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実習中に教えている『運動と血圧の関係』について

はじめに

これは

・実習(臨床)では『運動と血圧の関係』をどう捉えているのか知りたい
・実習の際に最低限覚えておきたい『運動と血圧の関係』の基礎について知りたい
・『運動と血圧の関係』の基礎を復習しておきたい
・実習がなくなったから漠然と不安を抱えている

そんな方におすすめのnoteです。


どうも!

Twitterやブログを中心に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の実習生のサポートをしている長谷川元気です。

今回は『運動と血圧の関係』の基礎について、私が実習で学生さんに伝えていることを中心に触れていきます。

実習は養成校で習う知識(点)を、臨床でも使える知恵(線)として学ぶ大切な場です。

しかし、2021年1月現在、一昨年から猛威を振るうCOVID-19の影響によって”実習を受けることができなくなってしまった”という学生さんも多く、臨床へ出る不安を目にすることも多くなってきました。

そこでこの度、私、はせがわはそんな学生さんのために、実習で培うであろう知識をここで共有し、”少しでも臨床へ出る不安を軽減できたら”という想いで、このnoteをシリーズ化しています。

シリーズはこちら

こんな時だからこそ、できることをお互いに積み上げていきましょう。

理学療法士の未来は決して暗くありません。

私たちが切り開くのです。

「こんないい職業は他にない」


実際に働いて、日々感じていることです。

ぜひ、同じ臨床のステージで、楽しい話ができることをお待ちしております。

そんな想いで生きている人もいるんだなということは覚えておいていただけると嬉しく思います 笑

さて、お待たせしました!

ここらで切り替えて本題に移ります!!

どうぞお楽しみください♪


運動と血圧の関係について

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高血圧を呈している患者様に処方される医療の中には、運動療法がありますよね。

ということは、「運動が降圧の役割を担う」ということを想像するのは容易いかと思います。

実際、それはエビデンス的にも言われていることで、高血圧治療ガイドライン2019でも運動を継続することで、収縮期血圧で2‐5mmHg、拡張期血圧で1‐4mmHgの低下が期待されるとの記載があります。。


とはいえ、一般的に運動中の血圧は、、、


上がりますよね?


うん。
上がりますよ♪



「あれ?」

「運動は降圧の役割を持つんじゃないの??」

「高血圧なのに血圧を上げることして大丈夫??」


このように表面的な知識を知っている方の中には、運動をすることに疑問を持つ患者様も少なくありません。

ただ、この疑問は、運動に対して

”いい意味で捉えている方”
だけでなく
”運動をやりたくない理由を探している方”

が抱く考え方でもあるということは、臨床家として覚えておいて損はないと思います。


高血圧を呈している方の多くは、基本的に”運動嫌い”が引き起こしていることが多いので、その根本には「運動せずに治したい」「薬があるから運動はいらない」という考えがあります。

そんな患者に対して”運動”を処方する立場である理学療法士は、どのように受け入れてもらうのでしょうか。


一昔前の理学療法士であれば、

「運動は降圧にいいんだからやりましょう」
「こんな運動が血圧のためにいい」

なんて感じの”医療側からの知識の押し付け”で仕事を終えることができていました。


しかし、今現在、そして、これからの理学療法士はこれではいけません。

AIが発達すれば、自動的に「高血圧を呈しているあなたはこんな運動をしましょう」なんてことをはじき出すことは容易いこととなります。

つまり、これからの理学療法士としては、

「そんなことわかってるけど、運動なんてしたくないんだよ」

という考えを持った方へ、いかに運動が必要であるのかということを、伝える役割を担う必要が出てきます。


※この辺の考え方に関しては、私の運営する『リハぶっく』の記事【EBMをアップデートせよ!患者様の価値に基づく医療『VBP』とは?】をご参照ください。 きっと”これからの理学療法士”に大切な考え方のヒントになるはずです♪


そんな状況になったとき、必要なスキルは共感力と説得力です。

このnoteでは、そのうちの説得力を増すための要素である”知識面”を養っていきましょう。

とはいえ、実際の臨床では以下の知識を知っていたとしても、その全てを患者様に伝えるということはしません。

対患者様に使う知識はもっと簡単な言葉を使用して、シンプルに説明する必要があります。

つまり、今回のnoteで重要なのは「こんな知識も持ち合わせている」という自己満足感を得ることにあるのかもしれません 笑

(多くの知識はそんなもんなのかもしれませんね 笑)



運動による降圧機序(患者様へ説明するとき)

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さて、気を取り直して運動による降圧機序に関して触れていきます。


人が運動をしたとき、カラダの中ではどんなことが起こっているのかご存知でしょうか?

それを知るために、ざっくり一連の流れを把握していきましょう。


上でも触れましたが、まず、運動をすることで、血圧は上昇します。

ただ、これは一時的なものです。

その後、運動をやめるに伴い、徐々に血圧は下がっていきます(元に戻っていく)。

そして、それを何度も繰り返すことで、人間のカラダはその負荷に対する順応をするために、安静時の血圧を下げていくのです。



患者様にはこのくらいシンプルに伝えられるといいのかと思います。

実習においても、このくらいシンプルな言葉の方が、学生さんの理解も追いつくことが多い印象です。


運動による降圧機序(より専門家っぽく掘り下げたとき)

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では、ここからはより専門家っぽい知識を蓄えていきましょう。

※たいていの患者様にはここまで説明しません
※たいていの学生さんにもここまで説明しません



上記の細かい機序に関しては、こんなことが知られています。


運動をすることで筋肉に酸素などの栄養を供給し、二酸化炭素などを排除するために、筋血流が増大します。

しかも最大で安静時の20〜30倍も 笑

すごい量ですよね。


それに伴い心拍出量が上がります。

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