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一番古くて一番若い

この休みも長かった。働いている時は忙しくしてる感じが楽しいのにのんびり過ごしているとこっちが私なのかも、と思わされる。

必要な時に呼ばれて、会話をして、新しいことを思いついて、そのための買い物をして、今日はそんな気分じゃないからと、家で映画でもみて、気付くと寝ている。

お盆を越えると私は年を取る。もういくつになるんだか毎年同じ年齢を答えているような気さえするけど、きちんと年齢という積み木は積まれている。私が私を重ねているように、母は私の母を重ねている。

この頃になると、多分私は毎年聞いてる気がする。母にこう聞くのだ。

○○年前の今頃何してた?

母は不安でいっぱいだったと言う。初めてのお産。怖いことも痛いことも嫌いな母が逃げ出せなかった大一番。この話を聞くと私は気持ちだけワープして、そんな母の手を握りしめる気持ちになるのだ。

今の私たちを、当時の彼女が喜ぶかは知らない。でも私たちは大丈夫だ。そう、伝えたくなる。勿論、色々あったけど。

今日は母と線香花火をする約束だったけれど、お隣からスイカを頂いたので花火の時間がスイカの時間に差し替えとなった。どちらもお盆らしくていいよね、そういう事がしたかったから、スイカでもいいんだ。

もうこの町は秋だ。あの暑さは前倒された夏の残暑みたいなものだったんだな、夏は過ぎた、あとはあの冬までのプロローグ、短い秋がここに来ている。ああ、どうりでひぐらしが早かった。もうずっとこんな季節の早さなんだろうか。

春は桜、夏は梅雨、秋は紅葉、冬は雪、前線の動きがあるけれど、春や夏は南側が早くて、秋冬は一気に北側が追い越す。そして春でまた南側に抜かれる、あれこの前こっちが早かったのにな、と。そうだ、ここは冬が長いんだ。あの寒さを夏までどこかにしまえたらいいのにね。その逆も。あの暑さを使って焼き芋でもできたらいいのに。

季節は巡って、時は過ぎて、私はまた古くなりながら前に進んでいる。今日の私が一番若くて、周りの皆もそれは同じ。今そこにあるものは、一番古くて一番若いものなんだ。ほら、今しかない。


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