喫煙所へ走れメロス
どういう風の吹き回しか、禁煙をしている。
いつから始めたか忘れてしまったけど、多分もう1ヶ月くらい禁煙している。
今「たかだか1ヶ月くらいで禁煙とかw」と思った心ない人は、ひどい痔になってしまえ。
エリート喫煙者が1ヶ月もタバコを吸わないということは凄いことなのである。
私がタバコを覚えたのは14歳の頃で
年上のチイちゃん(眉毛が全然ない、生粋のヤンキー)に憧れと恋心を抱いて、同じ銘柄のバージニアスリムを吸い始めた。
私にはジャンキーのプロみたいな気質があって、快感とか習慣にどっぷりとハマるのが得意である。
そんなエリートジャンキーの私が突然に禁煙してみたのは、タバコの切れ目がキツいからである。
とにかくヤニが切れたときのストレスが半端じゃないのである。
吸い出してから二十余年、あのチイちゃんが眉毛をはやしてとっくにカタギになってからも雨の日も風の日もせっせと吸い続けてきた。
吸い出した当時は喫煙に対して世間の認識が甘く職場だろうが飯屋だろうが駅だろうが灰皿があった。
しかし、昨今では街中に喫煙できる場所はほとんどない。
住宅街では、夜のホタル族さえほとんど見なくなった。
ゲリラ禁煙に踏み切ったとき、私は死ぬほど忙しかった。
何の根拠もないけれど、世間一般と比較しても割と常日頃から忙しい方だと思う。
そんな日常と比較しても、半端じゃなく忙しかった。
犬だったら食糞してるレベルで忙しかった。
その影響か、常に気が立っていた。
元々短気な方だが輪をかけて短気になっていた。
普段だったら笑って飛ばせるスタッフの凡ミスも、○通信さえ真っ青なレベルで怒鳴り散らしたくなるほどだ。
これはいずれ取り返しのつかない癇癪を起こす。
そして、その癇癪は間違いなく私に大損をさせる。
大損を回避するために、この神経のたかぶりをいかに抑えるか。
私は頭を悩ませていた。
喫煙は交感神経系に作用する。
タバコを吸うとリラックスするイメージがあるが、最終的には交感神経系が興奮する。
なので、神経のたかぶりを抑えたいのであれば喫煙はそもそもご法度である。
喫煙そのものの作用だけでなく、ニコチンの切れ目が来たときのイライラも相当なものだ。
普段ストレスフルな状況でない喫煙者でも、自分の意思なく喫煙を制限されるとだんだんとイライラしてくる。
私の場合は後者が特にひどく、ヤニ切れするとイライラするだけでなく手先が震えてくるエリートジャンキーである。
手が震えるだけならまだいいが、気が荒くなる。
ただでさえ忙しくて気が立っているのにニコチンが切れたときは悪化の一途を辿る。
メロスは激怒した。
邪智暴虐の禁断症状を取り除かねばならぬと決意した。
しかし二十年前みたいに、そこかしこに灰皿があって「何はともあれまずイップク」が看過されてた時代はとうに過ぎた。
勤務時間中はとてもじゃないが喫煙できない。
朝ニコチンをキメたら、夜ニコチンをキメるまでず〜っと切れ目状態が続く。
しんどい。これはしんどい。
しんどさのあまり、四方八方にイライラして相槌の代わりにローキックを入れたくなる。
でもそれは人間として絶対ダメ!
私は、この苛立ちを自分自身にぶつけることにした。
「お前(私)がタバコ吸ってるから俺(私)が切れ目でキツいんだよ!禁煙しろ!」ってなもんである。
切れ目で苦しんでいる私が、ヤニで気持ちよ〜くキマっている私を説教する。
正直、これしかなかった。
そんなこんなで1ヶ月ほど、タバコとは無縁の生活を送っている。
無煙だけに。
無煙だけに!(気づいて欲しくて二回書いた)
じゃあなんで今更こんな記事書いているのよ、というと今めちゃくちゃタバコ吸いたいからです。
あー吸いてえ!乳首より吸いてえ!
小人閑居して不健康をなす。(しば)
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