事業計画の作り方(ベンチャー)

はじめに

僕はベンチャー企業役員として、会社の事業方針が大きく/小さく変わる度に、事業計画書のアップデートをしています。

事業計画の作り方は唯一の解があるものだと思っておらず、本記事は、あくまでも自分はこう作ったという体験談を書いています。

ただし、これまで累計約9億円の資金調達に結びつき、また事業計画について出資企業様から褒められることも多くあったので、一つの解として間違いではないと思っています。

なお、きれいな事業計画の作り方はnanapi等に譲ります。
nanapiの事業計画
StreetAcademyの事業計画

本資料の構成

・事業計画の作成目的
・事業計画の構成要素
・事業計画作成の質問受付

事業計画の作成目的

事業計画は、事業として自分たちが今後やるべきことを可視化し、また、融資/出資や様々な支援・協業を実現するための投資家等への説明に用います。
ここで言う「他者」とは、一緒に事業に取り組む仲間も含みます。

読み手を想像することによって、何に気をつけるべきかが変わってくると思っています。

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対仲間(自社):
・誰をターゲットに、どんな開発・マーケティング・販売戦略を取り、どんな体制で、何をゴール(事業として、会社としては別)にするか、の認識が合っているとメンバーが誤解して方向性に進むのを防止でき、またチームとして事業を進めるスピードが何倍にもなります。

対投資家:
※ 目的が純投資か、投資家事業とのシナジーを狙う投資かで見るポイントは異なります。また、会社のステージによっても求める情報の精度は違います。
・会社としてのゴールは株式公開か、事業売却か。
・出資時点での企業価値がいくらで、いくらの出資で何%の株式を保有でき、将来的(株式公開時)に何倍になる見込みか。
・投資家事業とのシナジーがあるか。
・成功が見込めるメンバーか、事業か。

対銀行:
・(融資を受けたことないのでわかりません!なぜ成功するかをシビアに見てくるイメージ。)

事業計画の構成要素

【メンバー】
・ベンチャー企業の場合には、それを実現できるケイパビリティ(メンバー)があるか、が見られると思っています。

【市場分析】
・ベンチャー企業が取り組むのは、既存商品・サービスでカバーされていない、解消されていない「不」です。
・市場環境を客観的に捉えて、何が課題かを明確にした上で、何故、何を事業として取り組む必要があるかを言える必要があります。

【競合分析】
・競合(と考えられる)製品・サービスの情報を収集し、セグメント別(価格、用途、対象者等)に整理して、どこが直接的/間接的競合にあたるかを客観的に見ます。
・特に直接的競合に対しては、何が異なるか(=差別化ポイント)となるかを書きましょう。
・市場自体が拡大している場合、当該市場に属しているだけで会社が成長したりするので、各社差別化せずとも成長しますが、キャッシュレス競争のように最後は収束します。(paypay、メルペイ、LINE pay等)

【自社分析】
・市場分析、競合分析の中で、市場・競合に対してどの様かは記載したので割愛します。
・その他にはファクトに基づく技術的特徴、保有している知財などなど、事業を進める上で重要となるパーツを記載しました。

【販売戦略】
・潜在顧客(ファクトに基づく算定根拠が必要)
・潜在顧客のうち、実際に提供する顧客数(ファクトに基づく算定根拠が必要)
・顧客をセグメンテーションできるならば、アプローチする優先順位
・単価(ファクトに基づく算定根拠が必要)

【事業収支】
・顧客数、単価、またそれらの向こうX年間の成長率(仮定)に基づいて売上をシミュレーション
・決め打ちのシナリオではなく、松竹梅などいくつか幅をもたせたほうが聞き手も納得しやすい
・また、その売上達成に必要と想定される開発費・販管費等を洗い出し、キャッシュフローを算出

【事業価値算定】
・キャッシュフローに基づいて事業価値算定(DCF法を使って算定していました)
※ある程度、知財により販売期間が保護されるようなビジネスのため、特許期間を対象とするシミュレーションとしました。
(株式公開時の事業価値をDCF法で算出したりしていたけれど、その使い方が正しいのか未だに疑問)

【資金調達計画】
・上述の事業収支、及びそれに基づく事業価値を実現するためには、お金が足りないわけで、それをどのタイミングで、一株あたり何円で調達するかを皮算用。
・また今後の事業において重要なマイルストーンとなるタイミングが何かを把握しておくことが重要で、それがすなわち事業価値が大きく変わるポイントだったりします。
・また、シード・アーリーステージのベンチャー企業において、現時点の株価と、上場時の株価(仮定)を比較したときに、2-3倍にしかなっていなかったら、投資家は近寄りづらいわけです。

事業計画作成の質問受付

ざっくりと事業計画の大枠(大枠過ぎるけれど)をアウトプットしてみました。

自分の知っていることを共有したほうが、自分も、周りの人もHappyと考えられるようになってきたので、これまでの経験をこれから少しずつ文字に落としていこうと思います。

本記事に関して、質問だったり、事業計画作成の悩み事があればご相談にのります。DMください!


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