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心理学の卒論を書かずに修論を書いた感想

今回は、「心理学の卒業論文を書いた経験のない筆者が、心理学の修士論文を書いた感想」について書きたいと思います。
筆者は、4年制大学卒業(理系)→社会人→通信制大学3年次編入(聖徳大学心理学科)→心理系大学院(臨床心理学専攻)というキャリアを歩んできました。
社会人から臨床心理士、公認心理師を目指すにあたり、通信制大学で公認心理師に必要な単位を取得しました。
聖徳大学では「卒業論文」を書くことができず、心理学の研究経験がない中で、大学院へ進学できるのか、実際に修論が書けるのか、研究を進めることができるのか、といった不安がありました。

結論から伝えると「無事に修論が書けて、卒業できました」という結果になります。
ただ、実際に心理学の卒論を書いた経験のある人と比べると苦労した点もあるので、その辺りの体験を書いてみたいと思います。


苦労した点

統計の知識が少ない


大学で卒論を書いた経験のある人と比べて、量的研究の知識や統計の知識が圧倒的に足りないことを感じました。大学院受験を突破するための最低限の知識は受験期に詰め込みましたが、それはあくまでも「テストに合格するための勉強」であり、大学院に合格できたらといって、より実践的な研究に活かせるとは限りませんでした。
論文を読んで、どれだけの効果が出ているのか、この数値が〇〇であることはどう言った意味があるのか、といった内容を理解するのに、他の人より苦労したなと思っています。

分析の知識や経験がない

筆者は質的研究に取り組んだのですが、知識や経験がゼロの状態から分析方法を習得し、実践するのに苦労しました。
また、量的研究をする場合はSPSSやR、HADなどの統計ソフトを使いこなす必要があります。統計ソフトの使い方を覚えて、自分のやりたい分析を回せるようになるためにはそれ相応の時間と労力を注ぎ込む必要があります。
大学院生活は研究だけでなく、実習や授業、就活などで多忙になるため、分析手法を習得するための時間捻出が大変でした。
卒論や学部時代の演習などで統計ソフトを一度でも触った経験のある人との差を、通信制大学出身者はより強く感じるかもしれません…
分析方法や使用ツールについては、学部時代にある程度のスキルを身につけておく必要があると思います。(研究が盛んな上位校を目指している受験生は特に大事だと思われます)

理論の組み立て方、批判的・論理的思考の乏しさ

このあたりの能力も、実際に自分で論文を読んで研究を進める中で得られるスキルであると思います。
「さぁ、修論を書こう」と思っても、なかなか筆が進みませんでした。論が通ってるのか、読んだ人を納得させる論文になっているのか、などを考えると、やはりトレーニングが必要だなと感じます。

M1で学会発表出来るネタがない

私は奨学金の返済免除を狙っていたため、修士課程在籍中に業績を積みたいと考えていました。そのために論文投稿や学会発表をしたかったのですが、手持ちの研究がない状態だったので、学会発表などが難しい状況でした。(しょんぼり)
共同研究に誘ってもらったりして、少しは業績ができましたが、修士課程在籍中に筆頭著者としての業績を作るのはなかなか難しい現状がありました。

研究にあまり興味がない人や、業績を積む必要性がない人には関係のないトピックかと思いますが、「修士課程のうちから学会発表の経験を積みたい」「奨学金返済免除や博士課程進学のために業績を増やしたい」と考えている人にとっては限界がある点だと思いました。
(M1から学会発表できるネタがある人を羨ましいな〜と感じる場面もありました)

分析方法や統計の知識、論理的思考力は大学院入学後、必死に勉強してなんとかやり切ったという感じです。ちなみに、公認心理師試験でも統計や分析、研究法の問題は出るので、甘くみるわけにはいきません。
大学院2年間という短い間で、研究や臨床にどうやってリソース配分していくか、というのは個人差がありますが、一個人の体験と感想として読んでもらえたらと思います。

研究を進めるにあたり、ゼミや指導教員・先輩からの学びが大切になりましたが、独学で学ぶ必要のあることもたくさんあります。修論を書くときに参考にした書籍はこちらの記事にまとめました。

また、卒論を書けない環境にある人が心理系大学院受験をするときに困る点については、こちらの記事にまとめています。
これから心理系大学院の進学を考えている人、通信制大学への進学を検討している人は参考にしてください。

通信制大学の選び方については、こちらの記事にまとめています。

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現役大学院生ならではの視点でリアルな生活や大学院での学び・実習・お金事情・スケジュールについて書いています。公認心理師・臨床心理士を目指し…

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