Darryl

名前のない少年が風を掴もうとして落下する。小麦色の斜面にしたたか打ち付けられて歯車は世界を回しながら扉を頑なに埋めようとしない。君よ、もしも此所に還って来たなら砂漠の底に開く筆の海からひとつ、気に入ったのを舌にくくりつけてきてくれないか。革表紙たちの群れにいざなわれ、そろそろ墓守が思うさまふかどくな文字の上におるがんをばら蒔いていくころあいさ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?