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福岡まで逃避行

7月の終わりごろ、福岡に行った。
思い立ったのはとある木曜日。
福岡の地に降り立ったのはその翌週の水曜日だった。

思い立って、すぐにDMして、お互いの予定を繰り合わせて、最短すぎる速さで会えた。

だれに、ぽこねんさんだ。

*

7月、私の小さな身の上でいろんなことが起こりすぎて、なんだか消化しきれずにいた。
子育てのこと、少しずつ動き始めた始めたフリーランスのこと、noteのこと、家族のこと、破裂しそうな胸の内を誰かに聞いてほしくてやきもきしていた。
ぽこねんさんとはときどきDMでやりとりをしていて、このときも、なにかのやりとりをしていたその延長で、「もうnote酒場まで待てない。福岡飛びたい」とくそ重たい彼女みたいな発言をしてしまっていた。

すると「来ちゃえ来ちゃえ(笑)」と素敵なお返事。

やりとりするうちに、「どっか泊りにいかない?」となったり、ぽこねんさんが「三重に行こうか?!」となったり紆余曲折があったのだけど、結局当初のひらめきどおり、私が福岡へ飛ぶことで着地した。

朝4時半に起きて、セントレア空港まで車でひとっ走り。
何年振りかに飛行機に乗ることに緊張しかなかった。
手荷物でへまをしないだろうか。発券に失敗しないだろうか。搭乗口をまちがえないだろうか。おろおろしながらどうにか飛行機に乗って、信じられないことにちゃんと飛行機は離陸した。

*

福岡空港に着いたら、ちゃんとぽこねんさんに会えて、感激した。
なぁんだ、福岡って近いじゃん。全然近いじゃん。
会えるはずなんてないと思ったけど、ちゃんと会えた。

最後に会ったのは去年のnote酒場。でもその後も何度かwebチャットでお話しする機会もあったから、久しぶりという感じも、そんなになかった。
なんと言ってもnote友達って、初めましてでも初めまして感がないから、なんなら、先週も会ったんだっけくらいのハードルの低さだ。

長女に頼まれていたお土産の金平糖を調達して、お茶をした。
最近のこととか、幼稚園のこととか、noteのこととかあれとかそれとか。
カフェの窓から公園のような広場が見えていて、小さな子供が歩いていた。
町の中にこんな整備された公園があるなんて、福岡って都会だな、と思った。
ぽこねんさんが、せっかく遠くから来てくれたんだから、と抹茶のパフェみたいなドリンクを奢ってくれた。

その後、ぽこねんさんのご主人がやっているイベントを見に行って、テクノロジーという単語を脳天から浴びる体験をした。
ぽこねんさんのご主人は、あれ、なんて言うんだろう、テ、テクノロジー的なお仕事をなさっているのだ。(伝われ)

私が、テクノロジーはやさしい未来をつくってるんだね、というようなことを言うと、ぽこねんさんが、サエさんはやさしいね、というようなことを返してくれた。
私はちっともやさしくなんてないけれど、ぽこねんさんがそう言ってくれたことはとっても嬉しかった。

*

場所を変えて、ぽこねんさんがRettyで記事を書いたお豆腐屋さんへ。
ぜひ食べてみたかった、豆藤定食を頂いた。
豆汁のおいしさと言ったらもう。揚げたての厚揚げのおいしさったらもう。
おいしくておいしくて、会話をするのも忘れるほど、おいしくいただいた。また行きたい。
ランチにはぽこねんさんのご主人も合流してくださった。
厚かましさを百も五百も承知で言うのだけれど、なんか、ほんとおこがましいけど、ああ、知ってる人だ、と思った。
雰囲気も話し方も、想像通りの方で、ぽこねんさんの夫さんだもんね、そうだそうだ、とひとりきっちり正解した答え合わせみたいな気分を味わった。  

すこし蒸し暑い店内で、ハフハフしながら豆汁をすすって、汗が汗を呼ぶ感じがとても心地よかった。扇風機のぬるい風が汗を冷やして気持ちよかった。

お昼を食べると途端にお別れの時間が近づいてしまったようでなんだか少し心もとなくなった。
1日はとても短い。

なんと言っても今回は日帰り旅だ。
復路の飛行機の時刻を、夫さんに伝えて、最適プランを練ってもらう。
私もぽこねんさんも、時間の設計が苦手らしく、そして、夫さんはなぜかそのあたり(ぽこねんさんはともかく私の分まで)をきちんと合点しておられて、今から、少しお茶をして、ひつじがというバーに行って、夕飯は空港のフードコートで食べるのがよいのでは、と提案してくださった。
飛行機の時間を逆算しなくてよい、安全第一プランだった。

ひつじがは、福岡のnoterさんが経営しているバーで、ぽこねんご夫婦が親しくしているお店とのこと。

ブックバーというだけあって、本がたくさん置いてあって心地よい空間。
父が本好きだったせいで、実家は本だらけだった。枕元にも、廊下にも、寝室にも、本、本、本だった。
そのせいか、本がたくさんある場所はとても落ち着く。手を伸ばせばそこに、世界がある心強さ。

バーではタイミングよく、絵画の個展をしていて、今日の記念にと、子どもたちに作家さんの絵でつくられたバッジを買った。子どもたち3人それぞれによく似合うものが手に入って嬉しかった。ぽこねんさんも娘さんに購入していた。

バーでは主に、エッセイを書く、ということについてあれこれ話した。

*

バーを後にして、空港へ。
福岡空港のおしゃれなフードコートでラーメンを食べた。
最後に話し忘れたことがないか頭の中をぐるぐる探して、もうおなかいっぱいなのに、食べたりない人みたいに、思い付きでなんだかいろんなことを話した。

フードコートでみんなが食べていた木のボウルに入った食べ物はなんだったんだろう。次回はぜったいあれを食べる。
中身がなにか分からずじまいだけれど、みんなこぞって食べていたから、きっとよほどおいしいんだと思う。
忘れないようにここにメモ。

もう帰らなくちゃとお別れの前に、お土産を追加で調達した。
姉妹に頼まれていためんべいと、子どもたちにお菓子を少し。
レジ前で、急に思い立って銘菓チロリアンを追加購入したら、お会計後にぽこねんさんが褒めてくれた。
「さすがサエさんって思った!」と笑ってくれて、とっても嬉しかった。
もうチロリアンにはいい思い出しかない。

渡しそびれていた、味噌まんじゅう(センス)をようやく渡して、いつまでもいつまでも手を振って、後ろ髪を引かれながらお別れした。

飛行機はやっぱり、信じられないことにちゃんと飛んだ。

セントレア空港から、車で1時間半のドライブを経て、帰宅。
実家に帰るより全然早い。

母歴7年、note酒場に次ぐ大冒険だった。
飛行機にひとりで乗るなんて、もっとずっと先のことだと思っていた。
こんな信じられない行動力を起こさせてしまうnoteって、ほんと罪だなと思ったり、ありがたいな、と思ったりした。

あの日がとても暑い日で、太陽がかんかんに照っていて、とてもよかった。
いろんな記憶があの焼けつくような暑さと一緒にはっきりと染みついている。あの日の些末ないろいろまで、きっと何年も忘れないでいられそう。

ぽこねんさん、あの日はたくさん遊んでくれてありがとう。
また、遊ぼうね。

また読みにきてくれたらそれでもう。