イスマイリーヤ旅行記 8 船乗りの一生
2024年6月7日 22:45
20時の日没後
かつて船乗りとして世界を回り
今は農夫として郊外で暮らす
ザキと散歩に出た
「人生でやりたいことは全てやった
若い頃は色んなところに
行くのが楽しかった」
エジプトからヨルダン、
サウジアラビア、インド、
インドネシアから横浜
横浜では塩を大量に積んで
オーストラリアに売りに行った
大航海時代の船乗りのような
20世紀の話
色んな国を見ることは
色んな価値や生き方を学ぶことだと言う
「自分が何を求めているか
それが大事なんだと
長い航海で学んだよ」
かつては豪邸にも住んだ
今は乾いた農園の隅っこで
箱のような家に暮らしている
「今はこの静かな暮らしが気に入っている
会いたい人だけに会って
誰にも文句を言われず
誰にも文句を言わずに
妻と2人で暮らしている」
ベッドが二つ並ぶ寝室に
不似合いな大きなテレビと汚い床
たくさんの野良犬の鳴き声が響く
「40歳でこの生活をしたら
きっと惨めな気持ちになっただろうね」
60歳を過ぎ、糖尿病を患っている
エジプトの平均寿命は
男性が68歳、女性は73歳
日本より10年短い
「人生は楽しい?」と尋ねると
ウィンクしながらニヤッと笑う
「若い君には想像もできないぐらい楽しいよ」
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