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役割とは
QOLやwell-beingなど、「そのひとらしさ」が追求される最近の介護業界において、“役割”というワードはよく出てきます。
家庭での役割、職場での役割、◯◯としての役割…
子育て世代や労働世代にとっては、役割という言葉は非常に身近なものだと思います。
ただ、高齢者にとって、役割とはどんなものがあるのか?と、いつも悩んでしまいます。
正直、私ら世代の考える“役割”とは意味合いが異なるのではないか?
今回は、そんな“役割”に関する個人的な思考について、述べさせていただきます。
ありがちな悪例
まず、“役割”について考え直す背景となった1つの失敗例を挙げます。
腕を骨折した認知症のご利用者を担当した時、安静度もフリーになので、ご家族に
「食器洗いや洗濯物を畳んでもらうことを手伝ってもらってください。リハビリにもなるし、ご本人の役割を家でも作ってあげればいいかと思います」
みたいなことを言ったことがある。
ご家族も
「そうですね。おばあちゃん、昔はしてたし」
と、同意しましたが、結果としてこちらのご利用者は食器洗いなどの仕事は続きませんでした。
しかもご家族からは、
「腕のためにもやった方がいいって言ってるのに、やらないんです!」
と、怒られてしまう始末。
私たちの生活で、“役割”とは“与えられた・任された物事”とほぼ同義です。
これを高齢者の生活にそのまま当てはめてしまうと、この例のようなことになってしまいます。
関係性が生む“役割”
続いて、役割を特に意識しなかったものの、うまくいった例を挙げてみます。
閉じこもりがちでリハビリも入浴も拒否の方がいました。
しかし、この方には“身体がとても柔らかい”という強みがありました。
立位体前屈で、掌がペタっと余裕で床につくほどです。
私はこの方の家に行くと、いつもストレッチを教えてもらいます。
実際、私はすごく身体が硬いので、この方に
「何でそんなに前屈できるんですか?どうすれば柔らかくなりますか?」
と聞いていたら、自然と“私のストレッチの先生”という役割を担ってくれるようになりました。
もちろん、この方は元々体育の先生などではありませんが、「身体の柔らかい人と硬い人」という関係性で出来上がった役割。
相変わらず、屋外歩行や一般的な体操は拒否ですが、私には一生懸命、座位・立位でストレッチを教えてくれています。そのおかげか、身体機能も維持されています。
まとめ
このように、役割は2人の関係性で決まってくるもので、誰かに決められるものではないのでしょうね。
利用者の役割を発掘するには、相手の強みを知り、それを活かす関係性を築くことが大事になるので、“理学療法士と利用者”という関係性から脱却することが必要ですね。
おわり。
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