骨への衝撃や抵抗が骨を強くする？しない？
こんにちは、青木です。
以前、運動療法が骨粗鬆症に与える影響について記事にしました。
その際、運動時の衝撃（インパクト）や抵抗（レジスタンス）が
骨形成において重要な役割を果たすことが分かりました。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
衝撃や抵抗が骨形成を促すメカニズムは非常に複雑であるとされており、
前回の記事だけでまとめきることはできませんでした。
今回は衝撃や抵抗による骨形成のメカニズムについて、
研究論文からのエビデンスをベースにまとめていきたいと思います。
ではどうぞ。
結論
骨への直接的、または間接的な衝撃や抵抗により、
骨細胞や骨組織に存在する骨形成に関連するイオンチャネルを活性化し、
骨形成を促進させる。
エビデンス
参考論文
「The mechanosensory and mechanotransductive processes mediated by ion channels and the impact on bone metabolism: A systematic review.（イオンチャネルが介在する機械感覚および機械伝達過程と骨代謝への影響：システマティックレビュー）」
https://doi.org/10.1016/j.abb.2021.109020
骨細胞上のイオンチャネルは、骨の発達と代謝の力学的制御に重要な役割を果たしており、骨関連疾患の治療ターゲットとなりうる。
衝撃と抵抗による骨形成のメカニズム
イオンチャネルについて
骨形成を理解する上で、
イオンチャネルについて機能を知ることは大切です。
イオンチャネルをざっくりいうと、
特定のイオンを通過させるゲートの役割を持つ膜のことを指します。
それぞれのイオンチャネルはどんなイオンを通過させるかが決まっており、
例えばカルシウムチャネルであれば、
カルシウムイオン（Ca²⁺）を通過させるイオンチャネルになります。
機械的刺激によって活性化されるイオンチャネル
機械的刺激はイオンチャネルを活性化することができ、
骨形成に関係する細胞（破骨細胞）へのカルシウムの流入を促します。
活性化されるイオンチャネルは下記の通りです。
TRPファミリーチャネル
Ca2+放出活性化Ca2+ チャネル（CRACs）
Piezo1/2チャネル
プリン作動性受容体
NMDA受容体
電位感受性カルシウムチャネル（VSCCs）
TREK2 カリウムチャネル
カルシウムおよび電位依存性大コンダクタンスカリウム（BKCa）チャネル
小コンダクタンスカリウム（BKCa）チャネル
カルシウム活性化カリウムチャネル（CaCa）チャネル
上記のイオンチャネルが骨細胞や骨組織に存在しています。
多すぎて何が何だかわからないですよねｗ
これらのイオンチャネルは覚える必要はないです。
重要なのは機械的刺激によって骨細胞や骨組織に存在するイオンチャネルが
活性化するということです。
機械的刺激について
機械的刺激といっても色々あります。
ではどんな機械的刺激でイオンチャネルが活性化するのかというと、
せん断応力
伸張力
牽引力
圧縮力
上記の機械的刺激により活性化されます。
また、重力によってもイオンチャネルが活性化されると報告されており、
非常に興味深いと感じました。
まとめ
いかがだったでしょうか？
衝撃（インパクト）や抵抗（レジスタンス）を伴う運動は、
圧縮力やせん断応力といった機械的刺激を生じることで、
骨細胞や骨組織に存在するイオンチャネルが活性化され、
骨形成が促されるということが理解できたと思います。
また、重力も骨形成に重要であるとことが示されており、
骨粗鬆症と身体活動量や臥床時間との関連も
自ずと見えてくるのではないでしょうか？
いずれ身体活動量や臥床時間と骨粗鬆症の関連についても
まとめていきたいと思います。
今回の記事もぜひ参考にしていただけたら幸いです。
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