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短歌─虹彩現象

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長い夜を、眠れずにひとりで明かした。

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まばたきの隙間に滑り込む夜明け
脆いこころを拒絶するかに


ぬるいだけの空気に甘やかされながら
自分の影をなぞる指先


ねえもしも君が死んだらこの歌は
二度と聴けない、そういう呪い


単語帳捲るみたいに
いきかたを再確認する 忘れてないよ


追憶はフイルムカメラに綴じたまま
薄膜層を越えてこないで

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解けないまじないを探すみたいな日々。

さようなら。


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