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電気自動車(EV)の動向と内装設計の変化メモ

電気自動車に対する自動車メーカー各社の動向をピックアップし、自動車内装設計に対するインパクトを公開情報から調べてみました。

電気自動車が普及すると、エンジンが単純に電気モーターになるだけではありません。この記事ではその可能性を探ります。

市場全般

電気自動車の市場規模は2027年まで年間平均30%程度の成長と想定されています。年間平均が30%ですのでものすごい成長率です。

世界の電気自動車 (EV) の市場規模は、金額ベースでは予測期間中 (2020年~2027年) に33.6%のCAGRで成長し、2027年までに2兆4954億米ドルに達すると予測されています。また数量ベースでは、予測期間中に21.7%のCAGRで成長し、2027年までに2億3390万台に達すると予想されています。市場の主な促進要因として、各国政府の支援策や規制、大手自動車メーカーの投資拡大、環境問題の拡大、バッテリー価格の低下、さらには新興国での普及浸透や自動運転車の導入などが挙げられます。車種別では小型商用車 (LCV) が、推進方式別では燃料電池車 (FCEV) が、出力別では100kW~250kWのセグメントが、今後大きく成長する見通しです。地域別に見ると、欧州諸国が最大の市場で、今後の大幅な市場成長も見込まれています。( Meticulous Market Research Pvt. Ltd.)

https://www.ipros.jp/product/detail/2000636424/

電気自動車の市場規模は、2021年の409万3000台からCAGR26.8%で成長し、2030年には3475万6000台に達すると予測されています。低排出ガスの通勤・通学に対する需要の高まりや、政府が補助金や税還付を通じて長距離走行が可能なゼロエミッション車を支援していることなどの要因により、メーカーは各国での電気自動車へのシフトを余儀なくされています。これにより、市場では電気自動車の需要が拡大しています。各国政府は、それぞれの能力に応じた排出削減目標を設定しています。(グローバルインフォメーション)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000071640.html

2030年にはxEVが世界自動車新車販売台数の過半数を占めると予測した。(矢野経済研究所)

https://response.jp/article/2021/09/28/349845.html

各社動向

トヨタ自動車

バッテリーEV(BEV)はレクサスなど高級車が中心のようです。

2030年までに30車種のバッテリーEVを展開し、グローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインでバッテリーEVをそろえるという。2030年のバッテリーEVのグローバル販売台数は、年間350万台をめざす。

https://response.jp/article/2021/12/19/352420.html

350万台のうち100万台がレクサスだ。レクサスは2030年までにすべてのカテゴリーでバッテリーEVを設定し、欧州、北米、中国ではバッテリーEV100%とする。さらに、2035年にはグローバルでバッテリーEV100%をめざす。

同上

ホンダ

ホンダは軽自動車にもEVを投入するようです。

●ホンダが表明している今後の計画
・2050年に完全カーボンニュートラルを目指す
・水素燃料の積極的活用
・先進国全体でのEV、FCVの販売比率2030年に40%、2035年に80%そしてグローバルで2040年に100%とする
・国内市場では、2030年にハイブリッドを含めて完全電動化
・2024年に軽EV国内投入
・北米で2024年にGMとの共同開発プラットフォームによる大型EVを投入
・2022年代後半からホンダ独自開発EVプラットフォーム「e:アーキテクチャ」モデルを投入

https://bestcarweb.jp/feature/331029


日産自動車

半分の自動車を電動車にすると発表しています。

今後5年間で約2兆円を投資し、23種類の電動車を投入する。そのうち15車がEVだ。そして、日産とインフィニティの両ブランドで、世界市場において電動車の比率を50%以上にする目標を掲げた。その実現のため26年までにEVとe-POWERを合わせて20車種を販売する。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2201/06/news031_3.html

三菱自動車

加藤社長によると、利益を出せる2種類とは「米テスラなど新機能があり高級感のある車と、搭載する電池の量が少なくて済む小型車だ」という。EVは車載電池が高く「まだもうからない」とも。さらに紙面では「EVはハイブリッド車(HV)より構造が単純だ。車体の小さい軽は電動化に適している」とも強調している。

https://response.jp/article/2022/01/24/353478.html

スズキ

鈴木社長は国内市場でも「軽自動車の顧客に提案する上で100万円台に持っていくのは重要だ。25年までになんとか投入したい」と述べた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC245AG0U1A121C2000000/

ダイハツ

2025年までに軽自動車の電気自動車(EV)を国や自治体の補助金を活用して、実質負担額100万円台で販売すると明らかにした。奥平総一郎社長は同日の記者会見で「トヨタと連携しバッテリーなどの調達コストを抑える」と説明した。30年までに全ての国内新車販売をハイブリッド車(HV)を含む電動車にする目標も示した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF203B60Q1A221C2000000/

スバル

いすゞ自動車

電気自動車(EV)の小型トラックを2022年度に量産車の販売を開始するとともに、本田技術研究所と共同研究している燃料電池大型トラックを2022年度にモニターを開始する予定。

https://response.jp/article/2021/02/09/342976.html

中国EV三銃士

上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng)、理想汽車(Li Auto)

上海に拠点を置く上海蔚来汽車(NIO)は、自動車業界に販売サービスを提供して富を得た億万長者のウイリアム・リー(William Li)によって2014年に設立された。上海蔚来汽車は、現在3つのモデルを販売しており、2022年初頭には4つ目のモデルの発売を予定している。同社はすでに中国で約14万台の納入実績があり、ヨーロッパにも進出している。

2014年に創業した小鵬汽車は、現在、3つのモデルを販売している。同社は高度な自動運転技術を有していて、将来のモデルについて壮大な計画を立てている。

理想汽車(Li Auto)は2015年に立ち上げられ、現在、理想ONE(Li One)という1台だけを生産している。それでも中国のホットなEV自動車市場の中で存在感を発揮しているプレーヤーだ。理想汽車は2020年初頭に納車を開始して以来、10万台近くを販売している。

ソニー

ソニーは2025年にソニー・モビリティを設立し、2年前に発表した同社のEV「Vision-S」の最新モデルである「Vision-S 01」とSUVモデルの「Vision-S 02」の市販を目指すと発表した。

https://www.sbbit.jp/article/cont1/78352

電気自動車になることによる内装設計の変化

差別化のポイントとしての内装

電気自動車になると居住性の違いが各社ブランドの違いになりそうです。

内装の機能面を利用してモデル間あるいは他社ブランドとの差別化を図るメーカーが増えています。クラスタ・ゲージやコックピットシステムメーカーの社長の発言においてもこのような変化が力強く語られています。「今や激戦区は、コックピットへと移行しています。もはやボンネットの下ではなく、コックピット内にあるのです」 。

https://www.idtechex.com/ja/research-article/33258-21205-36554-20869-35013-12398-24046-21029-21270-12364-26032-12383-12394-28608-25126-21306-12395/23945

車内空間が広がる

パワートレイン(エンジンで発生した回転エネルギーを効率よく駆動輪に伝えるための装置類)が簡素化されるため、車内スペースが広くなると考えられています。これも居住性に影響する要因となっているようです。

Pure EVならではの、コンパクトで自由度の高いパワートレインレイアウトがもたらすロングホイールベース、そして超薄型バッテリーパックの開発により、ワンクラス上の広々とした車室内空間を実現。(ソニー)

https://www.sony.com/ja/SonyInfo/vision-s/platform.html

車内インテリアに照明を組み込む

居住スペースの差別化や安全性向上のため、車内照明も変化するとみられます。

「照明効果を車内インテリアに統合させることは重要なマイルストーンです。光源が表面に組み込まれ、パーソナライズされた色の変化を可能にします。疲労や危険な交通状況が発生した場合、表面の色を変化させることで、ドライバーの意識レベル増につながる可能性があります」(欧州コンチネンタル)

https://car.motor-fan.jp/tech/10000841

サステナブルな素材で埋め尽くす

電気自動車のサステナブルな目的から、車内の素材もサステナブルにしていこうという動きもあるようです。

メルセデスは車内をサステナブルな素材で埋め尽くし、車全体の二酸化炭素排出量を低減させるとしている ドアの引き手にはシルクのようなビーガン素材が使われているという その他にも、キノコやサボテンから作られたビーガン・レザーなど植物由来素材を採用しているという 車の一部はペットボトルなどのリサイクル素材から作られている ヴィジョンEQXXでは、メルセデスの車載スクリーンの未来も垣間見ることができる。このコンセプトカーにはダッシュボード上に47.5インチの大型ディスプレイが設置されている(メルセデス)

https://news.yahoo.co.jp/articles/ca83dbec53b4bcc55f012184d7c4553e9e018fd3

革の代用素材

さらに、動物の革から再生素材やリサイクル織物など、こちらもサステナブルな動きが想定されているようです。

現代の消費者には、ほかにも関心事がある。動物愛護主義者のためには「革の代用素材」、そして持続可能性を重視する人のためには、竹やバナナの葉のように急成長して再生も可能な素材や、リサイクルされた混紡織物──といった具合だ。

https://wired.jp/2017/09/06/tomorrows-cars-wont-just-drive-theyll-feel-different/

光や香り

さらに、車内の香りという要素も車の体験に重視されてくるようです。

内装は、儚くも感覚に深く訴える素材が注目されるようになるかもしれない。アジアや中東では、光や香りがクルマの体験における主要な要素となっており、長時間の退屈な通勤時に気分を調整する役目も果たしている。こうした要素は世界的にも魅力として捉えられるようになってきた。

https://wired.jp/2017/09/06/tomorrows-cars-wont-just-drive-theyll-feel-different/


町工場への影響

これらの変化に対して、内装部品や関連装置を製造する中小製造企業にも影響があると思われます。

たとえば、自動車シートの木型を製造する会社なども、よりデザイン性の高い自動車シートや革を使わないシートなど、対応があるかもしれません。

今後の自動車業界の大きな変化に対応していく対応力が求められてきそうです。

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