましょう」「サロンに入りましょう」などと誘導しているケースが多々あります。
このように、収入があることを前提にしてノウハウを教えるnote、サロンやコンサルの商売をするのは詐欺にならないのでしょうか?
もしもあなたが今、個人のフリーランスがこういった事例で逮捕されていないので「大丈夫」と思い、嘘をついてnoteやサロンをしようとしている、もしくは「もうやっている」なら要注意です。
一定の場合には詐欺罪になると考えられます。
「利用者のためになっている」「有益だし購入者が納得しているから詐欺にはならないだろう」と言い訳する人も多いのですが、有益かどうか、購入者が納得しているかどうかは詐欺の成否に基本的に無関係です。
以下では年収や月収などについて虚偽を述べてnoteを売ったり有料サロンで人を集めたりすることの法的問題点についての私見をご紹介します。
1.どんなときに詐欺罪になるのか
刑法上の詐欺罪は、相手を騙し、騙されて勘違いした相手方が「財産」の処分を行ったときに成立します。
法律的に、相手を騙す行為を「欺罔行為」、勘違いすることを「錯誤」、お金などの財産を処分することを「処分行為」と言います。
この詐欺の要件をnoteやサロンの商売にあてはめたらどうなるのでしょうか?
Noteや有料サロンを開くとき、「私は月収100万円以上です」「これまで億の金を稼ぎました」「年収2000万円以上をキープしています」「時給10万円です」などと煽っている人がたくさんいます。
これが「虚偽」であれば、収入をうたい文句として購入者を誘導するのは「騙す」行為、すなわち「欺罔行為」に該当します。
そして相手は「この人には本当に収入があるんだ。だからそのノウハウを知ることができるに違いない」と考えてnoteを買ったりサロンに入ったりして課金します。しかし実際にはそれほどの収入がないのですから、購入者は「錯誤」に陥っています。
そして、騙された人は、その錯誤にもとづいてnoteを買ったりサロン代を払ったりするので、「処分行為」があると言えます。
このように、虚偽の年収や月収を根拠としてnoteや有料サロン、有料コンサルなどの商売をするのは立派な詐欺罪になると考えられます。今後バレたら逮捕される可能性も十分にあります。今周囲で誰も捕まっていないから大丈夫、という保証は何もありません。かつてネズミ講などが出てきた当初はなかなか摘発されなかったものです。犯罪行為がはびこってくると、「遅れて」摘発や逮捕が始まるものです。今大丈夫だからずっと大丈夫という補償はどこにもありません。将来的に一斉摘発される可能性だってあります。
詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役刑です。
2.景品表示法にも違反する可能性
本当は自分にそれほどの収入がないのに、あたかも高収入があるかのように見せかけてnoteやサロンなどのビジネスをすると、「景品表示法」にも違反する可能性があります。
以下では「景品表示法では何が禁止されているのか」
「なぜ景品表示法に違反するのか」
「年収月収詐欺に遭わないためにどうしたら良いか」
「詐欺の見分け方」
「なぜ今逮捕事例があまりないのか、今後、詐欺師が逮捕される可能性はどのくらいあるのか」
など、重要な事項をそれぞれ説明していきます。
景品表示法は、実際よりも商品を優良にみせかける「優良誤認表示」を禁止しています。
年収や月収について嘘をついて商品を売るとき、その商品は「年収〇〇円の人が書いたnote」として売られています。ところが実際には年収はそれほどないのですから、実際には価値の低いものとなります。
「稼ぐノウハウ」を教えるnoteにおいて、年収2000万円の人が書いたものと年収100万円の人が書いたものでは価値が違うのも当然ですよね?
そこで、年収詐欺は景品表示法違反にもなる可能性があります。
優良誤認表示の景品表示法違反をしていると、「課徴金」といって金銭支払いの制裁を加えられる可能性がありますし、是正命令を無視していると刑事罰も適用されます。
罰則の内容は「2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑」です。
「自分は個人的に商売をしているから景品表示法違反は関係ない」と思うかも知れませんが、個人的であってもおおっぴらに不特定多数相手に商売をしていたら、事業者と認定される可能性は十分にあります。
3.「有益な内容なら良い」という弁解は通用しない
年収などで嘘をついてnoteや有料サロンをやっている人は、よく「収入に多少の誇張はあるけれど、内容が充実しているし有益だから問題ない、むしろ推奨すべき」「利用者も納得している」などと言って自分を正当化しているケースが多々あります。
しかしこのような言い訳は当然認められません。オレオレ詐欺の人たちが自分たちを正当化しているのと何ら変わりありません。
内容が有益であろうとも、相手を騙して商品やサービスを買わせている以上、立派な詐欺罪が成立します。
相手を騙して価値のない「つぼ」を売りつけたとき、相手が喜んで納得していたら詐欺にならないと強弁しているのと同じです。「有益だから許される」という発想は今すぐ捨てるべきです。
4.利用者の立場から、どうやって詐欺を見分けるのか
Noteや有料サロンがすべて悪いと言っているのではありません。年収などで煽っているのが悪いのです。では利用者の立場から、どうやって詐欺を見分ければ良いのでしょうか?
推奨するのは、相手が「年収」や「月収」などの「確認できない内容」をうたい文句にしている場合、一切信用しない対処法です。
「年収」や「月収」の完全な証明が行われていないなら信用すべきではなく、収入の一部の開示では不十分です。たとえば「アフィリエイトの報酬画面のスクショ」などいくらでも作り出せますし、「たまたま良いときのもの」が貼り付けられているだけかもしれません。ほとんどが嘘と考えられるでしょう。
ライターの場合にも、「ランサーズなどの実績画面」を見せつけられたりすると本当かと思うかも知れませんが、ランサーズなど何年もの蓄積の金額に過ぎず、何の根拠にもなりません。たまたま良い月のものかもしれません。
ネット銀行の履歴なども怪しいものです。
税務署の印鑑のある確定申告書か紙の銀行通帳のコピー(名義も明らかになっているもの)でもない限り、信用すべきではありません。となると実際出す人はいないでしょうから、結局月収年収を言って商品を売っている人など、ほとんど嘘つきである可能性が高くなっています。
ちょっと考えてほしいのですが、本当に良い商品なら「月収100万円、月収8ケタ」などという大げさなうたい文句をつけなくても売れますよね?こんなことを言うのは、その商品に価値がなく「稼いでいる自分(←実は嘘)」によって価値をつけるしかないからです。
あなたは、何の価値もない詐欺師にどんどんお金を払っているのですよ。
つまり本当に良いものなら「年収」や「月収」などに頼らずとも売れるものです。そんな宣伝文句を使わざるを得ない時点で怪しいと考えるべきでしょう。
私は、収入をうたい文句にしたnoteやサロンなどは、一切信用すべきではないと考えています。
なお、私が見抜いてきたネットの収入に関する嘘つきの具体例や見抜いた方法を集めた記事はこちらです。
この記事を公開したとたんに私をブロックしたわかりやすい有名人もいらっしゃいました(笑)
よかったら参考にお読みくださいね!
私が見つけたネットの嘘つき(有名人含む)の具体的なケースと嘘を見抜いた方法|ぴりか @pirica8 #note
5.年収月収詐欺が逮捕されない理由
なぜ年収や月収で嘘をついて金集めしている個人は捕まらないのでしょうか?
それにはいくつか理由があります。
5-1.被害者が被害申告しない
1つは、被害者が被害申告しないことです。年収や月収を盛られたnoteやサロンに課金しても、そもそも「騙された」と思っていない方が多数です。「良いものだ」と思い込んでいる「信者」もいますし、「つまらないものを買った」と思っても、「仕方ない」と思って諦めているのではないでしょうか?
また単価が低いことから、いちいち警察沙汰になどしようとしない方も多いです。
こうして被害者が誰も公的機関に相談したり警察に訴えたりしないので、被害実態が明らかにならず、逮捕されることがないのです。
5-2.捜査の手が及んでいない
実際、ネット上で行われていることに対してはまだまだ捜査の手が及んでいないことが多いです。特に個人が細かい詐欺行為をしていることに対してまで、サイバーパトロールなどが及んでいないのでしょう。
6.積極的に被害申告を
このように詐欺師が跋扈する状況は好ましくありません。状況を変えるためには、被害者が積極的に声をあげていく必要があります。
年収や月収を盛られてつまらないものを買わされたり、そういった商売をいている怪しいアカウントがあったら、積極的に然るべき機関に相談しましょう。
たとえば以下のような機関を利用してみて下さい。
6-1.消費者センター
全国の消費者センターでは詐欺被害についての相談を受け付けています。
6-2.弁護士会
全国の都道府県の弁護士会でも、消費者相談を受け付けています。各地の弁護士会のHPをたどってみて下さい。
6-3.法テラス
法テラスでは、一定以下の収入の方の場合、弁護士による無料相談を受け付けています。
6-4.弁護士事務所
全国の弁護士事務所でも無料相談を受け付けているところがありますし、有料ならどこでも相談に乗ってもらえます。
詐欺に遭ったときや、怪しいアカウントを発見したときには、警察に被害届を出すと良いです。地域の管轄の警察署に相談に行ってみて下さい。
警察に行ってどのように相談して良いか、説明の方法などわからない場合には、先に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に無料相談する方法について
なお、弁護士に無料相談をする方法やなるべく費用を抑える方法などについては、次の書籍でさまざまな方法を詳しく説明しているので、もし関心があればお読みください。
7.今後、「年収月収詐欺」が逮捕される可能性
現時点において、個人が年収や月収について嘘をついてnoteやサロンなどの商売をしても逮捕されたという話は聞きません。
逮捕されないから「グレーでOKなのでは?」と思っている方もいます。
しかしこれは、現在捜査の手が及んでいないだけで、将来ネット詐欺の実態が明らかになったときに一斉摘発される可能性もあります。
また、詐欺罪の公訴時効は7年ですので、7年間のうちに世間でこういった悪質な商法が問題となったら、過去の販売者も摘発対象となる可能性があるのです。
後ろ暗い商売をしているなら、今すぐ辞めるべきと言えるでしょう。
今後、noteやサロンに課金するときの参考にしてみてください。