世界は全然ダメじゃない

数年前に「マツコ会議」に出ていた男の子がものすごく素敵で、忘れられずにいた。
彼は確か当時14歳で、お姉ちゃんとお買い物中で、「学校に友達ひとりもいなーーい!」って明るく笑っていた。
確か「だから、妥協しあって(姉と)一緒にいる」、とも言っていた。
その表情が、ちっとも14歳ではなかった。
人生の酸いも甘いも味わい尽くした新宿二丁目のどこまでも明るいゲイバーのママのようだった。
無邪気な物言いに不似合いな大人びた顔をしていた。

こいつぁ、えらいことになる!!!と思った。

というか、なってくれなきゃ困る。
この子が拒絶される世界なんてダメだ。てんでダメだ。彼が大成しない世の中なんて私は唾吐いて捨ててやる。
彼の表情といで立ちから、彼がうんと不当に辛い目にあってきたことは容易に想像出来た。
そして、彼がたった14歳でそれを乗り越えて、自分を諦めずに許してきたことも。自分という、大切にすべきものを全く見失わずに強い信念で生きてきた、ということも。

マツコ・デラックスもきっと同様のことを感じたのだろう。
「あなた、頑張んなさいよ」的なエールを送っていた。
私は、マツコの発言に激しく同意し、隣にいた誰かと(多分妹)彼の素敵さを讃え合い、きっと大成する、と感激しあったのだった。

あれから、数年が経ち、ふと、彼のことを思い出したのだ。
あの彼はどうなってるだろう。
大成してようがいまいが、彼に人生の御褒美みたいなハッピーがやってきてたらいいなぁ、と深夜に歯磨きをしながら考えていた。

名前も知らない彼にもう一度会いたくて、小さな希望をGoogle先生にたくしてみる。
拙い検索能力を駆使してあらゆる方向からアタックすると、出た!!
出たんデス。

彼はあのオンエアをきっかけに芸能事務所からオファーがあり、今はモデル業やらタレント業をこなしているらしい。
TwitterもInstagramもフォロワーがどえらい事になっていた。

ああ、よかった。世界って全然ダメじゃない。
むしろ、サイコーじゃないか。
12万人のフォロワーが彼にたくさんイイネ! を押して、大好き! とコメントしている。

あの時、画面に向かって、これからきっと幸せになれるよ!って14歳の彼に言いたかった私の気持ちはとっくに世界が発信していた。

世界って全然ダメじゃない。

#エッセイ #よしあき #Instagram

また読みにきてくれたらそれでもう。