気分一致効果(mood congrument effect)

気分一致効果(mood congrument effect)

〇 気分一致効果とは、その時の気分と一致した過去の出来事を思い出しやすいという現象。ものごとを覚える過程の記銘時と、ものごとを思い出す過程の想起時の両方で生じる。

(1)  記銘時・想起時
 情報を記銘するときの気分と、記銘される情報の内容が一致しているほうが、そうでないときと比べて記銘されやすい。
 記憶を想起するときの気分と一致した内容の記憶が想起されやすい。

〇 情報や事象のもつ感情的な意味合いを感情価(valance)とよび、ポジティブな感情価とネガティブな感情価に区分される。
 気分一致効果とは、記銘時の気分の感情価と一致する感情価をもつ情報が記銘されやすく、想起時の気分の感情価と一致する感情価をもつ情報のほうが想起されやすい。
 気分一致効果が、記銘内容の性質(快・不快)がかかわる現象であるのに対し、記銘時と想起時の気分が一致していれば、一致していない場合よりも想起の成績がよいという状態依存効果(state dependent effect)は、記銘内容の性質を問題にしていない。

(2)  将来の予測
 過去の記憶だけでなく、将来の予測にも気分一致効果は現れる。調査参加者にさまざまな出来事を示し、それが起こる確率とその時の気分を回答させると、全般的に良い気分の人のほが好ましい出来事が起こる確率を高く推測し、好ましくない出来事は低く推測した。

(3)  評価・判断
 客観的には同じ経験であるにも関わらず、当事者はそのときの気分でその経験の良しあしを判断・評価する傾向がある。


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