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訪問看護の組織心理学

 フォード創業者のヘンリ・フォードは、こんな言葉を残しています。「人が集まってくることで始まり、人が一緒にいることで進歩があり、人が一緒に活動することで成功をもたらす。」この言葉はまさに、訪問看護ステーションの運営だなと感じます。

 一人でできる事はたかが知れており、リーダーとして成果を上げるためには、より良い人間関係の構築が不可欠になるからです。そこで、訪問看護ステーションのより良い運営には、組織心理学がとても重要であると思います。日々のマネジメントにおいて感じる事は、マネージャーでさえ放っておけば、人はどうしようもなく非合理的になるということです。非合理的な行動や習慣は、快楽や痛みの軽減の感情によってもたらされ、人は安きに流れるのだと思います。

 よくある非合理な感情は、「妬み」があります。集団の中の1人が妬みの感情を抱いた結果は、妬む人も妬まれる人も誰一人として得をしない非合理な行動が生まれると言います。「妬み」を感じると脳内では、前部帯状回の一部が強く反応するらしいです。前部帯状回は、心拍数、血圧などの自律的機能や意思決定や共感、情動といった認知機能、身体の痛みなどに関係している部位です。とすると、「妬み」は心の痛みだけではなく、身体の痛みももたらすわけです。

 一方で、「妬み」の対象に不幸が起きた場合は、「シャンディーフロイデ」が生じやすくなり、線条体という部分が活性化します。線条体は報酬系の為、「他人の不幸は密の味」が起こっていると考えられます。しかも、前部帯状回の活性が強い人ほど、線条体もまた強く反応するらしいです。怖!

 ここで、「妬み」のマネジメントが必要です。それが組織スタッフ間で生じている感情であれば、そこは関わることで動機付けを修正していく必要があります。非合理的な行動の源泉であった「妬み」の感情から、機能的な側面を引き出す事がマネジメントに求められます。それには、役割を与え、自分の役割に目を向けさせる事が効果的です。もしくは、自己のゴールと組織のゴールのすりあわせし、自己のより良いゴールに向かわせる事が効果的です。

 とはいえ、訪問看護のマネジメントは、難しいといえます。日々、精進して行きます。



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