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2021年 心理シの旅

タイトルは某作品から。

さて、今日は何気なくツイートした内容が絶妙なインプレッション数を得ていたので誤解のないように、この考えに至る背景とそこに抱える問題点を挙げていこうと思います。


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いや、待って欲しい。そもそも大金払って大学院まで行き、大学院終了後は勉強をしながら臨床心理士の資格試験まで受けています。それなのに、なぜ心理の仕事をしないのでしょう!いや、させてくれないのですか!?

そこには公認心理師という国家資格保持者の存在も非常に大きいと思っています。2021年の第4回公認心理師試験までに56049人という非常に多くの方が試験に合格しています。(この数字は登録者ではなく合格者)

対する臨床心理士は2020年現在約38000人。圧倒的に公認心理師の方が増えているわけで、世は公認心理師時代。

年々増える心理職の人数に対し、世の中のメンタルヘルスや心理職に対する認識はどのように変わっているのでしょう。

日本におけるメンタルヘルスへの関心は非常に高いことが伺えます。厚労省も心のサポーターという事業にも力を入れています。これぞ増えに増えた公認心理師の働き口か!と期待に胸を馳せたのも束の間、身近な人同士支え合うために有資格者に限らず研修を受けたものを「こころサポーター」と称し広めていく事業でした。

たしかに、広くメンタルヘルスの概念を普及していくという意図を踏まえると大切なことだと思います。日本は諸外国に比べて心の病への認識が薄く、根性論で解決すべきだという認識が強く職場や学校に適応できないというケースが多く見受けられます。このような事業により広く、多くの人々がこころを大切に生きることができるよう変化していくことに期待したいと思います。

しかし、この事業自体が増えに増え続ける心理の有資格者の雇用問題を解決するわけでないと考えています。

働きたくても働けない心理シが増えていくことは目に見えています。(ここでは敢えて業務内容や給与を選ばなければ仕事なんていくらでもあるという意見を排除します)

このような働き口のない心理職は思い切って心理と関係のない仕事に就くことも一つの選択肢としてアリなのではないかという考え方です。というよりも、既存の領域外にも心理職が必要とされていくことこそが本当に必要なコトだと思います。

例えば学童保育の現場はコロナ禍における開所時間の延長などで度々話題になりましたが、こういった職域も心理士がいることで潤滑に運営ができるという現状を感じています。発達障害に関する適切な知識の共有や、対応などは学童保育の場でも大切なことです。しかしながら実際はそのようなことはなく、多くをパートタイマーの主婦の方が多く働いている印象です。行政主導だと財源の問題も大きく、常勤での配置もまだごくわずかな事業であることから心理職が心理職として働けるようになるのは先のまた先だと思います。

このように、心理職が心理職として働いていくことができる職域が拡大していくことが心理シが生きていく上で重要なことだと感じます。例に挙げた学童保育以外にも、きっと心理士がいることでスムーズに働いていける・スムーズに生きることができる場は多いのではないでしょうか。いっそ心理の業種以外で働いて、心理士って意外と役立つんだなと世の中の認識が変わっていくことができたらいいなという儚い願いに過ぎないのかもしれません。

また、ツイートの背後にあった考えを述べると、やはり心理士が心理職として雇用されていない場であれば積極的な助言などはすべきではないと思います。このニュアンスってすごく難しいのですが、できることはじっくり聴きそして必要であれば適切な機関に繋いでいく。その程度だと思うんですけども、その程度のことすら今の日本には欠如しているのが現状です。心身の不調や発達障害等に関する適切な対応という面で多くの現場において、心理士が関わることで困っていても1歩踏み出せない或いはどこに相談しどうしたらいいのかわからないと困っている人の道標になることができるのではないかと期待しています。

ただ、臨床力という点では臨床の場に日々身を投じないと鈍ってしまうという意見も耳にします。たしかにその通りで、感覚は時間の経過とともに鈍るので、自己研鑽は必須でしょう。臨床心理士は更新資格でもありますし、公認心理師共々日々学び自己を高めていくことで将来的に今よりちょっとでも良い世の中になったらいいなと願っています。


いただいたサポートを活用して、学術書のレビュー等を行いたいと考えています。よろしくお願いします。